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愛を信じられない令嬢は、王太子殿下に心を溶かされる  作者: あいら


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「こちらでございます」


メイドに案内されたのは、何度か入った事のある

フェリクス様の部屋。


メイドが戸を叩き、合図をしてから戸を開ける。


そして、目に入った光景に、言葉を失った。


床中に散らばった書類、

食べ物も散乱しており、絨毯にシミを作っている。


大きな花瓶は見るも無残な姿になっており、

もう使うのは不可能を思われるような形状へと

姿を変えている。


そして、フェリクス様は、

壁に掛けられたカーテンを力任せに引きちぎろうと

しているところだった。


あまりの光景に一瞬呆然となってしまった。


「フェリクス様!」


すぐに我を取り戻し、

後ろからフェリクス様を抱きしめる。


「フェリクス様!」


もう一度名前を呼ぶ。


フェリクス様はそのまま力が抜けたように、

座り込んでしまった。


「これはどうゆう事ですの?」


控えていたメイドに聞く。


「・・・・クリスティーナ様が婚約を辞退したいと

 聞かれてから、錯乱されてしまって・・・・」


私は思わずフェリクス様を見る。


私のせいで・・・


後ろから抱きしめる私の腕に、

フェリクス様の腕が絡まる。


「これは幻覚か?クリスティーナがいる・・・」


もう現実かどうかも分からないようだった。


「何でもする。

 襲撃した人間は切り刻んでしまおう、

 君がいないと、私は空っぽなんだ」


呟くように言うフェリクス様に涙が伝う。


フェリクス様を遠ざけたのは、恋をしたくなかったからだ。


前世、学生だった時、当時付き合っていた彼に、

二股をかけられた。


そして、社会人になって、結婚をという話になった時、彼は既婚者だと告白した。


私は真剣に恋をしていた、

だから2人共上手くいかなかった事は、

私の中で大きな傷となった。


恋をするのが怖い。


男性をもう信じたくない。


そう殻に閉じこもる程に。


しかし、今のフェリクス様を見て、

そんな心が溶けてしまう。


少なくとも、既婚者ではないし、

こんなになるまで、私の事を思ってくれている。


「好きです、フェリクス様」


思わず声に出していた。


私の腕を解き、振り返り、私の顔を見る。


「都合の良い幻覚を見ているようだ」


「幻覚ではありません」


「こんな私を見て、愛してくれる者などいるはずがない」


確かに、こんな狂ったような状況では、

逃げ出してしまう人もいるだろう。


しかし、私は逆にこの状況が、

フェリクス様の私への本気の気持ちを感じたのだ。


私は強引にフェリクス様にキスをする。


唇を合わせるだけのキスだったはずが、

フェリクス様に頭を抱えられ、

深く何度も角度を変えてキスされた。


ようやく唇が離された時は、息が上がっていた。


「フェリクス様、舞踏会へ出れますか?」


現実を取り戻したフェリクス様に告げる。


フェリクス様は次代の王、

この舞踏会で交流を持たない事は、マイナスになってしまう。


「私の色のドレスを着てくれるか?」


ねだるような声に、優しく頷く。


「はい」


私はメイドにフェリクス様と私の着替えを指示する。


着替えの為に違う部屋にいたが、

着替え終わって会った時には、

意識はしっかりしているようだった。


「夢ではないのだな」


フェリクス様の色のドレスを着た私に、

嬉しそうな表情を見せ、

私の心臓もどくんと音を立て、幸せに包まれる。


「これからは一緒にいます」


そう言って、フェリクス様のエスコートを受け、

舞踏会会場へと戻った。





舞踏会会場に入ると、私のドレスを見て、

みんなから笑顔が見える。


こうゆう演出だったのかと、怪しまれてないようだ。


私はフェリクス様に誘導されて、

ホールの中央に向かう。


私たちがダンスを踊ると察して、

全員がダンスをやめ、スペースを作ってくれる。


優雅な音楽が流れてきて、二人だけのダンスが始まる。


フェリクス様とのダンスは永遠のようで、

なのに、一瞬で終わったように感じて、

不思議な感覚にとらわれていた。


ダンスが終わった時、会場全体から拍手が起こる。


そして、フェリクス様が膝をついて、

私の左手を額につける。


「クリスティーナ・エルメス嬢、

 私の妃となってください」


「はい」


そして、私の左手に口づけが落とされる。


王が声を張り上げる。


「予定にはなかったが、いい機会だ、

 これをもって婚約成立とする!

 同時にフェリクスを王太子と認めよう、

 皆が証人だ、2人を祝い支えてくれ」


会場内は大きな歓声が上がり、拍手が鳴りやまなかった。

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