27.休息
「辛かったな。もう大丈夫だし、里まで帰れる」
フォーリスの頭をぐしゃぐしゃに撫でるアルドは笑いながら故郷に帰ることができると断言している。その方法は既に思いついているのだろう、心強い言葉がフォーリスを安心させていた。
「や、やめてくださいっ!な、撫でないでっ」
照れ隠しと安堵からか涙目になりながらフォーリスがアルドに訴えていた。
「髪がぐしゃぐしゃになります!いやもう全部駄目です!こんな格好星人様とスフィ様に見せられませんっ!」
今更な言葉に思わず笑ってしまった。何日間この洞窟にいるか分からないけれど、乙女心というものなんだろう。相棒がうんうん頷いている。
「とりあえず、なんでもいいから今は安心して寝ろ」
「うっ」
アルドから寝るように額を少し押されて文句を言いつつも、フォーリスはゆっくりと横になる。
「俺たちで見張ってるから、ゆっくり休め」
「すみません……本当に」
「謝らなくていい。目覚めたらきっと良くなってるだろうよ」
「……はい……ありがとう……ございます……」
緊張の糸が切れたのか、穏やかな寝息がすぐに聞こえてきた。僕たちはフォーリスが静かに身体を休められるように少し離れることにした。その際、ノームたちは離れたがらなかった為、近すぎるとフォーリスが良くならないからせめて少し距離を取って見守ることをお願いした。あの至近距離じゃあ休まるものも休まらないだろう。
フォーリスから少し離れた先ほどまで料理していた火の近くへと腰を落ち着けた。
「ありがとう」
「ん?なんでリノが礼を言うんだ?」
アルドが不思議な顔で僕を見ている。僕からしたら今回、もし僕と相棒だけだったら到底対処できない案件だった。だからアルドが作った料理や、フォーリスにかけた言葉に、僕からは一緒にいる星人としてお礼を言うことしかできない。
「アルドがすごいって話だよ」
「それを言うならリノだろ。リノたちがいなかったらあのエルフ女を見つけられなかった」
アルドは自分がフォーリスを見つけることとなった経緯の予想を呟いていく。
「リノが知っての通り、俺の力は星人の中でも弱い方だ。エルフの里でのあんな大規模な願いの儀式では連れ帰れるだけの力はなく、エルフという種族と願いに繋がりを持った俺という媒体が、ディルを介して星の願いを代行したカタチ……なんだろうなぁ。弱いから見つけられなかったってのが仇になったけどな」
まぁ見つかったからなんでもいいけどよ。あっけらかんに言い放つアルドの強さを僕も、ディルも相棒も気付いていた。そういう人なのである。




