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プロローグ

「ラストオーダー入りましたー!」

「了解! 焼きオム、仕上げまーす!」


鉄板の前で笑顔を浮かべながら、私は華麗に卵を巻く。

ネオンと笑顔が交差する、煌びやかな現代日本の“コンカフェ”の中。

——それが、私の戦場だった。


名前はひよたん。業界じゃちょっと名の知れた、伝説のコンカフェ嬢。


 


……だったんだけど。


 


「え? なにこの光——わっ!?」


突如として目の前に広がる白い光。

焼きオムの香りと音が遠のいて、気づけば私は、石畳の街角に立っていた。


「…………どこ、ここ」


目に飛び込んできたのは、中世ファンタジー風の建物、耳やしっぽの生えた通行人、空には浮遊する島。

完全に、現代じゃない。いや、これ……異世界じゃん!?


 


手元にあったのは、なぜかメイド服入りのバッグと、一通の手紙。


「伝説のあなたなら、この世界も変えられる」

——月の祝福を持つ者へ。


なにそれ意味不明。でも——


「つまり、“私に異世界コンカフェを作れ”ってことね?」


謎解釈のまま、私は歩き出した。


 


この街、ナグリアにはカフェも喫茶店も、もちろんコンカフェも存在しない。

料理は肉とパンばっかり。接客は声がでかければいいと思ってる。

つまり……私の接客力がぶっ刺さるってことじゃん!


——そんな時だった。


 


角を曲がった先で、もふんと何か柔らかいものにぶつかった。


「きゃっ、ご、ごめんなさいっ!」


ふわふわのしっぽ。つぶらな瞳。制服のような服に、たぬき耳の女の子がぺこぺこと頭を下げていた。


「ご、ごめんなさい……本日で閉店なんです。お店、誰も来なくて……」


見ると、彼女の後ろには古びた一軒家と、手書きの『閉店』の看板。


「ここ、もらっていい?」


「……えっ?」


「今すぐは無理でも、あたし、ここでお店やりたいの。副店長、やらない?」


「ふ、副店長!? わ、わたしでいいんですか……!?」


たぬき耳の少女——リリィは、驚きながらも、目を輝かせた。


「いいの。かわいいは、正義。

この世界に“萌え”と“接客”を広める店を作るの。名前は——」


 


Lunalice(ルナリス)


 


月明かりに照らされるように、柔らかく、優しく、でもきらめく名前。

この街に、“愛される魔法”を届けるお店。


 


——それが、私とこの世界の、物語のはじまり。


 


だがこの時の私はまだ知らない。

狐耳が踊り出すことも、吸血鬼が「夜しか働きません」とか言ってくることも、

そして、あの『魔王』が常連客として当たり前に通い出す未来も——


 


異世界×コンカフェ、『ルナリス』開店準備中!

初投稿です。よろしくお願いします

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