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緋の鬼―アケノオニ―  作者: 唯菜美
23/34

偽りの神 六

毎日、更新してる作家さんすごいなぁ~。

いや、マジで。



神夜は日に日に悪くなる体調に、先が長くないことを悟っていた。

その日も床に伏せっていた神夜は、妙な胸騒ぎになかなか寝付けず、だるい体を布団に横たえながらも、眠らずに開いた窓から暗くなる空を眺めていた。


――今日は、鬼灯と逢える日だったな。


体調は悪かったが、鬼灯の事を考えると不思議と体が楽になる。

おかげで最近の事を思うと、今日は比較的に体調が良い日だった。

それでも布団に横になっているのは、下手に体を動かして悪化でもすれば鬼灯に逢えなくなるからだ。


――随分と、身勝手な考え方をするようになってしまったな。


昔ならば、辛い体に鞭うってでも起きて神事に励んでいただろう。

だが、最近は“神”を素直に信じる事が出来なくなってしまっている。

いくら鈍感な神夜でも、“祈り”の後に体調が一段と悪くなれば、“神”を疑わずにいられない。

疑う心が、神夜を“神”から遠ざけていた。

「体調がすぐれぬ」とさえ言えば、お世話係達はみな納得して、その日の“祈り”を中止してくれるので、鬼灯風に言えば「ちょろい」もんだった。


それでも、今日は何やら胸騒ぎがやまない。

いつもと空気が違うように感じるのは、気のせいではないだろう。


――“神”が、荒れている、な。


長年、“神子”として仕えてきた神夜には、この村にいる“神”の機嫌の善し悪しがなんとなくだが、わかった。

今日はすこぶる機嫌が悪いらしい。

何があったのかはわからないが、この不安はそのせいかもしれない。


その時、スゥッとふすまが開いた。


「神夜様。本日はお祈りの時間を設けております。どうぞ、お着替えください」


「・・・体調がすぐれぬのだが」


「・・・お着替えくださいませ」


いつになく有無を言わせぬ様子に、神夜は眉をひそめた。

何か、あったのだろう。

頭を床につける侍女の肩は、小刻みに震えていた。

神夜は一つ溜息をつくと、掛け布団をめくり立ちあがった。


「用意する。少し時間をくれ」


侍女はハッと顔をあげると、うるんだ瞳で感謝するように頭を深く下げた。

いったい何を言われたのか。

気の毒になるほどおびえた彼女は、そのままふすまを閉めて部屋を後にする。


――胸騒ぎの原因はコレか?


違う気がする。

神夜は不審に思いながらも、開いた窓へと歩み寄り外へと声をかけた。


「小毬」


なーん


神夜の声に、小さな鳴き声が答えた。

窓の向こうに広がる綺麗に手入れされた庭がある。そこから一匹の黒猫がカサカサと葉を揺らしながら姿を現した。

小毬と呼ばれ場猫は、トコトコと神夜のもとまでやってくると、ピョンとしなやかに窓の枠に飛び乗った。


「・・・本当に腹に子供がいるのか?」


にゃん


当然でしょ。というように鳴いた猫の頭を撫で、ゆっくりとその手を腹にやる。


「元気な子を産めよ」


・・・


めずらしく返事がなかった。何かを察したのか、首をかしげて澄んだ瞳で神夜をジッと見上げる。


「・・・鬼灯に手紙を頼めるか」


近くの文机から筆を取り、小さな紙切れに短く今日逢えなくなった旨を書いて小毬の首の赤い紐に結った。

いつもなら手紙を結えばすぐに駈け出すのに、今日はなかなか動かず神夜を見つめ続けている。


「行ってくれ」


それは、懇願だった。

それを察したのか、小毬は一つ瞬きすると神夜の掌に頭を摺り寄せて、そのまま窓を飛び降り庭の奥へと姿を消した。

神夜は小毬が頭を摺り寄せた掌を見つめた。動物の勘か、小毬は何を察したのだろう。


見つめていた掌を握りしめ、その手を胸に押しつけた。


これが、最後になるかもしれない。

鬼灯には、もう逢えないかもしれない。

己がいなくなれば、鬼灯はどうなる?

