39.的確すぎる本の題名
まずはゼノという青年……砂上図書館の管理者というけれど、とても若い…見た目では20代前半ぐらいだろうか。本来なら管理者などの権限は相当に身分が上、もしくは経験を積んで年齢が上がった人がなることが多い立場だ。
話し方や身振りからでは身分は分からなかったが、この図書館五箇所全ての管理者は相当にできる人でなければまず任せられないだろう。それぐらいには規模が大きい。
そして、ゼノの願い。今までの会話からではどんな願いがあるかは分からなかった。
願いとは、内容によっては人からは小さな願いと感じられるものもあるかもしれない。ただ、個人において願いの重要性は様々だ。一番は生まれた環境によって形成される立場と思考から徐々に細分化されていき、欲と願……この似ていて非なるものの願いが強く出た時に僕たち星人への感知能力は研ぎ澄まされていく。むしろ星人がそういった作りをしていると言ったほうがいいかもしれない。
彼の願いは次に会った時に聞けるだろうか。星人の儀式を行う行わないの裁量は星人自身が決められるので、なにも気にする必要は本来ない。ただ気になるだけだった。この不思議なゼノという青年の願いがどんなものなのかが。
「相棒も気にならない?僕をこんなにはっきりと見える人は初めてなんじゃないかな」
相棒もこくりと頷きながら、僕に不思議な雰囲気な人、と伝えてくれた。そう、不思議なんだ。目に隈を携えながらあの力強い瞳が。
「次の宿場町でも会えるって言うから……そのとき、もう少し彼のことを知れるといいな」
あと借りた本も読まないとね。そう相棒に伝える。
なるべく相棒が借りたいと言っていた本を見ないようにしていたけれど、ゼノが借りる際に捲っていた本の題名が気になりすぎる……。
「えっと、相棒……ちなみに、相棒が借りた本って僕も読んでいい……の?」
そう聞くと、恥ずかしそうに……けれど大きく頷かれた。
これは、もしかして僕にもそもそも読んでもらうつもりだったとかそういうことかもしれない。
「題名だけでも気になってたんだよね……むしろよく見つけたね……いや、勉強になりそうだけど」
相棒が借りたいと言った本、それは『美味しいものは嬉しいけれど自分で作るとちょっと微妙で素材な味が多い人の超初心者向け簡単料理!』と『急なサバイバルはお手の物、どこで遭難しようがこの一冊があれば準備万端決定版』の二冊だ。あ、あまりにも的確すぎる本の題名すぎて、相棒……?とちょっと思ってしまった。
もしかして僕は少し頼りないのかもしれない。アルドに比べれば料理の腕も奮わないし……温暖地域での行動ももたついてしまったかもしれない。
僕も……この本を読んで勉強させてもらおう。せっかく借りた本なので、次の宿場町に着いたら一旦読書時間を取ることに決めた。




