62.願いの手紙
今までの二通とはまるっきり異なる、この炎都特有の火の加護を手紙から感じる。
願いは等しく優劣などない。人によっては気持ちの入りようが違うので、切な願いが星人へと導く。
加護を有する手紙に触れ、中を読み進める。手紙はすぐに読み終わった。内容はこれまでの二通と違って短文だった。
"星が輝く夜半、ソルヤ水管七にて日々待つ"
……詳しく書けないような気配が重々伝わってくるけど、これは毎日待っていると解釈できる……できてしまう。そう考えると、一体いつから待っているのか。
ゔ……待たせたと考えたくないし、星人がいつ来るかは本当に分からないことなのでこういう案件は難しい。
まず、星が見える夜に待つということなので早急に対応する必要がある。
願いの内容を聞いてからにはなるけど、まず会って待つことをやめてもらう必要がある。話はその後だろう。
他の二通に関してはこちらから出向くとして、まずはソルヤ水管七という場所を探さなければ。
そう考えながら出かける準備をしていると、シェリィラが誇らしげな顔をしながらこちらを覗いていた。
手にはお盆。嬉しそうにテーブルの上にお盆を載せてくれた。そこにはカトラリーと夕食だろう品が1枚の大皿の上にまとめて置かれており、忖度なく美味しそうに見えた。
「す、すごく美味しそうだよっ!!食べていいの?」
もちろんと言うように自信満々に頷くシェリィラに感謝を伝えて食べることにする。星が見える夜半の時間にはまだまだ余裕があるため、シェリィラにも一緒に食べようと促す。
大皿の上には、先日のヴェンディーで購入した保存食や日持ちのする野菜などが一緒に炒められており、少しピリッとした香辛料で味付けしてあった。その隣には干物の身をほぐし、乾燥させた野菜をふやかしたものとキノコ類と豆類が混ぜ合わせてあり彩りを提供していた。
どちらの品も、すごく美味しくて、……何故だか少し懐かしい味がした……。
「すごく……すごく美味しいよ。ありがとうシェリィラ」
一緒に食べようと勧めていたシェリィラは僕の反応が気になっていたのかじっと食べるところを見つめていた。僕が美味しい美味しいと食べているところを優しそうに見守っていてくれていたけど、突然慌てだして、僕の頬にそっと手を当ててきた。
「?どうしたの……?」
なにか慌てることなんてあっただろうか。
……え?僕が、泣いてる??
「あれ、なんでだろう……不思議だけど、美味しいから……涙が出るほど美味しいのかも。へへ」
なにか言いたげなシェリィラだったけど、僕がなんともないと分かると、自分も料理に手を付け始めた。
あの本、なかなかに良かった、参考になったと伝えてくるシェリィラは、それも本心だろうけど、まだ僕のことを心配している様子だった。
僕自身、なぜ涙が出たのか分からない。
美味しいご飯に少しの懐かしさが、僕のどこかを刺激したのかもしれない。この料理なのか、食品なのか、それとも味付けなのか、香辛料の線も考えられる。
僕は僕で、この懐かしさを暫く感じていたい気持ちだった。