己がいなくなった後、何がどうなるかは全くわからない。

小さな己には、何もできない。

でも、せめて、せめて。

―――鬼灯だけでも、守りたい。


“神”が何なのか知らない。

知らないし、正直知りたくない。

己が犠牲になるだけならいい。

村人のためならば、耐えられる。

だが、鬼灯を犠牲にするならば話は別だ。


己の死と共に、鬼灯を解放する。


神夜の中で、最後の最後に“神”と戦う決意をした。








しばらくして、神夜はいつもの“祈りの場”の部屋にいた。

いつも通りぬける扉が、やけに重苦しく感じる。


「神子様。“祈り”を」


近くには、“神”に仕える紳氏がいる。

“神子”が“祈り”をささげ、“神”に力を与えるのに対し、“紳氏”は“神”の声を聞く。

この男は、“紳氏”の長であり、この村の村長でもある男だった。


今回急に決まった“祈り”は、この男が“神”からの声を聞いたからだ。


曰く、近々起きる災害から村を守るために、急遽“祈り”の力が必要になったそうだ。


「・・・長、ひとつ頼みがある」


「何なりと――」


恭しく頭を下げる初老の男と向かいあう。

今までにない神夜の様子に、男がわずかに眉をひそめたが、すぐに元の無表情に戻る。


「“鬼”を・・・鬼灯を、解放してやれ」


「それは、できません」


即答だった。

あまりにもきっぱりとした物言いに、今度は神夜の方が眉をしかめた。


「何故だ」


「――神子様。何故、“鬼”と交流を?アレは、悪しきモノ。貴方様が関わってよい者ではありません」


「・・・鬼灯は、ただの少女だ。」


「あれは“鬼”です」


「違う!彼女は“鬼”だが、“鬼”じゃないっ!」


思わず声を荒げた神夜に、男の瞳が鋭く細められる。


「――どこまで、知っているのです」


「やはり、何か隠していたかっ・・・彼女を解放しろ」


「――出来ません。“神”の意思に背く行為は」


「一人の少女を死地に送り込むことがかっ!!」


あまりにも淡々とした男の様子に、神夜の頭に血が昇り思わず怒鳴ってしまう。

何が“神”だ。

笑わせるな。

もはや、“神”を信じる事が出来ない神夜にとって、“神”の意思などどうでもよかった。

そんな神夜の様子に、男の雰囲気がガラリとかわる。


「やはり、貴方はあの“鬼”に汚された」


ゆらりと立ち上がると、敬意のかけらも見えない視線で神夜を見下ろす。


「汚されなどいない!真実を知りたいのだっ!」


神夜も負けずににらみ返した。


「この部屋の奥の扉には“ナニ”がいるっ!?“神”とは、何だっ!!」


“神”と呼ぶには、神夜は知りすぎた。神夜の中では、もはや“神”ではない。

扉を指差し問いただす神夜に、男が冷たい目を向ける。


「知らずとも良い」


「私はいったい、何に力を送ってきたっ!!?」




『そんなに知りたければ、教えてやろう』



どこからともなく聞こえた声に、神夜の肌がゾワリと泡立った。

男が、ゆっくりと頭を垂れる。床につきそうなぐらい頭を下げ、恍惚とした声で呟いた。


「――おぉ」


ギギギ。と軋むような音と共に、扉がゆっくりと開き始めた。

扉の隙間から、禍々しい気配が漂い始める。

唖然と扉を見つめていた神夜は、自然と体が震えだすのを止める事ができなかった。


「な、んだ・・・コレはっ」


限界まで見開かれた神夜の目に、扉から何かが飛び出し来るのが映った。

あまりに急な出来事に避ける事も防ぐ事も出来なかった神夜は、激しく床に顔を打ち付けた。

衝撃に目の前がチカチカと光る。

床に抑えつけられた神夜は、視線だけを動かし、扉から這い出てくるソレを見つめた。


「こ、んな・・・こんな、モノをっ!こんなモノを、“神”と崇めていたのかっ!!」


現れたのは、異形の“鬼”。

まさに“鬼”という言葉がふさわしいモノだった。

巨大な体に、赤黒いボコボコした肌。額から生える角は黄ばんだ白で、血のように赤い瞳は爛々と獲物をみる目で神夜を見つめる。

“鬼”がニマリと笑った。


『愚かな、人間の子よ。“神”を疑うなどと・・・ふざけたことを。誰が、この村を守ってやっていたと思う?』


村人は知っているのか?この異形が、己たちの神であることを?こんなモノに村を守られていることを?

とても“神”とは呼べぬ、悪しき気配を漂わせる“鬼”に、神夜はギリリと血がにじむほど唇をかみしめた。


「ふ、ざ、けるなっ!」


こんなモノのために、鬼灯が戦っていたのかと思うと、悔しかった。


『ククク。哀れよの』


「そのくらいにしておけ。紅<クレナイ>」


醜い鬼の声にかぶせるように、場違いな凛とした声が響いた。

床にゴリゴリと抑えつけられながら、神夜は視線だけを声の主へと送る。

そこにいたのは、片目を始めとして体中に不気味な文字が記された包帯を巻いている。炎のように赤い長髪は床を這うほど長く、切れ長の瞳は深紅。漆黒の布を無造作に身体に纏い、合間から見える肌は病的なほど白い。歳は神夜とさほど変わらないだろう、美しい少女だった。

