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ーあらすじー

ケイジは何者かに襲撃(?)を受け、泉、美術館のような回廊へと目まぐるしく移動させられてしまう。

そこで見た絵に手を伸ばすと強い光に包まれてしまうのだった。

鈍い痛みを感じる。

ふと、子供の頃にジャングルジムから転落した事を思い出した。


下が芝生だったから特に大きな怪我はなかったけど、あの時も丁度こんな痛みだった。


「……和!大和!起きろって!」


何度も声をかけられて俺は目を覚ました。

暫く振りに目を覚ました気がする。

なんだかすげぇ疲れる夢を見たような……ん?大和って誰だ?


「ようやっと目を覚ました!あの高さから落ちたから死んだかと思ったぞ!」


そう声をかけてきた相手は俺の全く見知らぬ男だった。

あの高さと言いながら彼が見上げた方を向くと、立派な物見櫓が目に留まる。


隣の木よりもずっと大きいそれは、10m程はあるように見えた。


「木の枝が助けてくれたんだな。日頃の行いが良くて助かったな!」


そういうとガハハと彼は笑った。


というか、なんだその格好は。

麻で編んでいるであろう布に簡素な穴を空けて、至る所に布を巻きつけている。

歴史の教科書で見たような格好だ。


起き上がりながら自身の身体を見ると、自分も同様の格好をしていることに気づく。

どうみても、手や身体の作りが俺のそれとは違っていた。


「なんだよキョロキョロしたりして。頭打っておかしくなったか?」


男は俺の様子に、心配そうに覗き込む。


「いや、なんでもないよ。」


どうやら夢はまだ終わっていなかったらしい。

目まぐるしく場所が変わっていって、光りに包まれて……次は、昔の日本か?


「あ!大和!お前そろそろお告げの時間じゃないか?早く行っとけよ。あの人にお目通りできるのは弟のお前だけなんだから。」


彼はそういうと手慣れた様子で梯子を駆け上がって戻っていってしまった。


あの服装……確か、弥生時代の物だ。


弥生時代、弟だけが会える。


そこにお告げとくれば、まぁ一人しか居ないだろう。

あの人物の弟の名前は、明らかになっていないが間違いない。


俺の夢はそこになんとも安直な『大和』なんて名前を代入したらしい。


安直なネーミングだと、自嘲する。


しかし、笑っている場合じゃない。

全くもって場所が分からない。


夢とは言え、処罰されるのはたまったものではない。

見回すと木製の柵があり、その内外に向けてしっかり整えられた道があるのがわかる。


ということは、内側に向かっておけば辿り着くことが出来るに違いない。


俺は急いで自身の役割を果たすべく村の中心部へと向かうのであった。


歩き出してから直ぐに思い知らされる。


昔の街並みだと思って正直舐めていた。

区画整備等が相当行き届いている。


旅行で何度か、当時の街並みを再現した観光地に足を運んだ経験もある。


しかし、あくまでそれは現代の技術とミックスされてしまっていて何処か地続きの感覚が抜けない。


それがどうだ、ここにまざまざと見せつけられる一面に広がる田園風景。


居住区と稲作区はきっちりと分けられ、政を行うであろう場所は広場になっており、この村の人間が集まっても全く問題にならないであろうスペースがしっかりと確保されている。


お告げの時間で皆が集まっていたおかげで直ぐに場所を特定できた。


「大和様!どこへ行っておられたのじゃ!ささ、あの方のお声を聞いて、皆に伝えるのじゃ!」


怪しげな装飾品をたっぷり付けた婆さんに促されるまま、建物の中へと入っていく。


中は、窓を閉じ油ランプを使って明かりを確保している。

オレンジ色の柔らかく温かみのある火が周囲を照らしているが、周りには獣の骨や何に使うのか分からない土器のようなものがこれみよがしに置かれていて、照明の温かみがそのまま不気味さに還元されてしまっているように感じる。


「大和……ではないですね。初めまして。」


ドキリと俺の心臓が跳ねる。

そうか、そういうギミックを用意してくるか。


「なにいってるの?僕は大和だよ、姉さん!」


自分でもなんて下手な演技なんだと自嘲する。

くるりと彼女が振り返ると、その素顔が向けられる。


そこに居たのは、日本人離れしたパチッとした目に、綺麗な黒の長髪を携えた、文字通りの大和撫子だった。


俺の妄想も大概だな。

『彼女』をここまで美少女にしてしまうとは。


「大和は僕なんて言いません。」


その言葉に俺は自分の迂闊さを思い知らされる。

それが顔に出てしまったのか、彼女は俺を見て確信を得たように見えた。


「私の前で嘘は通用しません。正直に語りなさい。貴方は何者ですか?」


彼女は俺にずいっと顔を寄せると、目を覗き込んでくる。

澄んだその瞳は、明らかに大和の中にいる俺に向けられており、彼女の呪術的な話はこういった直感力から来てるのかもしれない、なんて考えさせられる。


「……降参です。私は、今、大和さんの身体を借りてここに居る未来人……貴方達の末裔のような存在です。」


それを聞いた瞬間、射抜くような瞳にはキラキラとした輝きが宿るのが見えた。


「まぁ!未来の方なのね!未来ってどのようになってるのかしら?どのように発展するの?ご飯はどのようなものを?」


思ってもいない反応に思わず面食らってしまう。

もっと混乱した反応を見せるものだとばかり思っていたが。


「お、驚かないのですか?」


俺の言葉に彼女は寧ろ何故そんな事を言うのか分からないといった顔をする。


「うーん。驚いたよりも、気になる方が大きくって。神様や霊とは何度も話したことあるけど、未来人は初めてですもの!それで!未来の方はどのように生活してるのかしら!」


俺の疑問に答えてはくれるものの、彼女のワクワクは止まることを知らないらしい。


「お、落ち着いてください!まずはお告げを済ませましょう!ずいぶん待たせてしまってますから!」


それを聞いて彼女はハッとした顔をする。


「あら、私ったら!ごめんなさい!お告げはしてあるから、今から言うことを伝えてちょうだい!」


今の俺の顔は酷く憔悴してるに違いない。

彼女の溌剌さは、日陰者の俺には眩しすぎる。


彼女にあてられた俺は力なく返す。


「……かしこまりました。『卑弥呼』様。」


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3/25 改稿。以下の部分を修正

・冒頭部分

・弥生時代の考察

・卑弥呼の驚かない理由

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