29.帰る導
アルドの朝食はまるで洞窟で作ったとは思えないほど豪華だった。ちなみにディルは最近盛り付けを凝るのが好きらしく、すごくお店のような朝食が出てきた。朝から質が高すぎる……アルドとディルへのありがたさがすごい。食べながらも、加護水の使い勝手がいいという話をアルドから聞き、水筒に入れて持ち運ぼうと思う。
そんな中、フォーリスが起きたようだった。
「ん……」
きょろきょろと辺りを見回しているフォーリスはどうやらまだ覚醒しきっていないようだ。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「……あ、はい。よく、眠れました。はい……は、はい!!!」
ぼーっとしながら僕の言葉を繰り返していたォーリスが段々覚醒してきたようで、はっきりと返事を返してくれた。
慌てながらも僕たちに謝ってきたので、そこは体調第一としっかり念を押し、アルドがフォーリス用の朝食を手渡していた。彼女には食べやすいスープだ。
「美味しい……」
「昨夜の夕食もそうだけど、朝食もアルドお手製だよ。美味しいよね」
僕がアルドの料理を褒めるとフォーリスは意外そうに呟いた。
「……リリアルド様が?」
「料理しないように見えますよね。意外と、とても上手なんですよ、リリは」
「おいっリリっつーな!」
ディルの褒め言葉よりもやはりリリ呼びがアルドの中では気になるらしい……。
「……ん、なんか知らんが料理はできる」
アルドのなんか知らんは、本人も自覚なく料理が出来るらしい。以前も何故料理が上手なのか聞いたところ、自然に?分かんねーけど……という回答を貰っている。
「あの、美味しかったわ。ありがとう……ございます」
「食べれる元気があればそれでいい」
ぶっきらぼうに言いながらもアルドなりの気遣いが感じられる。料理も然り。
フォーリスも食べ終えて落ち着いた頃に、僕はアルドへ気になっていることを聞いてみることにした。
「それで、フォーリスさんの戻る方法って聞いていいの?」
「それなんだが、コイツ等の力を借りればいけるかなって」
こいつら……アルドが下の方へ指を指していたので視線をずらしてみると、そこにはやはりノームたちが複数いた。
「……ノームを?」
「そう、エルフ女は精霊・妖精に好かれる超特異体質だからノームたちもこうやって集まってくる。だからコイツ等に力を貸せって言ったら過剰にくれるはず。それで里まで転移する」
「でも、私長距離の転移はしたことがなくて……」
フォーリスが不安そうにアルドに伝える。意図してないにしろ長距離転移をしてしまったフォーリスだからなのか、転移をすることに恐怖を覚えてしまっているようだった。
「それで……これだ」
「家宝の水晶……」
アルドが懐から出したのは昨夜受け取りを拒否された水晶だった。
「これは常に里にあった物だと聞いている。見た限り数百年はくだらないはず。里の起点としてはこれを使えば充分務めを果たすと思う」
「で、でも、これは貴方への対価だったはずでは?私は受け取れません」




