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緋の鬼―アケノオニ―  作者: 唯菜美
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動き出した運命 弐

今んとこ続いて投稿できてます。

でも、もうすぐストックが尽きる・・・orz

朱里が目覚めたのは、あれから一週間後のことだった。


見上げる天井は白く、壁も、床も、ベッドも、すべてが清潔さを表す純白だった。ゆっくりと開いた瞼から漏れる光がまぶしくて、思わずもう一度目を閉じる。

朱里はぼんやりした頭で、ココが病院であることを理解し、なぜ自分がココにいるかを考えた。

朱里がココにお世話になるのはよくあることなので、大した驚きはない。

ただ、いつも目覚めた直後は記憶があいまいになっているのだ。


「・・・っ!!?」


ゆっくりと思考に浸り、何があったのかを思い出していた朱里は突然目を見開いた。

思わず飛び起きようとして、腹部に強烈な傷みが走り失敗する。

あまりの傷みに声にならず、ベッドにうずくまり身もだえていると、バタバタと扉の向こうからあわただしい足音が聞こえた。


「姉さんっ!!」


ガラッと勢いよく開いた扉の向こうに立っていたのは、漆黒の髪と瞳を持った少年だった。


「・・・あおば」


心配そうな顔で駆け寄ってくる弟を安心させようと、朱里は無理やりにほほ笑んだ。だが、その顔を見た蒼羽(あおば)は、痛ましそうに顔をゆがめ泣きだす寸前みたいな表情をした後、キッと姉を睨み付ける。


「無茶するなよっ」


「・・・ごめん」


涙目でにらみながら、朱里の手を両手で包んだ蒼羽の手は、かすかに震えていて、自分がどれだけ心配かけたかを思い知らされた朱里は、素直に謝った。

その言葉に、蒼羽は「はぁぁぁぁ」と大きなため息をつく。

朱里に似た切れ長の目の下にはくまができており、男前が台無しだ。などと場違いな感想を抱く。


「・・・とにかく、みんなに知らせてくる。あとっ、傷塞がってないから、頼むから無茶なことはしないでくれよ・・・頼むから」


懇願する瞳に、朱里はコクリと頷いた。

蒼羽は朱里の目をしばらく見つめた後、ようやく納得したのか渋々部屋を出ていった。

再び、扉の向こうからバタバタと遠ざかっていく足音が聞こえ、朱里は苦笑する。


――部屋に入った時は物音も立てなったくせに。


それだけ心配させのだろう。この世にたった二人きりの家族だ。

失う恐怖は互いによく知っている。

それをまた蒼羽に味あわせるところだったのだと、改めて思い、朱里はいたたまれない気持ちになった。


――・・・それでも、私はきっと、何度でも同じことを繰り返す。


「ごめん」と思わず漏れた言葉は、一体だれに向けたものなのか・・・


「反省はしてるみたいだね~」


突然聞こえた言葉に、朱里はビクリと肩をこわばらせ、走った傷みに顔をしかめた。


「おっと、驚かせちゃったね。ごめんごめん」


全然悪いと思っていない声は、聴きなれたもので、視線を向けると予想通りの人物がそこにいた。

銀髪に紫のメッシュが入った髪に、白衣というなんともちぐはぐな恰好の愛良(あいら)は、にこにこと笑いながら朱里に近寄る。

声をかけられるまで、まったく気づかなかったことに、朱里は自分の体調が万全でないからか、それともこの人が見た目に似合わず、強いのかと一瞬悩んでから、両方だという結論に達した。


「う~ん、やっぱり今回は傷の治りが遅いねぇ。しばらくは絶対安静だよ」


テキパキと無駄のない動作で、朱里の傷の具合を確かめた愛良は、手にしていたカルテに何かをさらさらと書き込みながら言った。そこに普段のふざけた様子は全くなくて、今回のことは従わなければならない事なのだと理解はできる。

今回の討伐は、自分でもかなり無茶をしたという自覚があるだけに、反論もできない。

それでも、朱里は聞かずにはいられなかった。


「・・・しばらくって、どれくらいですか?」


「一か月くらい?」


「なっ!?」


可愛らしく小首を傾げながら告げられた期間の長さに、思わず体を起こそうとしてしまい、また痛みに顔をしかめた。


「ほら~、そんな状態で“お仕事”ができるわけないでしょ~」


「・・・っ!それでも、一か月は長すぎますっ!!」


いつもなら、三日程度で治る傷が今回は一週間経っても完治していない。それだけ力を酷使してしまったからか、それともう疲れがたまっていたせいか・・・おそらくその両方だろう。

