48.無意識の制約の契約
制約、その響きは魔法やそれに通ずるものに携わったことがあるものなら言葉の重要性が分かるだろう。僕も星人として目覚めたときにこの辺りは一通り学んだ。
制約は安易にしてはいけない契約——と。
ただの口約束ならばそこまで心配することもない。ただそれが契約になってしまったとしたら。いまのゼノの話は、確実に契約の流れだった。
「制約の、契約を無意識にかけてしまったんですか……?」
「……うん。馬鹿だよね。自分自身にかけるなんて」
自嘲気味にゼノは笑っている。
この手の契約は書面で制約内容を確認して署名することが最も一般的なやり方のはずだ。それ以外にも方法はあるけれど、感情の強さと魔力の強さどちらかが引き金になって制約になる場合があるようだと習った。ただ、ゼノはそのどちらも強いんだろう。自分自身を縛る契約になってしまった……ということだろう。
「制約は砂上図書館の管理者……宿場町が指定されていたら地獄だったけど、そこは砂上図書館に救われたという僕の意志が強かったんだろうね。……つまり、……僕はこの砂上図書館から出られないんだ」
——これは自業自得な面もあるから
——ここの宿場町に来る間も旅をのんびりと楽しんでほしい
——やりたいことをやれる時間は大切だし、それをしてもいい環境ならするべきかなって
——僕は出れないからここで我慢して
ゼノは、外に出たいとは一言も言わない。外を自由に行き来できる僕に外を楽しんでほしいと心から思っている。始まりは自分で選んだことじゃないけれど、ゼノは選んだんだ。この砂上図書館の責任者になるということを。
「……僕が勝手に話してるんだから、そんな顔をしないでいいよ。それに、ここのルールは完璧に見えてやっぱり人がいないと難しいところが出てくる。だから、ここに来れないその人の代わりに僕が守ろうとね、思ったんだよ。…………不思議だよね、こんなこと……リノ君に話すつもりなかったのに。ずっと……もしかしたら誰かに話したかったのかも、しれないなぁ」
聞き上手って言われない?そうゼノは眉を下げて僕に言う。僕の星人としての力が関係があるのかは分からないけれど、ゼノがずっと抱えていたものを吐き出せたならよかったと、そう思う。彼がはっきりと僕の姿を見ることができるのは……願いがあるから。強い願いが。
「ゼノさんは、管理者としてじゃなくて、ゼノさんとして、ここから出たいと思ってますか?」
「ん?面白いこと聞くね。……そうだなぁ、別に僕は管理者は嫌いじゃない。こんな僕のことを心配して数人は手伝いを申し出てくれたしね。ただ、うん、外に出られたら、いいよね。自分の足でこの砂上図書館を移動したいかもしれない。今は転移ばかりだからね」
出たいという言葉に嘘はない。それは分かる。ただ理由は、今言った言葉……それもあるけど本当は、本当は会いたいんだと思う。そう、感じる。
僕にできることは、願いを星に届けて願いを繋ぐこと。叶えられるかどうかは選択次第。でもゼノなら……
「ゼノさん。星が近くでよく見える場所と、何か書くものありますか?」




