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愛を信じられない令嬢は、王太子殿下に心を溶かされる  作者: あいら


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17/24

17(フェリクス視点)

母上がスケジュールの変更を許可されたのは、

私にとってすごく重い意味を持つ。


普通なら単なる令嬢の我儘に、

王子が付き合う事などない。


そんなありえない事をさせるほど、

クリスティーナ嬢に価値があるという事だ。


次期王妃、そう思った方が良さそうだ。


クリスティーナ嬢には、

王子として最上級の礼を尽くそうと決める。


庭を見たいと希望され、

王宮の庭を案内する事にした。


しかし、庭がある事は知ってはいるが、

必要時以外立ち入る事もない場所だ。


花の知識がある訳でもないが、

それでも上手く案内する必要がある、

場合によっては庭師を呼んで・・・

脳内でいくつかのパターンをシュミレーションする。


庭に出て、花を見ているクリスティーナ嬢は、

ピンクの薔薇がある!

あの小さい白い花素敵!


と楽しそうだ。


あまりにも自然で、こちらも気が抜けてしまう。


いやいや、いけない、

相手は次期王妃、油断はできない。


そう思っている時だった。


「頭を空っぽにすると、

 アイティアが閃く事があるんです」


「頭を空っぽに?」


私は常に何かを考えていて、

何も考えないという状態が想像できなかった。


「アイディアの点と、アイディアの点が、

 こう、ピンと線で結ばれて、

 新しい考えが生まれるのです」


「なるほど」


私は体験した事がないが、クリームを産みだしたのだ、

その秘訣なのかもしれない。


「フェリクス様も一度頭の中を、

 空っぽにしてみてください」


私は目を見開く。


「花を見て、風を感じるのです、

 五感を研ぎ澄まし、自分の心の声に耳を澄ます」


自分の心?


思いがけない言葉に、返答に困る。


「フェリクス様はどんな花が好きですか?」


反射的にこう答えていた。


「貴女が好きな花が一番好きです」


クリスティーナ嬢が驚いた顔をして、

嬉しそうに微笑む。


その心からの笑みに、ずっと見ていたいと思った。






庭を見た後は、

本来の予定を聞かれ、剣の稽古をするつもりだったと

話すと、ぜひ見たいと希望された。


私は騎士達に交じり剣を振るう。


最後に騎士団長と打ち合い、

何度か剣を交えた後、剣を落とされ負けた。


騎士団長に勝てるはずもなく、

負けて当然なのだが、

クリスティーナ嬢がずっと応援してくれていたので、

負けた姿を見せた自分が少し恥ずかしくなった。


もっと強くなりたい、

クリスティーナ嬢の声援に応えたい、

素敵な男性として見られたい。


今まで一度も感じた事のない感情が、

どんどん沸きあがってくる。


ああ、彼女は自分にとって特別なんだ。

そう確信していた。

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