32.宿場町
宿に戻ると僕たちの姿をはっきりと見える人も、僕から声をかけなかったこともあり、誰からも話しかけられず継続して借りていた部屋へと行くことができた。
星人は物を何処かに留めておくことがほとんどないため、アルドも昨日の出発の際に自分の荷物は全て持って行ったようだった。ただ1点、お金だけ返しそびれていたので次に会った時に返すことを忘れないようにする。
これからの予定を組もうと部屋で地図を広げてみることにした。相棒が指差した目的地の火の都市はここカルゾンから数日はかかる。砂漠を越えることになるけれど、どうやら火の都市まで宿場町が点在しているようだ。
地図上では進行方向にもよるけれど5つの宿場町がある。進む早さや乗り合いなどを拾うことができれば、思ったよりかは早く着くかもしれない。今からはお昼を食べて温暖地域特有の夜の寒さ対策の物品を見ながら、1つ目の宿場町へと向かうことにする。今日中には最初の宿場町へと到着する計算だ。
「よし、相棒。ご飯を食べて準備して宿場町まで出発、いいかな?」
相棒はこくこくと頷いてくれた。相棒は基本、無茶なことをしない限りは僕の考えを尊重してくれる。ただ過去に一度だけ、すごく怒られた記憶がある。それはもう相棒が涙を流して僕を叩いてくるぐらいの、……そんな行動はもうしないと心に誓うためにも、旅の進行は基本的に相棒にも確認をして許可を貰うようにしている。
相棒が気になる携行食と、何か不測の事態があった際に、星人の能力を使える場面と使えない場面があるかもしれないので、それを想定して細々とした物を新調した。温暖地域特有の、砂埃が入ってこないような工夫がされていたり、熱さ対策がしてあったりと見ているだけでも楽しい。
そうこうしているうちに、少しカルゾンの街を出るのが遅くなってしまい宿場町に着いた頃には日が沈む直前だった。
宿場町には、地面に大きな紋様が描かれており、この紋様によって害獣などを防いでいるようだった。
その紋様の上にたくさんの人々がテントを貼り各々の空間を作り上げていた。これがこの地域の在り方なんだろう。
中心には一際大きな建物があり、宿場町で泊まる為には申請が必要なのか聞きに行くことにした。
重厚な扉を開けると中は一定の温度になっており、とても大きな絨毯がひかれていた。
入ってすぐそばに机があり、火の都までの宿場町の決まりごとと書いてある紙があった為、目を通していく。
そこには、宿場町は紋様の上にあり、紋様の上であればテントを自由に張っていいこと、この建物はそれぞれの宿場町にも中心にあり、中には砂上図書館と呼ばれる、本を読む場所があるとのこと。火の都市までの5箇所の宿場町でその砂上図書館はあり、返却は5箇所のうちであればどこで返してもいいとのこと。それ以外の場所に持っていった場合は魔法によって何かしらの罰がくだると書いてある。隣に小さな文字でほんとにやべーから絶対に返すこと。と決まりごとが書いてある文字と違う文字が書いてあった為、既に破ったことがある人がいるとみた。
細かなことは、基本的な注意事項ばかりだった為一番興味を注がれた砂上図書館というものを見てみようと思う。いつでも閲覧可能らしい。
「相棒、砂上図書館があるようだよ……って、目の前……そうか、これはこの紙を読まないと図書館が現れないようになっているのか……」
目の前には広大な本の塔がいくつも建っていた。これに気付かない理由はないので、特殊な魔法がかかっていたのだろう。こうすることによって、罰への信憑性も格段に上がる。この施設を作った人は相当なやり手だと思う。
これは火の都市までの間、のんびりする暇はなさそうだ。




