25.温かい料理
「リノ、ほい」
「え?……これって味見?いいの?」
「作ってる奴の専売特許だろ。当然」
僕は鍋をかき混ぜていただけなのに、いいんだろうか。味見というものをこれまでの旅の途中で料理には程遠いものを作っては食べを繰り返していたらからか純粋に嬉しい。
味見用の器をアルドに熱いから気をつけろとぐいと押し付けられたので、ふーっと冷ましながらと口を付けてみる。
「おいしい……」
それに優しい味がする。少しとろみもついていて、フォーリスが起きてすぐにでも食べられそうでアルドが栄養面を気にしているのも分かるけど食べやすさも大事にしていることが分かった。
「ん、うまい」
アルドも同じように味見をしており、味を変えないと決めたからなのか、火が消えないぐらいの小ささに調節していた。
今日は洞窟内で過ごすと思うと、辺りの探索を少しして途中だった寝床の準備をしっかりする。暫くするとディルがフォーリスが起きたと伝えに来てくれた。
「フォーリスさん、体調はどうですか?」
半身を起こした状態のフォーリスがディルと相棒に支えられていた。
「はい。なん、とか……」
そう話してくれたフォーリスだが、可愛らしいお腹の音が聞こえてしまった。本人は盛大に焦りながらお腹を押さえこんでいる。
「う……すみません……」
全身が真っ赤になっているフォーリスが小声で誤っているところに、アルドがすぐに先ほど作っていた料理を器に盛って持ってきた。
「ほら、これ食ってはやく治せよ」
「あ、ありがとう……ございます」
「…………おいしい………」
小さく呟かれた声と共に、フォーリスの瞳からぽろぽろと涙が流れ始めた。
「あ、すみません……ここ暫く食べてなくて……ノームたちは優しかったけど言葉が通じなくて、辛くて……」
「落ち着いて、ゆっくりで大丈夫」
「ありがとうございます……」
やはり暫く食べていなかったのはアルドの読み通りだった。そしてノームとも接していたようだけれど妖精の言葉は基本妖精にしか分からないので、お互いが一方通行で会話していたのかもしれない。妖精は僕たちの言葉を理解することは出来ても僕たちは妖精たちの言葉を理解できることは滅多にないから。
「すみません、もう大丈夫です。ごはんも美味しかったです。生き返りました」
涙を流しながら食べきったフォーリスはだいぶ顔色も良くなっていた。
「そして、……この度は助けていただいて本当にありがとうございます」
あの、よければお名前などお伺いできれば……そう言われてまだ名乗っていなかったのを思い出した。
「改めまして、僕はリノ、こっちは」
「リリアルドだ」
「そしてこの二人はそれぞれ僕とアルドの相棒である星の妖精のスフィです」
「どうも、ディルです」
相棒は基本言葉を発さないことを伝えながら、お互いがお辞儀している。
僕たちは元気になってきたフォーリスに、ここにいる理由や今までの経緯を聞くことにした。




