74.範疇外の願い
「わたくしは、姉を助けるためならなんだってしたい、どうなってもいい……そう思っても、ただの小娘にできる手段なんてほとんど思いつかなくて……」
「うん……」
彼女はその能力ゆえにきっと大切に、大切に育てられてきたんだろう。そう、まるで鳥籠で囲う鳥のように。邪魔な知識は与えられないように優しく、そしてじわじわと何も知らない人形になるように。
「姉は……三日前にわたくしの知らぬ間にグロッチに引き渡されました。そして、両親はわたくしが家から出られないようこの部屋に閉じ込めているんです。あの人たちはわたくしを生涯家から出すつもりがないかもしれません。姉とわたくしの入れ替わりが露呈するのを恐れていますから…………」
三日前……いまいち日時の感覚が分からず、今がどれぐらいの状況なのかが僕では判断ができない。
それに、話を聞く限り僕の力を使うのは少し違う気がしてきた。むしろこれは、後押しが必要なんじゃないだろうか。
「このあたりの地域には疎いから、聞いてしまうけど三日前だとお姉さんはもう結婚されている?」
「いえっ!このあたりの風習で、まず婚約をするまではその家について学ぶ必要があるため婚約相手ともまだ会っていないはずです」
「婚約の日取りは決まっているの?」
「……本来なら30日以上という決まりがあります。ただ、最短で、10日という場合もあり……一応親族なので連絡は来ますが、先方からはまだ、なにも」
「急に来る可能性もありそうだ……」
「……はい」
三日前にお姉さんが連れていかれたということは、最悪の場合を考えてあと七日間しかないと思った方がいいだろう。
隣のシェリィラの様子を見ると、猛烈に怒っていた。シェリィラは女性の姿をしているので、きっと同性の気持ちが分かりやすいのかもしれない。妖精に男女があるのかは分からないけれど、見た目からするとそうだろう。
シェリィラを見ると、どうやら僕と考えは同じようだった。
協力者が必要になってくる。
「ララナ、一旦あと七日間と考えて動いたほうがいいと思う」
「わたしもそう思います」
「少し考えることもあるし、明日もう一度来てもいいかな?」
「も、もちろんです。ありがとうございますっ心強いです……!」
「はは……あまり期待はしないでね、僕たちの本来の役目は願いを叶える手助けだから、この案件はとても難しいよ」
願っただけじゃ、お姉さんは戻ってこないだろう。選択をしたとしても、その選択はどうしても自らを名乗り出る、などしなければ最短でも難しい。そうしたって根本的な解決には至らない。
だから、これは少し専門外な方向であり、願いの中の、救援だ。僕の範疇外。それをどうするか。
この事実を星人として知った時点で、はい知りませんとはいかない。
ここまでたどり着いたのも、ララナと話せたのも、この状況を知れたのも、僕が星人でララナが願ったからに他ならないからだ。星神様も難しいことを提示してくる……。




