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緋の鬼―アケノオニ―  作者: 唯菜美
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動き出した運命 四

とりあえず、落ち着いて話ができるようにと、全員で学園でも人気のない小部屋へと移動した。

部屋には、みっちり本が詰まった棚が壁にドンとおいてある他に、様々なトロフィーが置かれた棚が1つ。入口に向かい合うように置かれた重厚な机と椅子。その手前にはお客様向けだろうかローテーブルとソレを囲むように置かれた革張りのソファ。

シンプルだが、気品漂うその部屋を見て、


「・・・まるで、校長室みたいだな」


ハハハと乾いた声と共に感想を述べた想真だった。


「ハハハ、面白い事を言うね~。まるで、じゃなくて正真正銘校長室だよ☆」


「やっぱり!?」


そんな想真の肩にポンと手を置き、実に軽く答えたのは、やはりというか誠である。


「確かに人はあまり近寄らないけどっ!何で校長室!?」


「ちょっとジャックしてみました☆」


テヘペロと効果音がつきそうな感じで、答える想真にどう突っ込むべきか口をパクパクしていると、後ろから入ってきた佐渡が諦めまじりのため息と共に、想真にありがたいアドバイスを授けた。


「いちいちソイツの言う事を相手していたら、永遠に話が進まねぇぞ、想真」


「ひどいなぁ~優クンは☆」


「優君言うなっ」


「相手してたら話進まないんじゃなかったの?さっさと話し進めてくれる?」


このままでは脱線の一途をたどりそうな会話を、珍しく愛姫が修正した。


「姫ちゃんの言う通りだね~じゃあ、全員席に着いた所で・・・」


誠は、だらけた空気を一掃するようにゴホンと一つ咳払いをすると、「夜狐」と黒い狐を呼び出した。

誠の影からスルリと姿を現した、闇色の狐はくぁっとあくびを一つすると、首をコトンと傾げて自分の主を見上げた。


『マコト、どうしたの?』


「人除けの結界を張ってくれる?」


『あとで、クッキーくれる?』


「いいよ~」


誠の返事に、夜狐は尻尾を嬉しそうにふさりと動かしながら、ケーンッと狐特有の鳴き声で一声鳴いた。

その瞬間、部屋の空気が一変した。

それまでも人気がなく静かではあったが、今はこの空間だけが切り離されたような、そんな不思議な感覚に包まれた。


『ボクのケッカイはすごくつよいんだよ!すごいだろ、ソウマ!』


思わず周囲を見回した想真に、どこか誇らしげに夜狐が言った。

完全にドヤ顔である。


「・・・すごいけど、何で俺だけに言うんだ?」


『だって、ソウマはボクの弟子でしょ?』


「誰がだよっ!!?」


思わず夜狐の耳を引っ張ると、キュンと鳴いた夜狐が誠に泣きついた。


『マコトがいぢめるっ!!』


「よしよし、良い子にしててね~」


誠は慣れたもので、どこからどもなく取り出したクッキーを夜狐に差し出した。


『クッキー!!』


途端、目を輝かせておとなしくなった夜狐の頭を撫でる誠に、佐渡がどこか顔を青ざめさせてつぶやいた。


「・・・そのクッキー、どこから出した?」


「机の引き出し~」


「おまっ、それ校長の・・・」


「うっさいっ!話が進まないから、突っ込むんじゃないわよっ!!クッキーくらい自腹で返しときなさいよっ」


キレながらも正論を言う愛姫に、「それ、なかなか手に入らないクッキーだって・・・」と項垂れる佐渡の肩を、諦めろとばかりに騎士がポンッと叩いた。


「さっさと話すすめなさいよ」


むすっとしながら促す愛姫に、誠が「はぁ~い」とクッキーをかじりながら返事をした。


「じゃあねー。まず、“鬼”についてどこまで知ってる?」


一気に真面目な雰囲気になった誠に、多少怯みながらも想真は答えた。


「・・・“鬼”は妖怪、“邪鬼”は人の念が形となったモノ。“邪鬼”は人に害をなすモノで、退治する対象で、“鬼”はそれを退治する」


「そのとぉ~り♪邪鬼はね、意思もなく本能のままに襲い掛かってくるんだよ。」


「本能のままに・・・って?」


「奴らの本能は、喰らう事だよ。自分の存在を確固たるものにするためにね。」


「自分の存在を確固たるものにするためって・・・強くなるためってことか?」


「半分正解、半分ハズレ~。邪鬼はね、すぐに消えちゃう儚い存在なんですよ。」


「はかない・・・」


およよ。とわざとらしいことこの上ない泣きまねをする誠に、想真は眉をひそめた。

儚い存在・・・って事は、邪鬼も以外と可哀想なのか?と、自分の知らない新たな事実に、考えを改めるべきなのか、と。


「そう。すぐに消えちゃうから、自分より弱い生命力溢れる人間を喰って喰って喰いまくって、自分の生命力を強めているんだよ☆」


「全然儚くないじゃねぇかっ!!むしろ、たくましすぎだろっ!!」


「まぁまぁ」


ふざけんなっ!とキレ気味の想真を、誠はニヤニヤしながら宥める。

そんな二人のやり取りに、愛姫がぼそりと佐渡を呼んだ。


「・・・センセー」


「ん?」


「誠じゃ、話が進まないから――」


最後の方は言葉にすることなく、顎でイケと指図する。

そんな愛姫の命令に、佐渡の頬がひきつった。


「・・・なんで俺が」


「・・・じゃあ、白蛇を――」


文句を言う佐渡に、愛姫はため息をついて召喚術で白蛇を呼び出そうとするのを、佐渡がガシッとつかんで止めた。


「やらせていただきます」


「最初からそう言ってればいいのよ」


ふんっと鼻を鳴らす愛姫と、この部屋に入ってから散々な目にしか合っていない佐渡の二人を見ていた騎士は、「どこの女王だ」と小さく突っ込んだ。


作者「まぁ話が進まない進まない」

誠「おいおい、頑張れよ~(笑)」

愛姫「お前のせいだよっ!!」

佐渡「校長室ジャックしてんじゃねぇよっ!校長泣いてただろっ!!」

誠「え~、ちょっとヅラ隠しただけなのに~」

佐渡「止めたげてっ!!」

誠「てか、作者の文章能力が無いだけじゃない?」

作者「い、言うなぁぁっ!!」

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