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星人の旅路  作者: 華世
海の村ラウトーレ
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6.叶え石


「ミレイユ、目を開けていいよ」

おそるおそる目を開けるミレイユは何があったのかという顔をしている。


「あの、さっき下から風が?」

「うん、君の願いを星に届けたんだ」

思わず空を指さしてしまった。

「え??」

首を上下に動かしながら困惑している……。まぁ、物理的に届けると思っていなかったのかもしれない。確実なんだよね、こっちのほうが。


「そろそろかな……ミレイユ、握った手をゆっくり開いてみて?」

僕の声を聞いたミレイユがおそるおそる強く握りしめていた両手を開いた。


「これ…は……」

手のひらに小さな丸い石が現れている。彼女の願いを映し出すような透き通るような色だ。

「この石はね、叶え石と言ってミレイユの願いを星が聞き届けて具現化したものだよ」

「…………これが私の願い」

「そう、君の願いを叶えたいと思った星が作ったんだ」

「星が、つくった……」

空を見上げながら星ってすごいと呟いている。


「この叶え石は君の願いそのもの。君はこれを持ち帰って毎日触りながら願うといい」

「はい」

「君の願いと選択と行動を星は見ている。ただ絶対に完治とまでなるかどうかは誰にも分からない。一つ言えることは行動次第で、改善につながっていくということ」

星人(ほしびと)が万能じゃないのは、なんでも願いを叶えることができないからだ。

例えば、死んだ人を生き返らせてくれ、は既に終わりを告げている事象なのでそこからの変化は星に願っても起こすことはできない。生死に関わることの願いの力はすごく強いけれど、その分繊細だ。

ミレイユの願いの場合は、どのような病かを星が知っているようなので石を通して癒していくだろう。その治る早さであったり、改善の段階は今回ミレイユの願いを聞き入れた星次第だ。万が一があるからぬか喜びさせないよう完治するかどうか……と話したけど、星の気合の入りようがすごいから大丈夫そうだ。

どうすごいかというと、ずっと叶え石の奥が光っている。ミレイユのいままでの行動が気に入られているということだから治るだろうなぁという想像。


「ありがとうございます、リノ様。……本当に本当に、私や皆の力じゃ無理だって話になって、諦めるしかないとまで言われたのに……」

「うん、全てはミレイユと村の人たちの願いがきっと僕を呼んだんだ。ほら、だいぶ遅くなってしまったからそろそろ帰ったほうがいい。弟さんもミレイユの帰りを待ってるよ。」

「はいっ!本当にありがとうございました!このご恩は忘れません!!」


がばっと頭を下げてミレイユは駆け出して行った。

早くワイスに会って話したいという気持ちがいっぱいの、初めて見たミレイユの笑顔だった。


良くなりますようにと祈りながら僕はミレイユの背が見えなくなるまで祈り続ける。相棒と一緒に。

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