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愛を信じられない令嬢は、王太子殿下に心を溶かされる  作者: あいら


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その秋、ヒロインのノートに書いてあったように、

流行病が流行りだした。


しかし、煮沸消毒を徹底するよう、

指示を出してあった事もあり、

症状は軽く、本来出るはずの死者も出ていない。


父親に石鹼の効果を病院で試してもらっていたので、

病気の流行を抑えられる不思議な物という事で、

大量に保管されていた、石鹸を送った。


正直、住民は半信半疑だろうが、

流行病が流行ると、怪しい祈祷も受け入れられたりするのだ、

石鹸もそのぐらいの怪しさだったが、

とにかくありがたい物として、

受け入れられる形となった。


私は石鹼が、祈祷と同じ扱いである事に、

なんとなくもやもやしたが、

とにかく使ってもらう事が大事と、

それ以上深く考えない事にした。


教会の下働きになったヒロインは、

流行病が流行ったと聞くと、

自分が正しいと主張し、

この環境から変えるよう主張している。


しかし、そんな話を真面目に受ける人間は、

周りに誰もいず、不満を言いふらしているようだ。


そんな中、教会の教皇から、直々に話があった。


「クリスティーナ様、今回の流行病なのですが、

 幸いな事に薬の作り方が分かっている病気です」


「それは良かったです」


「しかし、キーリスの実とバルデロナの葉が

 どうしても不足しているのです。

 しかし、新薬の開発の為、

 ラオシャン帝国から輸入をされていたと、

 教会の関係者より聞いています。

 正規の値段より、少し上乗せいたしますので、

 流行病の薬に使わせて頂けないでしょうか」


「もちろんですわ、金額も正規の値段でかまいません、

 教皇様にお任せいたしますわ」


教皇が腰を折り、最上級の礼を取る。


「民の為に、薬を用意するのが教会の役目、

 しかし役目を果たしきれない無能な我々を、

 お救い頂いた事は決して忘れません」


「おおげさですわ、

 民を守る宿命を持つのは王族も同じ、

 てを取り合い、この苦しみを乗り越え、

 民の命を1つでも救いましょう」


教皇は再び、最上級の礼を取る。


その後、教会の関係者がずらりと並び、

深く頭を下げたなか、廊下を進み、教会を後にした。






こうして、流行病は、最小限の被害で抑えられた、

数人が腹痛を訴え、肌に黒い斑点ができたが、

薬を飲んだらすぐに収まり、誰一人と死ななかった。


教会が私に敬意を払った事は、

貴族の中で大きな衝撃となって伝わり、

次期王妃として、これ以上の人はないと、

誰もが思ってくれるようになっている。


私を攻撃すると、王太子だけでなく、

教会も敵に回すとなると、そうそう手は出せない。


私は民を救いたかっただけだが、

教会の後ろ盾という、思いがけない力を手にいれた。






「結婚式は3か月後だ」


いきなり告げられた言葉に、思わずフリーズする。

手に持っていた紅茶が入ったカップを

落とさなかった事を褒めて欲しい。


「フェリクス様は今年学園を卒業ですが、

 私はまだ1年学園生活があります」


「退学だな」


「いいのですか?」


普通、学園で3年過ごす事で卒業となる。


退学なんて外聞が悪いのではないだろうか・・・・


「教会まで認めている。

 それに、後1年抱けないなんて我慢できない」


直接的な言葉に顔が赤くなる。


もちろん王族となれば、

体の関係を持つのは結婚してからと暗黙の了解がある。


子供がその王族の子である事が重要だからだ。


「父に相談してみます」


当然父は王族からの命令に逆らえないだろう、

退学、結婚は確定な流れ、

それでも何とか抵抗したかった。


「ウエディングドレスはほぼ制作は終わっている、

 後は好みの部分を足して、調整するだけだ」


その言葉に頭がくらくらする。


「他国の方の紹介状は?」


「今日、この話をしが終わったら出す。

 3か月後なら、常識の範囲だ」


もう手紙の準備も終わっていると思っていいだろう。


「君以外見えない、君を手放す気はない」


その言葉に心臓がどきどき言う。


男の人と付き合うなんて、二度とごめんだと思っていた、

恋愛からは逃げて、逃げて、

でも結局は逃げきれなかった。


私もフェリクス様が好きで、

また傷つくとしても、離れたくないのだ。


そして、フェリクス様は決して、

私の事を裏切る事はないと、今は確信している。


「愛しています」


その言葉にフェリクス様が立ち上がり、私の横に来る。


目と目が合い、私は静かに瞼を下す。


そして、唇が重ねられる感覚を感じ、幸せに浸っていた。

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