87.六日の制限
次の日、ララナの屋敷に行くまでの道中警備兵が以前よりも多く歩いていた。
仕事の速いイグルが早速手を回したんだろう。
警備兵の多くは剣と槍が主だった。一部何も持っていないように見えたのはきっと魔法兵だろう。
この国は魔法が盛んなのは今の国王が、魔法に精通しているからだ。
そこから魔法兵が集ったという噂を耳にした。ただ、誰も国王に敵う者がいないほどの魔法の使い手のようだ。
警備兵の動きを観察していると視線の動きと巡回の流れで不自然な部分が見えた。僕が見えていないからこそ、兵に意識されずに見えた穴だろう。
きっとそこに、住人にまぎれてグロッチのメンバーがいるんだろう。
ただ、それも拠点を特定するまでとはいかない。注意されているのが分かるだけだった。
昨日に続きララナの屋敷へとそっとお邪魔し、場所が分かっているので時間も短縮されてそのまま部屋の前へと移動する。
周りに誰もいないことを確認してからノックをするとすぐに扉は開いた。
不安そうな顔をしたララナは僕とシェリィラの顔を見るとほっとしてすぐに部屋に入れてくれた。
「今日も、来ていただきありがとうございます」
「こちらこそ、また忍び込んだみたいになって申し訳ないよ」
ふるふると首を振りながら疲れた笑みを向けてくれた。
どうやら進展は芳しくないようだ。
「ララナは今日、窓の外を見た?」
「いえ、ここ最近は閉じこもっていて……」
そう言いながら一緒に窓の方へと向かう。下を見ると警備兵が巡回しているのが見えるだろう。
「……警備兵?」
「この炎都で出会った友人が力を貸してくれてね。暫く見回りしてくれると思う」
そう伝えると、ララナは驚いたように僕の顔を見つめた。
拠点が見つかればよかったんだけどまだ見つかっていないことは念を押しておく。
「やはり、姉は六日後に婚約という連絡が……」
「うん、やっぱり予想していてよかった。ただ、まだ助けられると決まったわけじゃない。少しでも勝率を上げるために儀式を行うのも手だと思ってる」
「儀式?」
「そう、本来であれば僕たち星人は、願いを叶えたい人の元へ行ってその願いを助けるための儀式を行うんだ」
「それは、……今この状況下で行っても効果を発揮するものなんでしょうか」
そう考えるのはもっともだった。願ったところですぐにお姉さんが助かるとは思えない。むしろ、時間がかかる可能性の方が高い。
「……僕はね、ララナの願い、お姉さんを助けたいという願いは、自分の手、誰かの手を借りてでも今すぐにでも行動しないといけない、そういうものだと思ってる」
「……はい……」
「落ち込まないで。ララナは一人じゃない。僕とシェリィラもいる。まだ時間はある。一緒に考えよう」
「……っはい!」
あと六日。
グロッチの拠点を探しながらララナのお姉さんの居場所を探す。
ただ、そうして見つけて助けられても根本的な解決にはならない。
そう、グロッチと彼女たちの両親、そこをどうにかしないときっと終わらないだろう。




