81.友
「イグルは、国王陛下が何かしらの病気を隠している……もしくは会えないなにかがある……と考えているということですか?」
「そうだな……まず侍医と兄上しか会うことが許されていないという時点でおかしい。他の要職たちも兄上が父上の代理として話を聞いている状態だ。……ただ、きっちりと仕事はしているようなんだ。署名は間違うはずのない国王の直筆だ」
だからこそ心配なんだ。そうイグルは言う。
遠目から見ても体調が悪そうなのに、仕事をしているのは確かなら休んでほしいと思うだろう。
ただそれだけで、星人に頼るだろうか。なにか情報を見落としている気がして仕方がない。
「第一王子殿下とはお話されたんですか?」
「……あぁ、話したけど……はぐらかされた」
「はぐらかされるんですか……」
「いや、ちゃんと言ったんだが、答えてもらえなくて……」
……弟に心配をかけたくないのか、もしくはそれ以外か。
「ちなみに、侍医には昔世話になったからちょおっと一人になったところを見計らって聞いた」
わ……侍医の方……お気の毒に…………第二王子に詰め寄られる図って、当事者だと胃が痛そうだ。
「そしたら何て言ったと思う?」
「いや、僕には見当がつかなくて」
「典型的に、私の口からは申し上げることは何もありません、国王陛下にお聞きください、だってさ。会えないから聞いているのに。……つまり答えないってことだろう?」
会うことを拒否している国王に聞けとはそういうことだろう。侍医も第一王子も原因が分かっているということだろうか。仕事をして、ほとんど部屋から出ず姿を見せない国王……。
「まぁ、この状況は僕が父上に好かれていないからかもしれない……」
「……え?」
「リノは知らないだろうけど、僕は母上の命を奪って生まれてきた子なんだ。だから、……父上とはあまり接点がなくてね」
ただ、私は父上を尊敬している。とてもすごい魔法使いな面も、治世の面でも。そう言うイグルの顔が清々しく、本当に父親を慕っていることが伝わってくる。
そして僕は知らなかったではすまされないことをイグルの口から言わせてしまった。
出産の重さは人それぞれなので、イグルが命を奪ったわけではない。命を賭してイグルを生みたかったということだ。ただ、見る人の見かたによっては……そうも見えてしまうだろう。
「言いづらいことを……」
「いいんだ。こういうことはさっさと言うに限るから。きっと君は母親はどうしたんだろうって思っていただろう?」
「……そう、ですね……」
「君の素直な所は好感が持てる。気にしないでくれ。私と君はもう友なのだから」
いつの間にか友人認定されていた。王子殿下に。明け透けのないイグルはとても気持ちがいい少年だった。そんな少年から友と言われたことは純粋に嬉しい。
「ありがとう、イグル」




