49.これもまた星の導き
「ゼノさん。星が近くでよく見える場所と、何か書くものありますか?」
砂上図書館は魔法がかかっているため、外から見た建物と入ってからの景色が違いすぎる。広さも別物な為、空間の把握が難しい。あとはいつもの星人の模様と文言を書くための紙、これは地面に書けないから紙で代用するつもりだった。
「……星が見える場所?……この図書館で、か……一応梯子で天井近くの小窓に近づくことはできるけど。あと、書くものはさっきの僕がいた仕事していた所に紙やペンはある……うん、なにをするんだい?」
「そうですね、もしかしたら…………ゼノさんのお手伝いができるかもしれません」
「手伝い……?」
「……はい。せっかくなので残りのお料理もいただきますね。」
食べながら話していたとはいえ、僕のテーブルはまだまだ料理が残っていた。ゼノの方は気づけばデザートまできっちりと完食しており、僕よりも倍近く食べていたように思う。話しながらいったいその身体のどこに入るのかと驚いていたものだ。
口にする料理はどれも繊細で美味しく、その炎都の厨房にゼノは支えられていたことが分かって少しほっとする。きっと管理者のゼノへの理解者がいるんだろう。
僕は先ほどのゼノの話を聞いて、星人として彼の願いを叶える手伝いがしたいと思った。この無意識の制約はかなりの枷だろう。解き方も分からないというぐらいなので、そのあたりは僕たちの力が介入してもかまわないだろう。
星人の力は星の力。星の力は自然の力。魔法の制約は個人の意思と力に関わってくるので、自然の力からの介入はしやすいはず。これが、魔法での介入だった場合反発などでより契約が強固になる場合もある。そして解除方法が分からなければほとんどの場合は解決にはならない。
僕が火の都、炎都に行くまでの道のりで必ずこの宿場町を通ることは明白なので、この巡り合わせも、ゼノが僕を見えて、僕のことを星人と思っていないこともまた星の導きによるものなんだろう。
そっと相棒を見ると優しくゼノを見つめていた。ゼノが話している最中に相棒は極限まで姿を隠し、分からないぐらいの量で料理をつまんだりして満喫している様子だったけれど、ちゃんと話は聞いていたし力を使うのに反対はないようだった。
「とっても美味しかったです」
「よかった。僕の大好きな料理だったから嬉しいよ」
きちんと食べ終え、満腹になった僕は最後のお皿をテーブルにのせると同時に、ゼノが転移魔法を使って食べ終えたお皿を消していった。確かに洗うところがないから申し訳ないけれど、美味しかったことを伝えたくてじっと転移していくお皿を見つめた。




