動き出した運命 参
ガンッと鈍い音が響いた。柄から伝わる振動に、想真が眉を顰め飛び退る。ソレに容赦のない猛追をかける誠は実に楽し気で、なんとか修行で攻撃に対応できるようになったぐらいの想真の必至なようすとは偉い違いだ。
「・・・なぁ」
それでも振り下ろされた木刀を横にいなした想真は、持ち前の運動神経の良さで、うまく体の軸を回転させ、回避からの攻撃を繰り出して見せた。
「・・・何だ」
誠は振り下ろした腕の勢いのまま、器用に手をひねった。ガンッと鈍い音が再び響き、そのまま滑るように体を近づけた二人は、必然的につばぜり合いの形になる。
「・・・何がどうなって、こういう状況になってるんだ?」
だがそれも一瞬の事で、腕力では想真にかなわないことを理解している誠は、身を引き相手の体制を崩しにかかった。
「想真が、「俺と勝負して、俺に負けたら質問に答えろっ」と言ってきて、誠がそれを受けた」
グンと重心が傾いた想真に、余裕綽々と言った様子の誠が止めとばかりに木刀を振り上げる。
「へぇ~」
しかし、想真はニヤリと笑うと、素早く身をかがめて誠の死角を潜り抜け背後に回り込んだ。突然視界から消えた想真に、誠が目をパチクリとさせていると、いきなりグルンと天地がさかさまになった。
「・・・勝負あったな」
「ふんっ」
誠の背が地面につくのと、傍観していた騎士がため息交じりにつぶやいた。その横では想真と誠の試合に背を向けて、憮然とした表情で腕を組んだ愛姫が不満げに鼻をならす。
「あちゃ~、負けちゃったよ~」
「よっしゃぁぁぁつ!!」と拳を空に突き上げて勝利の雄たけびを上げる想真の横で、ヘラッと笑いながら身を起こした誠は、開口一番そう言った。
「・・・締めは背負い投げでいいのか?」
木刀で戦っていたのに一本背負いで決まった勝敗に、誰も突っ込む気配がないので、途中参加の佐渡が小さく突っ込んどいた。
「んじゃ、質問に答えてあげましょ~。何が聞きたい?朱里スリーサイズとか?」
「・・・それは後でいい」
「後でもねぇよ」
「愛姫、言葉遣い」
「・・・騎士、突っ込むな。話が進まん」
しょっぱなからめちゃくちゃな状態で始まった会話は、上から順に誠・想真・愛姫・騎士・佐渡である。
そんな様子に「にゃはは。カオスだねぇ」と誠が笑い、佐渡と騎士が大きくため息をついた。
「まぁ、冗談はさておき・・・聞きたい事があるんでしょ?答えられることなら答えてあげるよ」
唐突に雰囲気が変わり、表所は相変わらず笑みを絶やさないまま、その瞳は想真をまっすぐ見据えていた。
これまでのふざけた空気が一変して、全員が表情を改める。
「・・・まず、朱里はどうしてる?」
想真には、命に別状は無い。という事しか、知らされてなかった。
自分のせいで傷ついた、なのに見舞いどころか、どこにいるかも分からない。
何度か会わせてくれと頼みはしたが、諭すようにそれが出来ない理由を説明され、今は己を鍛えるのが先だと、自分を無理やり納得させていたが、もう限界だった。
そんな切羽詰まったような想真の質問に答えたのは、愛姫だった。
「・・・万全の体調とは言えないけど、少しずつ回復していってるわ。」
今言える事はこれだけ。とばかりにぶっきらぼうな返事に、想真は少し驚いて愛姫を見た。
不本意なのか、そっぽを向いて、顔は非常に不機嫌そうだ。
「・・・ありがとう」
それでも、他の誰でもない、自分を嫌っている愛姫からの言葉だから、想真は素直に安堵の表情を浮かべる事ができた。
そして、想真は自分の左手を見つめた。
「俺がわかっているのは、俺と朱里の前世がつながっているという事だけだ・・・」
その左手の小指から延びる赤い糸。
それが二人をつなぎはしたが、それだけで・・・想真は朱里の事を何も知らない。
だから・・・
「教えてくれ・・・今の(・)、全てを」
想真を見極めるように見ていた誠は、ニヤリと笑った。
「今の、ね・・・いいの?“鬼灯”のその後は」
「俺が知りたいのは、“鬼灯”の事じゃない。“朱里”の事だ。今、ココで生きているのは、“神夜”でも“鬼灯”でもない、俺たちだ。それに、“鬼灯”の事は、朱里に聞くよ。だから、今俺が知るべき事を、教えてくれ・・・そのために、俺にわざと負けたんだろ?」
肩を竦め、不機嫌そうに言われたセリフに、誠は「ハハ」と笑った。
「な~んだ、分かってたんだ。」
「ふんっ・・・悔しいけど、自分の実力は自分が一番よくわかってるよ」
「ひゃくてんまんて~ん☆・・・いいよ、教えてあげる。」
作者「フォローじゃないけど、想真は強いんですよ」
想真「もって言って!!」
作者「一般人の戦闘力を10としたら想真は300です。今回の修行では800くらいになってます。」
想真「ほらっ!めっちゃ強くなってんじゃん!」
作者「ただ、誠達は戦闘力10000以上です」
想真「どこのサ●ヤ人だよっ!!」




