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いきなり異世界転生をし、
普通なら驚いたり、パニックになったりすると思うが、
そんな事はまるでなく、
この数日ですっかりこの体にも馴染んでしまった。
24歳から、13歳の体になり、
平凡な会社員から、美少女になったが、
むしろラッキーぐらい。
料理人が作ってくれる料理は美味しいし、
ドレスはひらひらで女の子の夢のよう、
しかも、それがぴったりとハマるという、
夢のような外見。
クリスティーナの記憶を辿った所、
ドラゴンや魔法はなく、
国自体も平和で、戦争などは無縁で済みそう。
今も平和に伯爵家にある庭に来ている。
手入れされた庭はとにかく赤い薔薇で溢れている。
これは亡き母が赤い薔薇が好きで、
父が庭師に赤い薔薇を植えるよう指示したからだ。
この国では冬以外、
春薔薇、夏薔薇、秋薔薇とそれぞれの季節の薔薇があり、
冬以外薔薇が途絶える事はない。
それと、小さいけど、3段になった噴水もあり、
国でもこの庭は有名なのだと、
庭師が自慢気に話していた。
そんな庭で今も花を愛でて・・・
暇だ・・・
会社員の頃はそれなりに忙しく、
休日はライブに行ったりしていた。
暇ならスマホで映画を見て・・・
そう、結局の所、
暇を優雅に過ごすという事は苦手で、
何かをしていたいんだよね~
そう言えば、日本なら13歳なら学校に行ったり
したのだけど、勉強ってどうなっているのだろう。
そうしてクリスティーナの記憶を辿る。
この国では、貴族の子供は家庭教師がつくのが当然。
そして、16歳から18歳の間のみ、
国が運営する学園で、
社交を含む勉強をする事になっている。
でも、クリスティーナの勉強って、
ダンスとピアノだけ・・・
クリスティーナの記憶をいくら辿っても、
この国の地理とか、歴史とか、
知りたい事が出てこないんだよね~
どうして?
そして、更にクリスティーナの記憶を辿る。
そして、ダダをこね、
勉強なんてしたくないって言ったのを思い出した。
残念だ・・・
この美少女・・・・残念な少女だ・・・・
私は日本にいた時は、結婚しないと決めていた。
1人で生きていくと。
その為にかなり勉強は頑張ったし、
仕事でも評価されていた、
伯爵家なら事業をしたりもできそうなのに、
こんなに知識がないと、どうしようもない。
もしかした、政略結婚とかあるかもしれないけど、
できればこの世界でも1人でやっていきたい、
結婚なんてしたくない。
その為には、この世界の知識を身につけないと。
そう決めた私は、
元いた家庭教師に戻ってもらって、勉強する事にした。
でもいきなり勉強したいなんて不自然よね・・・
そこで演技をする事にする。
「ねえ、リンダ」
「何ですか、お嬢様」
机の上にはそれぞれ種類が違うケーキが10個程あり、
沢山の種類を食べれるよう、サイズも小ぶりになっている。
私はそのうちの3つをリンダに指示し、
お皿に取り分けてもらう。
見た目だけではどんな味かまったく分からないが、
それを想像するのも楽しくて、
この小さなケーキは大好きだ。
そのうちの1つを口に含み、
ラズベリーの酸味と、クリームの甘味が
マッチしたケーキを食べながら話す。
「私、フェリクス王子とお話をしてみたいの」
「まあ、素敵ですね」
フェリクス王子は私より1つ上の第一王子、
次世代の王だ。
挨拶程度の関わりはあるが、
王都と伯爵家の領地が離れている事もあって、
さして交流もない。
ただ、父親から姿絵だけは見せてもらっており、
私が美少女なら、王子は美青年と言った感じの、
かなり整った顔の男性だったと記憶している。
もちろん、王族をブサイクには書かないと思うので、
だいぶ美化されているかは分からないが、
13歳の少女が憧れるには、丁度いいだろう。
「フェリクス様はすごく賢いって噂だわ。
私も賢くなると、仲良くなれる気がするの」
「まあ」
リンダはかなり驚いている。
「王子をめろめろにする為に、
その勉強をしたいなと思って」
「すぐに旦那様に連絡します!!!!」
リンダは文字通り、すっ飛んで行ってしまった。
まあ、ここは伯爵家の庭で危険などないし、
リンダの行動を責める事はない。
あの行動を見るに、リンダは私に勉強をさせれない事を、
かなり気にしていたようね、ごめんね。
と思いながら、王子の為って結構使えるわ、
これからも利用させてもらいましょうと、
にやりと微笑むのだった。




