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緋の鬼―アケノオニ―  作者: 唯菜美
17/34

銀の鬼 八

難産でした……


残酷な描写があります。

苦手な方はバックぷりぃず

夕日は半分沈みながらも、宵闇を拒むように赤をいつまでも残している。

朱里は走りながら、手に巻いた呪符を解いた。

呪符に覆われていた細い手は、火傷したみたいに赤くなっている。

そんな自分の手に、フッと自嘲の笑みを見せた。


――…鬼は鬼…か


呪符を乱暴にポケットに突っ込み、前を見据える。


先ほどの朱里と状況が入れ代わり、今度は鬼が壁にめり込んでいる。壁の欠片を体から振り落としながら、怒りの咆哮をあげた。



――オォぉォ…ヲォォッ!


片腕と片目を無くしながらも、身に纏う強さは損なわれていない。寧ろ怒りで痛みなど忘れて、更に強さを増しているように思える。焦点の定まらぬ目で朱里を睨みつける。


『小娘ェ!そノ身喰ろウてヤるぅッ!!』


鼻息荒くそう言うと、朱里に向かい地を蹴った。


――っ!早いっ!


勘を頼りに身をよじり、致命傷は避けるも、腕からパッと血が散った。

そのまま通り過ぎると思った鬼は、残った腕で地面を掴み、体を器用に回転させて未だ体勢が整っていない朱里に膝を叩き込んだ。

朱里はとっさに腕でソレを防いだが、腕がみしり。と嫌な音を立てる。

蹴られた反動のまま後方へ飛びのき、鬼から距離を取った。


――どういう反射神経してんのよ。化け物めっ!


痛む腕をさすりながら、素早く臨戦体勢をとる。

姿勢を低くし、再び突進してくる鬼に向かって地面を蹴った。

まさか向かってくるとは思わなかったのだろう。鬼は残った目を見開いたが、体勢は崩さない。

鬼と衝突直前に更に身を屈め、相手の体の下に入りこむと、クルリと背を地面に向け刀を真横に振るった。

鬼の太もも辺りに、新しい真一文字の傷痕が出来、血が吹き出す。朱里は血の雨を浴びながらも、攻撃の手を休めずに切っ先を突き出したが、それは鬼によって遮られる。

鬼は痛みの声をあげ、虫を払うように朱里を薙ぎ払う。鬼の手の甲で突き飛ばされた朱里は、そのまま壁にぶつかった。


「…っ!」


肩から思い切りぶつかり、肩甲骨にまで痛みで痺れる。ドサリと地面に倒れ、痛みに喘ぎながらも立ち上がろうとする。

今度は壁を壊しこそしなかったが、ひび割れてパラパラと小さな欠片が朱里の上に落ちる。それだけ、鬼の威力が落ちているのだ。

体中致命傷を負いながらも、巨体を突っ伏すことなく立つ鬼は、まさしく昔語りに出てくる恐ろしい鬼だった。

悲鳴を上げる体を叱咤して、立ち上がった朱里は刀を握りしめる。霞みはじめた視界に、やばいな。などとやたら冷静に考える。

ふと、視界の端に小柄な人影が映った。よく見知ったその姿を見間違えるはずなどない。

愛姫が来たという事は、想真はもう大丈夫だ。ピンチなのには変わりないが、思わず安堵の息を漏らす。


――後は、私がコイツを倒せばいい。


気持ちを新たに鬼を睨みつけた。ぼやけていた視界が鮮明になりハッキリと鬼の姿を捕らえた。片腕を無くし、片目は潰れ、足からは大量の血を流す。

赤い夕日を背に立つ鬼は悪魔のようで、黒い翼が生えているのではないかと、思わず鬼の肩辺りに目をやった朱里は、一瞬目を見張り、それからニヤリと微笑んだ。

そんな朱里の様子に、鬼が唇をめくりあげ、不快さをあらわに唸る。


『何が、オカしイ』


「別に?」


とぼけて肩を竦めながらも笑みを引かない朱里に、鬼は苛立ち声を荒げた。


『今!我ヲ見て!笑っタデあろウ!!』


「…気になる?」


『教えロ!!何ガおカシい!!』


血の混じった唾液を飛ばしながら叫ぶ鬼とは対照的に、 朱里は落ち着いたものだった。

クスクスと笑いながら、鬼に向かって穏やかに微笑む。


「…あんたの、負けよ」


『なニヲ――』


――ダンッ!!!


