22.行方不明のフォーリス
「こんな震えた手で武器持ったって当たらないし怖くない」
「く……」
彼女を見ると呼吸が乱れており、顔色も悪い。気力だけで起き上がったため、かなり無理をしているようだ。
「あの、本当に無理しないでください。僕たちは、……星人です。人間ではないですし、あなたを害そうという意志はありません」
「…………え?星人??」
さ、ま?あの伝説の?
小声で伝説の?って言われた気がする……幻のエルフに伝説って言われているのもちょっと面白い。僕はあなたの方が伝説の?って言いたい。
「し、信じられないわ。だって、……星人さまって姿が見えない、はず……」
「正確には、願いの込められた強さで星人の認識度合いは変わってきます。今のあなたはたくさんの願いがあると思うので、星人を正しく認識されている状態かと」
ディルが淡々と答えていく。そう、エルフは基本的に里から出ることはなく彼女がこの砂漠地帯のカルゾンにいること自体が不思議なことだ。そして気を失って倒れていることも考えると、なんらかの方法……拉致などが考えられるけれど、自らの意志で住処から遠く離れたカルゾンにいるとは思えない。つまり彼女は今、帰りたいという願いや助かりたい、生きたいという本能的な願いが強くあるはず。
「ったく煩いエルフ女だ……」
「こ、こんな物言いが星人様であるはずないっ!」
「今のはリリが悪いです」
「リリっつーな!」
どうやら星人に理想があったみたいで、彼女の理想の星人とアルドはかけ離れているようだ。
「ほら、これ」
「……なに?」
アルドが彼女に向かって差し出したのは手の平に乗る水晶のようなものだった。
「これ……うちの家宝じゃない!?あなた奪ったの!??みんなはどうしたのよっ!」
「へーこれ家宝だったのか。それに見合った動きが今回のこれってことか……チッ」
つまり、アルドが先日行ったエルフの里での対価がその水晶なのだろう。僕の場合は願いに対しての選択だけれど、アルドの能力は願いに見合った対価を払うこと。その対価は、願いに比重する。
「お前、巨大樹の麓の里の、里長の娘だろ」
「そうよ、なんで知ってるのよ……やめてよ……なにしたのよ」
ボロボロに泣き出した彼女を宥めるように優しい声音でアルドが続ける。
「なんもしてねーよ、心配するな。むしろあの里の奴ら全員がお前のこと心配してたよ。確かフォーリスって名前だったか?ったくどこ行ってたんだよ。これはお前を見つけるための願いの対価。ほら、返すよ」
「……?え?」
アルドは対価として得た水晶を彼女、フォーリスに渡す。里の水晶と願いを聞き届けた星の意志が重なって、彼女を探す補助的な役割がディルとアルドを知らず内に動かしていたようだ。




