61.星人の仮宿
「……お邪魔します」
こそりとしながら、声をかけつつ扉を開ける。
そこはこじんまりとした一軒家だった。実はこの家は星人が過ごせるように都市には一つはある仮宿だ。静かに入ったのは、もしかしたら別の星人が住んでいる可能性があるかもしれないからだった。
入ってから一階、二階の間取りと共に人の気配がないかも確認したが、どうやら暫く使われていないようだった。
「は~……ありがたい。使わせていただきます」
ようやく一階にあるソファに座って一息つくことができた。思ったよりもこの炎都に星人が入国したかもしれないという噂の広がりが早くて、下手に宿屋に行けなくなってしまった。話しかければ気付いてもらえるが、何日この都市にいるか分からない状態で宿に泊まって常に声を掛ける……なんてことをしていたら僕が星人ですと言っているようなものだった。それでも人によってはすぐ忘れて気付けないのはもちろんだけど、そうじゃない人もいる。宿を点々とすることも考えたけど、シェリィラが勧めるのでこの仮宿で固定することにした。
……どうやら相棒は、仮宿にキッチンがあると分かっていて、あの本の内容を試そうとしているようだった。こ、向上心があることはとてもいいことだと思う……。僕も挑戦してみようかな。ふっとシェリィラを見つめると全力で首を振られた。……まずは自分一人で試してみたいようだった。手持ちの少ない食材を出すように言われた為、それらを置くと自身の存在を強くして手で持ってキッチンに行ってしまった……。あとで手伝いがないか聞きに……、いや嫌がられるかな。
さて、僕は僕でこの都市の願いに目を通すことにする。
仮宿の近くには決まって星人のポストがあるように作られている。ポストの中身は仮宿に入る前に回収済みだった。
ソファの前のテーブルにポストから出した手紙を置いていく。
全部で3通。どれも無記名だ。
一通目は素朴な白の封筒。裏側にはしっかりと封蝋で閉じられている。
二通目は色付きの封筒。裏に判が押してありなんらかの方法で閉じられている。
三通目は火に炙ってある封筒。紙が燃えない瞬間を見計らって閉じられている。
三通も入っていることはまれであり、どの封筒もそこまで劣化していないように見えるので投函したのは最近と見ていいだろう。
一番気になるのは三通目だった。この……火が使われていることに一種の不安がよぎったため、一番最後に読もうと丁寧に少し二通と離れたところに置く。
一通目の封を切って中の便箋を取り出し、目でそこに書かれた文字を追っていく。二通目も同様に読み進めていく。
二通ともに、星人のポストを見つけられるほどの内容だった。
そして最後に残る三通目を目の前に引き寄せる。




