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愛を信じられない令嬢は、王太子殿下に心を溶かされる  作者: あいら


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夏休みが明けて、学園が始まった。


そして、数日が経ち、お昼を一緒に食べようと、

フェリクス様に誘われていたので、

指定のカフェテリアへと向かう。


あ、フェリクス様。


姿を見かけ、近づこうとした時だった。


フェリクス様がある女性を抱きしめているのが見える。


どくんと心臓が音を立てる。


一瞬前世の事が頭によぎるが、

私はフェリクス様を信じると決めたのだ、

そのまま女性とフェリクス様の元へ向かう。


「早く離れてくれないか」


フェリクス様の冷たい声が耳に入る。


その言葉にほっとする自分がいる。


「どうして?イベントは合っているはずなのに・・・」


その言葉に違和感を覚える。


フェリクス様に抱きついている女性の顔が見えて、

以前声をかけられたエミリー嬢だと思い当たる。


「フェリクス様」


私の存在を知って、強引にエミリーさんを離そうとするが、

エミリーさんはフェリクス様に強引にしがみついている。


「バカな女が王妃候補なんておかしいのよ」


その言葉にフェリクス様の手が止まる。


「”バカな女”というのはクリスティーナの事か?」


一段と冷えたフェリクス様の声にもびくともせず、

エミリーさんが答える。


「他に誰がいるんですか?

 マナーもダメ、勉強もメイドの力、

 王妃なんてとんでもないんですよね」


そう言って、フェリクス様に抱き着いたまま、

勝ち誇った顔で言う。


私は何を言っているのかしら?


とあきれてエミリーさんを見ていた。


平民が伯爵令嬢にそういった態度を取るのは、

それこそバカな行動だと気づかないのかしら?


「不敬だな、反省室へ連れていけ」


フェリクス様に付いていた子息が、

強引にエミリーさんを引き離し、反省室へと連れていく。


「ちょっとどうゆう事?

 私は王妃になるのよ?

 こんな対応をしていいと思っているの?!!!」


エミリーさんは相変わらず叫んでいる。


フェリクス様はチュッと私の額にキスをする。


「嫌な思いをさせて済まない、

 後はこちらで処理しておく」


そう言って抱きしめられた。





数日後、すっかり綺麗になった、

王宮のフェリクス様の部屋に来ていた。


「エミリーの様子が知りたい?」


「はい」


「意味不明な、気が狂ったような事を言っているだけだ」


「それでもいいのです」


私の予感だが、エミリーさんも転生者のような気がした、しかも記憶持ちだ。


「自分はヒロインだとか、

 攻略は完璧なはずだが、一部齟齬があり、

 階段から突き落とされるのは自分だったとか」


その言葉にやはりと思う。


「これから先、私がいなければ大変な事になると言っていた」


「大変な事?」


「流行病が起こり、それを防げるのは私だけだと、

 だから王妃にしろと言うのだ」


「まあ」


「彼女の持ち物に、まったく読めない暗号が書かれたノートがあった、不気味な予言といい、気味が悪い」


私は黙って考える。


おそらく、この世界は本かゲームの世界で、

エミリーさんは未来を知っている。


そして、前世の知識でこの先の流行病を防げる知識を

持っているという事だろう。


「フェリクス様、その暗号文のノートを見せて頂けませんか?」


フェリクス様は驚いた顔をしつつも。


「わかった」


と控えていたメイドに、エミリーさんの記した、

暗号のノートを持ってくるよう指示してくれる。


しばらく時間が経って、そのノートが届けられた。


そして、ノートを見て確信する。


ノートに書かれていたのは日本語だったからだ。


私はそのノートを最初から読んでいく、

ここは本の中の世界のようで、

フェリクス様と下町を散歩デート

とか書いてあって、どきりとする部分もあったが、

よく分からない振りをして、ノートを読む。


5人の王妃候補のうち、私はノートではバカでマナーができず対象外になっていると書かれていた。


ヒロインはよほど思い込みが激しいようだ。


悪役令嬢であるクラウディアに階段から突き落とされたり、不遇な環境だか、

王子と相思相愛だったヒロインが、

とある侯爵家の養女となり、王妃となるストーリーだと書かれていた。


また、馬車に襲われる事は記載されていず、

イレギュラーな出来事だったと察しられる。


そして、最後の方に、流行病とあった。


これだ!


と思う。


どうやら、この冬、流行病が起こり、

石鹸を発明する事により、抑える事ができるようだった。


石鹸の作り方も書いてあったので、

集中して暗記する。


それに、教会が海の向こうのラオシャン帝国から薬草を輸入して、薬を作るとあった。


ヒロインは教会の司祭長の養女、

ここで教会とのつながりが生きてくる設定なのだろう。


ヒロインが動けない以上、

私がラオシャン帝国とやり取りをして、

薬を用意する必要が出てくる。


「ありがとうございました」


よく分からない文でした、という表情を作り、

フェリクス様にノートを返す。


「エミリーさんはどうなるのですか?」


「教会が絡んでいるので、他言無用だが、

 以前君の馬車を襲った暴漢は、

 エミリーの養父だろうとほぼ暫定されている」


え?と思う。


「エミリーの養父は、次々と未来を当てるエミリーを見て、神の使いと信じ、王妃になると確信したらしい」


フェリクス様は無表情だが、

その言葉から、どうしようもない親子と思っている事が知れた。


「養父共々処分されるだろう、

 学園は間違いなく追放、

 修道女だと、誰に会って、何を言うか分からない。

 民と会う事がないよう、教会の監視の元、

 教会の下働きにする予定だ」


私はその言葉にうなずく。


自分はヒロインだと思っていたのなら、

つらい処分かもしれない、

しかし、これから流行病が起こるかもしれないと知って、

その知識を広めるのではなく、

自分が王妃になる為に利用した所で、

私は当然の報いだと思っている。


クラウディア様は白だったが、

エミリーは黒・・・にもなりきれない灰色と言った所か。


退場したヒロインに気を使っている場合ではない。


何とか流行病を止めなくては・・・


私は強い決意を胸に抱いていた。

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