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星人の旅路  作者: 華世
海の村ラウトーレ
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3.不思議な力

「……頑張ったんだね、ミレイユ」

「……はい。……でも、もう限界なんです……星人(ほしびと)さま……リノさま。あなたさまは私の、私の弟を助けてくださいますか……?」

ミレイユの目から大粒の涙が一筋、流れ落ちた。



「……ミレイユは、僕…ううん。星人のことをどれくらい知っている?」

すぐにでも、助けるよ、大丈夫、と伝えたかった。けれど、星人の力は万能じゃない。

ミレイユは涙を手の平で拭いながら話し始める。

「星人さまは、願いを叶える存在。ただ、星人さまは人生で一度でも出会うことができたら奇跡だと。それぐらい幻の存在で、おとぎ話だと思っていたんです。このポストもただの気休めだと思っていました。でも、リノ様が流木の……村の人が誰も座らないベンチに座っているのを見て、そこに座れるということは特別なんだって」

「ベンチに座っていて確信されていたなんて…それは想定してなかったなぁ」

確かにベンチには不思議な力が宿っている。流木が、ということではなくポストの隣に必ずある何かに不思議な力は宿るので流木でなくてもいい。もちろんポストに触れることができるのもその隣にあるものに触れることができるのも星人だけだ。場所によってはポストの隣は色々工夫がされていて面白いことが多い。


「そう、ここに触れられるのは星人だけだからミレイユは正しい。でもね、願いを叶えること……それは少し違うんだ」

そう、万能じゃない。万能だったらそれは世界の理を無視した存在になってしまう。

「違うんですか!?私、私はっ出会えたから、奇跡が」

「落ち着いて、ミレイユ」

「落ち着けませんっ!私じゃダメなんですか!?」

出会えることができたら奇跡と言われている存在が目の前にいたら誰でも期待してしまうよね。

ただ、正直に、いつも通りに僕は星人のありかたを説明する。


「星人はね、神様じゃないんだ。簡単に言うと願いと星を繋ぐ存在なんだ」

「……繋ぐ?」

そう、真っ暗闇の夜に、上を向いたら広がる満点の星空。ひとつひとつの点は小さくても集まるととても眩しく光る星。そんな星に生物は無意識に願い事をする。その願いが叶ったと言うものもいれば、所詮は世迷言と切り捨てるものもいる。結果なんて気にせずなんとなくで終わる人も多いと思う。ただ、星は頭上に広がっていて全てを見通す力がある。それを理解している人は少ない。


「ミレイユ。君の願い事は叶うかもしれないし、叶わないかもしれない。すべては君次第なんだ」

「私次第……」

「星人として君の願いは星に伝える。そして、これは星人にもよるんだけど……」

星に伝えると聞いて僅かな希望を瞳に宿していたけれど、奇跡は無条件で起こることは滅多にない。


「僕の能力では、君に選択をしてもらう」

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