だが、麗しい見た目と相反して、その身に帯びる雰囲気は禍々しかった。


少女は気だるげに足を動かし、紅<クレナイ>と呼ばれた鬼に抑えられた神夜の近くまでやってきた。


「おぉぉ・・・鬼炎<キエン>様っ」


『鬼炎様。だが、この男は、貴方を疑った。もう、“神子”ではいられますまい・・・殺しますか』


「っく!!」


ガッと神夜の髪をつかみ、床に更に強く押し付ける。巨大な体にのしかかられ、神夜の肺から空気が抜ける。

苦しげに呻く神夜を、楽しそうに見下ろした“鬼”は、声をあげて笑う。あふれる殺意を抑えることもなく、今にも神夜を押し潰してしまいそうな紅を制したのは、鬼炎と呼ばれた少女だった。


「待て、紅」


そう言って、神夜にのしかかる巨大な紅にスッと身を寄せた。神夜をさげすむように見下ろし、甘えうように紅にすり寄る。


「殺してはならぬ」


『グルルルルルル』


紅が獣じみた唸り声を喉の奥で鳴らす。それをなだめるように、愛おしげに紅の腕を撫でる。


「殺す前に、最後まで喰らわねば・・・私は完全に復活できない」


己の体に巻きついた包帯を見つめ、忌々しげにつぶやいた鬼炎は、身をかがめ神夜の顔を覗き込んだ。


「のう、“神子”よ。私に、力をくれるであろう?その身と引き換えに、村を守護してやろうぞ。今まで通り“祈り”を捧げよ」


「っ!ふ、ざけ、るなっ!!」


神夜に微笑みかけた鬼炎の瞳は、さげすみに満ちていた。

分かっていて言ってるのだ。神夜が、村人を捨てられないと。それを理解した上で、命を差し出せ、と。

悲しみよりも、怒りのほうが勝った。

忌々しげに声を絞り出した神夜を、鬼炎は鼻で笑う。


「そう言っても、ソナタは私に差し出すのだろう?・・・大切な、村人を守るためだものな?」


神夜は悔しくて、唇をかみしめる。


「ククッ。可愛い神夜・・・さぁ。私に力をっ」


鬼炎は、神夜の髪をつかみ顔を無理やり上に向かせると、にんまりと笑んだ顔を近づける。

視線を一度合わせると、そらすことができず、自然と見つめあう形になる。

目と目を合わせる、少年と少女。

そこに色気などは皆無である。


神夜は、己の体から何か、大事なものが吸い取られていくのを、確かに感じた。


「うぅ・・・」


生気に満ち始めた鬼炎とは逆に、どんどん生きる気力が減っていく神夜。


――ほ、う、ずき


「神夜っ!!!」


頭に靄がかかり、かすんでいく意識と、ぼやける視界と聴覚。

そんな中で声も出さずに呼んだ声に、ココにいるはずもない人物が答えた。



佐渡「朱里、想真、愛姫、誠、俺・・・次は?」

愛姫「・・・以外と出てるキャラ少なくない?」

作者「いやいや、まだまだいるよ!ただ・・・」

愛姫「ただ?」

作者「まだ、出てきていないだけ」

佐渡「・・・結構話続いてるのに、まだキャラ出てくるのか?」

作者「はい」

愛姫「・・・過去編っていつ終わるの?」

作者「・・・次には終われる?」

愛姫「こっちが聞いてるんだけど!?」

作者「・・・と思うよ、たぶん」

佐渡「言い切れないのか」

作者「言い切らないよ」

想真「さっさと終わってくれないと、朱里とイチャイチャできないじゃないか」

愛姫「そんなシーンはない」

作者「朱里なんて、あとがきにすら出てこないからね。一応メインの一人なのに」

愛姫「一応って何よ!一応って!!」

作者「実は一番動かしにくいキャラは、朱里だったりします。彼女真面目だから、決まったことしかしないのよ。それにくらべて・・・」

想真「何だよ」

作者「・・・はぁ」

想真「なんかむかつく。言っとくけど、俺はまだまっしな方だぞ

!?」

作者「これでまっしだからね。まぁ、よく動いてくれるキャラの方がこっちとしては助かるんだけど、勝手な行動は慎んで下さい」

誠「それは無理~♪」

作者「出たな。クラッシャー誠め」

誠「なにそれ、かっこいいじゃん!」(目キラキラ)

愛姫「どこがよ。ださすぎ」

想真「クラッシャー誠って(笑)なんか、少年漫画のタイトルみたいだな」

誠「んじゃ、クラッシャーの名に恥じぬよう・・・新キャラ投入!!」

作者「しねぇよ!?」

誠「えぇ~!しようよぉ!」

???「そうだそうだぁ!いつまで名無しでいさせる気だぁ!」

作者「帰れ!!お前の出番はまだまだ先だ!!」

佐渡「え~いい感じで、場が荒れてきたので、これにて終了~」

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