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レイチェル先生の講義は、どんどん進んでいく、
今日は各領地の特徴だ。
「ルマニスク領は鉱山があり、
銀が採れる他、宝石が採れる鉱山もあります」
「はい」
それぞれの領地の特徴を教えてもらっているのだが、
どうしても頭に入りにくい・・・
難しい顔をしている私に、
レイチェル先生は心配そうに声をかける。
「私の教え方は分かり難いですか?」
私はうーんと考えて。
「私の場合ですが、単なる特徴だけでなく、
どうしてそうなっているのか、
全体的に把握した方が分かりやすいかもしれません・・・」
レイチェル先生は驚いた顔をする。
「それは?」
「例えばローレンヌ領ですね、
山が多い、葡萄がよく採れる、ワインが名産、
穀物はイマイチとの事でしたが、
斜面が多い山は葡萄を栽培するに適しており、
それによりワインの製造が盛ん、
しかし、水はけが良すぎて、穀物はあまり育たない。
という事では?
そうゆう風に、土地の特徴、
その特徴からくる名産と育ちにくい植物、
そうゆう事をまとめて教えて頂いた方が、
私には把握しやすいかと・・・・」
私はどうですか?というように、
レイチェル先生を見ると、先生は感動していた。
「素晴らしいですわ!
分かりました、そのようにお教えします!
ところで、クリスティーナ様がお住まいの、
この領地の特徴はご存じで?」
「そうですね・・・
沢山牛や羊がいる・・・・程度でしょうか・・・・」
「概ねそうです。
この地方では牛、羊の飼育が盛んです、
牛は乳牛と肉用の牛両方が育てられています。
牛乳はもちろんの事、チーズの生産も盛んで、
国で1番の評価を受けています。
また、羊は肉だけでなく、羊毛となり、
牛は皮は革製品になったりと、
加工もされています。
平地が多く、人間が食べる穀物、
牛、羊などに食べさせる穀物も豊富です」
私はあれ?と思って聞く。
「この地方って、かなり恵まれている?」
ローレンヌ領のように、ワインだけが盛んでも、
穀物や肉が手に入りにくいなら、
他の領地から仕入れなくてはならない、
それはけっこうなコストではないだろうか。
「いままで当然だと思っていらっしゃったので、
気づかれなかったのですね、
この地方はかなり豊な土地です。
運河があり、海から王都まで交易が
できるのも大きなメリットです」
そう言えば、食事にはいつも肉が出ていたし、
穀物、野菜も不足した事がなかった。
日本人の感覚でそれが当然のように思っていたけれど、
文明の発展度を考えると、
かなり裕福だったと今更ながら思う。
「な・の・で」
と言葉を区切って、レイチェル先生が続ける。
「王子の婚約者としては、
この裕福な土地を持つクリスティーナ様との
結婚は十分ありえる事です。
侯爵家はともかく、他の伯爵家からは、
リードしていると言っていいでしょう!」
ふん!と鼻息荒く、
なぜかレイチェル先生が自慢気だが、
私はある程度お馬鹿な振りもした方がいいかなと、
危機感を募らせるのだった。