痛みのせいで潤んだ瞳で愛良を睨み付けると、愛良がポッと頬を赤らめてカルテで顔を隠しながら目を背けた。

今のやりとりの中に、照れるような要素は一つもなかったはずだが・・・朱里は訳がわからず眉をひそめて愛良を見る。


「朱里ってば・・・そんな潤んだ瞳で見られたら、こっちが照れちゃうじゃん・・・美少女の上目づかい+涙目って最強だよね~」


ほう。と感嘆のため息を吐いてそういう愛良の言葉に、ぶわっと鳥肌がたった朱里はそっと視線を外した。


「・・・気持ち悪いこと言わないでください」


「なんでさぁ?ボクは事実しか言わないよ?それとも何、照れてるの?誘ってるの?残念だなぁ、ボクがあと十若かったらおいしくいただく・・・と、冗談だよヒメちゃん。じょ・う・だ・ん☆・・・その銃を下ろそうか?」


調子に乗ってペラペラとしょうもない事を喋っていた愛良だったが、突然ゴリッと押し付けられた冷たい筒の感触に、さすがに頬をひきつらせる。


「・・・変態は末梢すべきじゃない?」


地を這うような冷たい声でそう言ったのは、ゴリゴリと銃口を愛良の背中・・・ちょうど心臓あたりの位置に押し付けている愛姫だった。

ゴミを見るような目で愛良を見つめ、笑顔の欠片も見えないその表情からは、本気なのがうかがいしれた。


(ひめ)(ねぇ)に賛成だな。ヤッちゃえ」


「ダメだよ~。()るなら外で()らないと☆ココ病院だから、すぐに助けられちゃうじゃん」


「・・・お前、本当にしょうもないな」


愛姫の後ろからゾロゾロと顔を出したのは、額に青筋をたてた蒼羽と、愛姫を止めるどころかはっぱをかける誠、その様子に心底あきれている佐渡だった。

拳銃を突きつけられている状態の愛良に対しての、三人の言いぐさに愛良がぷぅと頬を膨らませる。


「みんな冷たくない?」


「冷たくなわよ。まだ温かいからこれから冷たくするの」


「いやいや、マジで銃は下ろそうか、ヒメちゃん?ほら、一応ココ病院だからさ☆」


チッと盛大に舌うちをした愛姫は、渋々と銃をしまいながら顎で愛良に出ていけと、廊下をしめした。

どうやら、今日の愛姫はすこぶる機嫌が悪いらしい。

それを察した愛良は、珍しくおとなしく朱里から離れた。

それを見届けたところで、ようやく愛姫は朱里の元へと駆け寄り、朱里の傷に響かないように、そっと体を抱きしめる。

蒼羽も虫けらを見るような冷たいまなざしを愛良に送りながら、愛姫の後に続いた


「・・・最近の子って、怖いねぇ~」


「今のはどう見てもお前が悪い」


「まったくだよ。バカじゃない?」


少し離れた位置で朱里たちのやりとりを見ながら、愛良はしみじみとつぶやいた。それに佐渡も淡々と答え、誠もあきれた表情を愛良に向ける。

そんな二人の対応に、またしてもぷぅと頬を膨らませる愛良。


「誠~パパは悲しいよ・・・実の子供にそんな事言われちゃうと、パパ泣いちゃうよ?」


「大丈夫だよパパ。実の父親が自分の後輩を口説いてるところを見るほど悲しい事なんて、そうそうないから。天国のママによろしくね☆」


「な~んだ。誠ってば、寂しかったのかい?かわいい子供を置いてまだ死ねないよ。さぁ、パパの胸に飛び込んでおいで」


そう言って両手を広げて見せる愛良に、誠は思わず無表情になる。


「・・・父さん、キモイ」


何の感情も込めずにつぶやかれた言葉は、結構ぐっさりと愛良の胸に突き刺さった。

ため息をつきながら愛良の横を通りすぎ、「アカ~うちのバカおやじがごめんね~」といつものあっけらかんとした調子で話しかけるのを後ろに聞きながら、愛良は行き場のなくなった両手をため息とともに下ろした。


「・・・優君、これが父と子の最終形態だよ。子供ができたら小さい内にかまい倒しておく事をお勧めするよ」


「優君言うな・・・かまい倒した結果が、コレなんじゃないか?」


どこか遠い目でわが子を見つめる愛良に、あきれた声で突っ込みながらも、「自分は絶対こうなるものか」と、秘かに心に誓った佐渡だった。


佐渡「・・・愛良の髪の色、前と変わってねぇか?」

作者「愛良は、しょっちゅう髪の色変えてます。もはや趣味です。」

愛良「奇抜な色が好きです!」

誠「ハハハ、いっそ全部抜けば?」

作者「誠は、父親が嫌いではないですが。父親とは思っていません。」

佐渡「・・・じゃあなんだと思ってるんだ?」

誠「うざい弟」(真顔)

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