31.緊張の転移
ノームの力とフォーリスの転移の途中で光に包まれる中、緊張しすぎているフォーリスの姿が誰から見ても分かった。
「おい」
「…………あの、集中しているので、話さないでいただければと……」
「……その話し方、やめろ」
「え?」
「最初の会った時の威勢はどうしたよ」
「!なっ、あれは……」
小さい声での会話だったが、僕たちには聞こえてくるぐらいの声量だったのでアルドが何気なく話しているのが分かる。けれど、フォーリスは初めて会った時の警戒心剥き出しの話をされて恥ずかしいようだった。初めての人間に警戒することは正しいことなので、恥じる必要はないけど、今ここで掘り返されると思わなかったんだろうな。
「変な気ぃ使うな。星人は……まぁちょっと珍しいけど、お前たちとそんなに変わらねぇよ。……たぶんな」
ここに集まった存在全てが珍しいと、なんだか本当は珍しくないんじゃないかと思えてくる不思議だ。それに、とアルドが続ける。
「お前が長くここにいたのも、もしかしたら俺のせいかもだしな……そんな奴にそんな話し方やめろ。俺が気にする」
アルドは自分の力の弱さでフォーリスを導けなかったことを後悔しているようだけれど、本当のことは誰にも分からない。だから僕は気に病む必要はないと思う。それにフォーリスも無事に見つけられて、今こうして帰ろうとしているところなのだから。
「……分かったわ。貴方が気にするなら、私も気にしないことにする」
フォーリスの緊張が解れてきたらしく、光の粒子が多くなってきた。
「でも、暴発も転移も全部自分自身のせいよ。貴方のせいじゃないわ。……リリ」
「なっ!……おまっリリっつーな!!!」
「あはは、ごめんなさい!リリアルド!」
呼んでみたかったの!そうフォーリスは笑いながら3人は光の粒子に包みこまれて消えていった。
「行ったね」
相棒と話しながら三人が消えた場所とその場にいるノームたちを見た。ノームたちは力をフォーリスに渡しすぎたようで全員がふらふらとよろけたりしていた。地の妖精なので、地面に触れているだけで体力は徐々に回復していっているようで一安心である。
「アルドが都市の話もしていたから、もしかしたらまた会えるかもしれないね」
さて、この洞窟ともお別れだ。水筒に加護水を数本詰めてノームたちに別れを伝えると、隠されていた洞窟の入り口は開き、僕と相棒が通るとまた元通りになった。鉱石があった空間はオアシスの大事な部分であり、ノームたちの住処だったのかもしれない。
洞窟から出ると、まだカルゾンの街はお昼になっていない時間のようだった。日光に当たらなかったり、窓がなかったりすると一気に時間の流れが狂ってしまうことを身にしみながら僕と相棒は一旦宿に戻ることにした。




