55.睡眠も食事も大切
儀式の後、ゼノは静かに涙を零していた。泣いたのなんて久しぶり、と笑っていたけれど……きっと泣くことすら忘れるぐらいにずっとこの砂上図書館を守っていたんだろう。僕は、そう思う。
「……だ……いん……ですか?」
誰かの声が聞こえる。相棒……はしゃべらない……
「……かに……ぜんぜん起きませんね」
「ん……ぬぅ……」
誰かが相棒としゃべってるように聞こえる……そう、思ったより近くから……。
「リノ君は意外と寝坊助なんだ」
「…………ゼノ、さ……ん……」
「はは……おはよう」
「はい……おはよう、ございま、すぅ……」
頭がはっきりしない。いつも起こしてくれるのは相棒だけど、今日は相棒とゼノさんがいる……。どうしてなんだっけ。……昨日はゼノさんの願いの儀式をしていたら気付いたら夜明けが迫っていて、今から急いでテントを張ったとしてもヴェンディーの邪魔になる可能性があるからどこで休もうか考えていたら、そう、ゼノさんから仮眠室兼休憩室で休んでもいいと言われて……ベッドは疲れているゼノさんに、僕はソファで寝ますって頑なに譲らず……それで、今、ここは、その休憩室のソファの上、ということで、きっとあってる。うん。
「ゼノさん」
「うん……覚醒したかい?」
「眠れましたか?」
「それは……もうぐっすりだよ。こんなに寝たのも泣いたのも何年ぶりだろうね」
「よかったです」
ゼノの顔は思った以上に清々しくて、朝だからかいつもの眼鏡も外して、とても顔色もよく見えた。今後の第一関門はやはり休息なのではと思ってしまうほどには休むこともきっと大事な仕事だ。
「ちなみに今お昼ご飯を頼んでるから、もうすぐ来るよ」
「……おひる」
「あ、ちゃんとスフィさんの分も準備してもらうから」
細かな気遣いは流石ゼノだった。儀式の時はあんなに相棒を見たらしどろもどろだったのに、朝も話していたようだし……慣れたのかな……そう思っていたけど、意外と耳は赤かった。ささっと寄ってきたゼノがこんな美少女?美女?と近くで話したことないから緊張するよ早くリノ君助けて!と小声早口でまくし立ててきたので慣れてはいないようだ。
そのあとは昨夜同様、ゼノの転移で昼食が現れこんなに豪華でいいのかと思いつつ、朝昼兼用だよと言われたのでありがたくいただいた。相棒も昨日は姿を隠していた為あまり食べられなかったから今は物凄く喜んで食べている。スフィにとって食べることは必要ないけれど、僕の知っているスフィは食べることが好きなことが多い。食べることも眠ることも改めて大切だと感じる。
「まだ起きないんですか?」
ふにふにつんつん
「確かに全然起きませんね」
コクリ
「いつもそうやって起こしてるんですか?」
コクリ




