16(フェリクス視点)
私の部屋に王妃付のメイドがやってきたのは、
隣国との交易について考えていた時だった。
「王妃様より、クリスティーナ様と
お茶をする合図がございました」
「そうか」
私は隣国の資料を、資料室に運ぶよう指示する。
万が一でも、クリスティーナ嬢の目に入る事が
ないようにだ。
クリスティーナ嬢は、裕福な領地の伯爵令嬢で、
とても美しい人だとは聞いていた、
しかし、勉強が嫌いでマナーがなっていず、
焦った父親が王都から家庭教師に呼んだが、
その成果の程は不明だった。
しかし、カーバス帝国からおもわない情報が手にはいる、
クリームなる物を開発し、
この国の取引を有利にしたのがクリスティーナ嬢
だと言うのだ。
これは、勉強嫌い以上の成果がある。
馬鹿であるという事実より、
周りに優秀な人を集め、
大きな利益を産める才能がある方が、
王妃として何倍も価値があるからだ。
どれほど頭が良く、勉強ができても、
部下をこき使い、もしくは見下され、
上手く使えない人物などいくらでもいる。
優秀な人材は、本当に仕える価値のある人物か見る、
仕事をしやすい環境を整え、
きちんと評価し、報酬をくれるのなら、
例え仕える人が勉強嫌いでも、
心から仕える事がある。
ただ、最低限のマナーはどうしても必要で、
母がそれを見ていたのだが、
社交は上手くやっているという情報通り、
合格だったのだろう。
しばらくすると、クリスティーナ嬢がやってきた。
舞踏会で何度か顔を見てるはずだが、
それ以上に美しく、弱弱しい態度になる。
とは言え、これは計算の範囲で、
相手に油断を与える意味もある。
クリスティーナ嬢は年頃の女の子と言った、
笑顔を浮かべ、なるほど、
皆この容貌と笑顔に惹かれるのだと納得した。
15分の会話は、差しさわりのない、
無難な物で、特に何の感想も抱かなかった。
しかし、その後以外な行動にクリスティーナ嬢が出る。
「嫌ですわ!もっと話がしたいですわ!!!」
「クリスティーナ嬢」
思わず声に出してしまった。
勉強嫌いとは言え、まさかこんな行動をするとは
思ってもいなかったのだ。
「もっと一緒にいたんですの!」
メイド達も困って、
「王子にはスケジュールがございます」
と言ったが、気にする事なく、
「では変更して!王妃様に許可を取って頂戴」
と言って、私の腕に抱き着く。
私は恵まれた令嬢の我儘だと思って、
そのままにしておく事にした。
私のスケジュールの変更など、
大雨が降って土砂崩れが起こった時や、
貴賓の急な来訪など、
国を挙げて対応しないといけない場合を除いて、
ありえない事だからだ。
しかし、そんな予想はあっさりと裏切られた。
「王子の今日のこれからのスケジュールはすべて
キャンセルされました。
お二人でお好きなようにお過ごし下さい」
侍従長の言葉にえ?となる。
母上がお認めになったのか?
ありえない言葉に、一瞬戸惑ってしまった。




