63.情報収集
シェリィラが作ってくれた料理は本当に美味しくて、次は僕が作ってみると主張しておいた。僕もあの本を読んだ成果を試してみたい気持ちがある。ただ、かなりの食材を今日のご飯で使った為、明日の日中に保存食も含めて買い足さなければならない。幸いこの仮宿には保存庫もあるため、いつもよりも気にせず食品を購入することができる。
そう予定を組みながら、相棒に手紙の話をする。
直接手紙が見たいということなので、三通とも見せるとじっと考えて僕と同じ考えだと伝えてくれる。
まずは、三通目の毎日待っていそうな人物へ顔出しをする。顔を出すことによって待たせる回数を減らせるうえに、内容次第では時間的猶予も得られる。
「行こう」
夜に出かけることは星人にとっては正礼に等しい。星が頭上に光り輝くとき僕たちの力は本領を発揮する。最近は儀式の時や宿場町の移動で夜行動をしていたけれど、無理に夜に動く必要もない。そこは個人の裁量次第なので、星人によっては能力を使うとき以外は夜に出ないと徹底している人もいる。……星は見守ってくれる存在で夜が怖い存在ではない、それが僕たちの認識だ。
火が沈み始め、周りにはどうやら灯の魔法が組み込まれているようで一定間隔のランタンが上空に連なっている。これまで見てきた土地と違って、砂漠特有のレンガと土壁を礎にした周りと統一している壁面にランタンと彩りのある窓が反射し異文化の雰囲気を作り出していた。
まず水管という場所?を特定すること。この炎都ソルヤでも露店は人気のようで、それぞれ地域特有の自慢の一品が綺麗に飾られていたり、ガラスや陶器などの工芸品も多くみられる。少し目を奪われながらも、まずは酒場や大衆食堂のような場所を探す。人々はそいういった場所では緊張の糸が緩んだり、物事の本質が多く見れることがある。特にお酒が入ると情報は得られやすいのが特徴だ。
そういった場所を探しながら、城下町の喧騒に耳を傾けていく。
聞こえてくるのは、現在の治世の話、隣国の話、災害の話、水の話などが多かった。
水管というぐらいなので、水に関わることだろうとあたりをつけ、水の話題を出している男性三人組の近くで耳をそばだてることにした。
「隣の国、水不足らしいぞ」
「うへぇ、ここは砂漠だってのに川や湖のおかげで水にはあんまり困ってないよな」
「ありがたいことだ……ちなみに今のうちにこっちで水を安く買っといて隣に売るとかいけるか?」
「暑いから考え物じゃねぇかな」
「何事もうまくいかんな」
「違いねぇ」
笑ながらお酒を酌み交わしている三人はそのまま、さらに詳しく話し始めた。
「隣もうちみたいな仕組みがあればいいのにな」
「あれはうちの王族さんが優秀だからできるだけだろ」
「違いねぇ」
「今度水管チェックに呼ばれてるんだよな」
「大事だからな、気合入れろよ」
「たりめえだ。気合が入るってものよ」
「ちなみに何番だ」
「一番から五番までを一気……のはずだ」
話を聞きながらこの炎都の王族がよっぽど優秀なことが色々な所から聞こえてくる。特に現王が魔法の使い手、それも凄腕のようだった。偉大な力は時には孤独を生むため、慕われている声を聞いてこの場所はいいところだなと感じる。
水管の話も出たため、そのままじっと話を聞くと水源の管のことのようだった。そこに番号がついており、今回の手紙はその七番で待つということのようだ。場所は最奥の王族が住まう場所の近くのようだった。管理ももちろんだけれど、監視の意味合いも強いだろう。
どのような番号管理になっているか、番号通りに並んでいるかどうかすら未知数の為、予想を潰していくために動くことにする。




