43.高速移動
窓の外を見ると、静かで暗い……。
いつの間にか本格的な夜になっていたようだった。
まだ読み途中ではあったけれど一度本を閉じ、まだ設営していないテントを組み立てに行くことにする。残りの読書はテントの中だ。
相棒もかなり読み進められたのかご満悦な表情だった。相棒と僕の本を再度鞄へと戻し、一言ゼノに声をかけるべきか悩んで先ほどゼノがいた机へ身体をずらし、少し背伸びをして見てみる。
そこには集中して書類を捌いている様が分かった。
声をかけるのも難しいと判断し、そのまま戻ることにする。ただこのままだとずっと体調不良で顔色も悪いままなのは見て取れる為、気休めに洞窟で詰めたノームの加護水を置いておくことにする。
急に置いて不審だと思われないために一言メモを残す。よし、これでいいだろう。加護水はその言葉の通り、守りや守護の加護がついている水だ。ゼノの疲れを少しでも癒やしてくれるだろう。
僕と相棒は、並んだテントの合間を縫って紋様の端へと落ち着き、素早くテントを設営。中を整える。そして携行食を食べて読書だ。
次からの宿場町がどれぐらい遠いかは分からないけれど少なくとも今日と同じくらいもしくは少し遠いだろう。
その日はお互いが眠くなるまで読書を楽しんだ。
次の日は、なんとたまたま寄り合いの乗り物が出るところだったようで、乗せてもらうことにした。その乗り合いは三宿場町には行かず、一気に四宿場町へと行くそうだ。ラクダのような砂漠に住む動物で移動すると思いきや、ここの砂上図書館が魔力ありきで動かされていることを身にしみるものだった。人物が複数人乗り込める筒状の不思議な物体で、選択された区間を走る乗り物……これはそもそもこの宿場町が管理しているようで、商人や貴族たちが早く移動したい際に使用する超高額の乗り物らしかった。
人によっては乗り合いで乗せてくれたり、その際にお金をとることもあるようだ。
今回は一人で使うのもなんだし、乗りたい人は乗ってくれ状態だった為、ご相伴に預かることにした。
こういった巡り合わせもゼノ視点だと旅の醍醐味なのかもしれない。
「お、思ったよりも速かった……」
景色を楽しみながら移動できると思っていたけれど、とんでもなく高速に移動した。外を気にする余裕なんてなく、落ちないのか、壊れないのか、そういった心配事ばかりが過ってしまったけれど、速さ自体は初めての感覚で……もう一度乗れる機会があればもう少し工夫を凝らして余裕を持って乗ってみせると決意する。