鬼の言葉は、耳をつんざく様な爆発音に遮られた。


『!?……?』


鬼が不思議そうに、辺りを見渡す。爆音の後に痛みを感じた訳でもなければ、どこかが破壊された訳でもない。いったい、今の音は何だろう、と朱里に目をやると、相変わらずニヤニヤと笑っている。

そうやって悩んでいた鬼だったが、不意にニヤリと笑い、やがて大口を開けて笑いだした。


『ガハハハッ!はっタりカ!!何モ起こラヌでハないカ!!』


「言ったでしょ?あんたは、負ける」


『ほザけッッ!小娘ぇぇェっ!!!』


咆哮をあげながら、鬼が朱里に襲い掛かろうとしたが、その巨体がピタリと止まった。


『!!?』


そこで漸く自分の体に起きている異変に気づいた。

鬼は必死でもがいて、何とか動こうとするが、まるで体中に何かが巻き付いているように動かない。


『ナん、ダッこれワ!?』

「…"縛"<バク>。封術の一つだよ」


鬼の質問に答えたのは、どこからともなく姿を現したジャージ姿の誠だった。

ただ、いつもの学園指定のジャージではなく、朱里や愛姫と同じ黒一色のジャージ。いつになく真面目な顔で鬼を見据えている。


「ま、長時間持たないのが弱点だけどね」


おどけたように言うが、目は笑っておらず、感情の無い瞳を鬼に注ぎ続けていた。


「…馬鹿野郎。んな情報与えてんじゃねぇよ」


誠に続いて佐渡が出てくる。佐渡が現れたのを合図に、影から数人の黒い服を来た男が現れた。鬼を取り囲むようにして現れた者たちの手には、"縛"と達筆で書かれた札がある。


「だって、コイツもう終わりでしょ?」


「それでも、だ。お前には慎重さが足りねぇ」


「かったいなぁ〜優は〜」


「呼び捨てにすんな。下の名前で呼ぶな」


場に似合わぬ軽いやり取りを続ける二人だが、視線は鬼から離さず、空気も張り詰めたままだった。


「別にいいじゃん。こんな初歩の術、普通使わないって〜…それに?力におごった鬼が、自分がどんなに弱い術でやられたか…教えてあげたいし?」


そう言って誠は、フッと口端をあげるが、その瞳は笑っていない。

本来"縛"は、封印術の初歩中の初歩。対象物に印を付け、動きを止めるという至って簡単な術だ。簡単な故に捕縛時間は短い上に、戒めは力のある敵にはすぐに解かれるのだ。到底実戦向きとは言えない。


「これはね?印さえ対象者につければ誰でも使える術なんだよ」


『…っ!?だ、ダがっ!我はオ前ラに印なドツけラれテイナいっ!!』


屈辱に身を震わせながら、なんとか言い返した鬼に、誠は笑った。


「ハハッ!何言ってんの?アンタには、シッカリ印がついてるよ?…ねぇ?さっきその腕に、銃弾を受けたよね?弾はどうなった?」

『!!』


体内ではじけた弾は、まだ体の中の至る所に残っている。その事実に鬼は喘いだ。


『マ、さかっ』


「…この術を発動してるのは愛姫だ。俺たちは術を強化してるだけさ」


鬼は体内の力の残留を辿り、背後を振り返った。

小柄な少女が、目をつむって術を発動している最中だった。

この術から逃れなければ、やられる。そんな考えがこびりつき、鬼は焦った。一人で無防備に術を唱える愛姫に、攻撃の矛先を変え唸りながら駆け出した。


パニックに陥ってる鬼は気づかなかった。

既に術は解け、自由に動ける事を。誠たちと話をする中、無意識に術に抗い体力を消耗され続けていたのは自分だけであることを。

自分が倒すべき相手は、愛姫ではなく朱里であることを。

朱里に、背を向けた事を。


「…お前の相手は、私だ」


いつの間にか、耳元で聞こえた声に、鬼の足が止まった。


『…ガ…ァ…ぁ……』


心臓の辺りから、血濡れた刀の切っ先が生えている。背には、刀を鬼の肉に埋め込んだ朱里がいる。

鬼は悲鳴をあげることもなく、ドォ…ォン。と地響きを立てて地に突っ伏した。

倒れた鬼の上で刀を差し込んでいた朱里は、深く突き刺した刀を抜きとり、鬼が死んだ事を確認した。

鬼は、ピクリとも動かない。

安心したのか、急に体中の傷が痛み出した。


「……っ」

「朱里っ!」


ガクリと膝を着いた朱里の耳に、心配そうな愛姫の声が聞こえてはきた。


――…大丈夫、だよ。


そう言ってあげようと、無理に笑顔を作って顔をあげると、泣き出しそうな愛姫が駆けよってきている。


伸ばそうとした腕は、力が入らずあげることすら出来ない。


ぐらりと視界が傾いた。

愛姫の手が朱里にたどり着く前に、意識は闇へと落ち始める。



――…こんなこと、前にもあったな…



そんなことを思いながら、朱里の意識は完全に黒く染まった。



愛姫「…おい」

作者「な、ナンでしょうか?」

愛姫「話、進んでないじゃんっ!タイトル"銀の鬼"のままじゃないっ!」

作者「タ、タイトルは確かに変わってないケドっ!話は進んでるヨ!」

朱里「正直に言うと?」

作者「タイトル変えようとはしてたんです」

愛姫「ほらみろっ!」

作者「タイトル変えるには話の長さが足りなかったんだよっ!」

愛姫「うわっ!開き直りやがったっ!」

朱里「説明の仕方が悪かっただけじゃない?あんな書き方じゃ、新しい章(?)が始まるみたいじゃん」

作者「次からは気をつけます。すみませんm(__)m」

愛姫「甘いっ!甘やかしたら調子に乗るよっ!」

作者「話は進んでるもんっ!!」

愛姫「もんっじゃねぇっ!可愛くねぇっつのっ!このブスっ」

作者「!!そ、それは言っちゃいかんだろぉがぁぁっ!?」

愛姫「ブスにブスって言って何が悪い、ブス」

作者「さ、さ、三回も…っ!!ぎ、ギリギリ中の下だもんっ!」

愛姫「中の下なんてないっ!中は中だっ!そしてギリギリ中の下なら、あんたは下だっ!!」

作者「い、言いやがった…言っちゃならん事を言いやがった!!」

朱里「愛姫…」

想真「ぅ…わ、きっつ」

佐渡「可愛くねぇ〜」

誠「美少女なのに、中身が残念だよね〜あ!でもヒメはツンデレだよ!」

想真「あんなデレ皆無なツンデレ見たことねぇよ」

誠「いやいや〜アイツの前では可愛いよ〜」

佐渡「…あぁ、アイツか」

朱里「そういえば、いたね」

想真「え、アイツって誰?」

愛姫「!?ちょっ!アイツはまだまだ出てこないでしょっ!?つか、出てくるかわかんないしっ!!何また爆弾投下しようとしてんのよっ!?」

作者「許すっ!言けぇぇっ!!(泣)」

愛姫「はぁぁっ!?ついに頭おかしくなったのっ!?」

想真「行けを、言けって…中二病かよ…で、アイツって誰さ?」

誠「アイツってのはぁ〜♪」

愛姫「だ、黙れぇぇっ!!」

想真「…で、デレたっ」

誠「顔真っ赤にしちゃって、かんっわいぃ〜♪」

作者「ざまぁっ!!」

佐渡「…大人げねぇ」

朱里「…どっちもどっちじゃない?」

想真「アイツって誰だよっ!!」



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