21.透明な壁
慎重に点滅しているという奥の壁へと進むアルドがふいに止まった。
「なんか見えない壁がある」
どうやら透明な壁に先を阻まれているようだった。アルドは手で触ったり叩いたりしている。どうやらさっきの閉じた壁に近い感覚がするようで、星人の力を込めて強めに叩いた。
ミシッ
透明な壁は亀裂が入ったかと思うと、少しづつひび割れていき透明だった壁がまるで蜘蛛の巣のように跡をつけながら砕け始めていた。やがて粒子となり光り輝き消えていく壁の向こう側には、先ほど見ていた同じ壁と、見えていなかったものが見えた。
誰か倒れている。
僕もアルドも咄嗟に倒れている人へ近づこうと駆け寄る。しかし、直前でまた壁に阻まれる。
「邪魔だ」
アルドがそう言い走りながら壁に手をつき崩していく。
ここまでくるとこの摩訶不思議な現象が分かってくる。この透明な壁は僕たちが倒れている人物の元へ向かう先々に素早く生成されている。こんな芸当ができるのは人間には無理だ。そう、この地形と環境に適している地の妖精、ノームの仕業だ。
ディルも同じ答えにたどり着いたようで、ノームに話しかけている。
「我々はそこに倒れている者を助けたいだけです。邪魔はしないでください」
そこに相棒の一押しもあったらしく、ノームの気配はスッとなくなった。
「おい、大丈夫か?」
「う……」
白緑色の髪の長い美しい女性が気を失っていた。見た限り怪我などは負っていなさそうだ。
僕は、気力を回復できるように力を込めて彼女の手に触れる。
「なんだってこんなところに女が…………ん、この女……」
アルドが周りを警戒しながら女性を観察していた。
彼女の目が覚めるぐらいには気力が回復してきたようで瞼が少し動いた気がした。
次の瞬間彼女は僕の手を振り払った。
「だ、誰だっ!」
覚醒したばかりの彼女は腰に帯びていた短剣を素早く構え、警戒態勢をとる。
「おい、助けようとしている奴に向かってそれはねーんじゃねーの?」
「そ、そんなの信じれられるか!」
「こんのエルフ女っ!!」
「なっっ……あ、フード……!?」
顔を隠そうとフードがついたローブを羽織ってはいたが、倒れてからの立ち上がりで顔がハッキリと見えており、耳を見れば一目瞭然だが彼女はエルフだった。エルフは耳が少し長く、種族皆が見目麗しく長寿だといわれる出会うことが難しい種族である。最近のネーベルフに続く出会いで少し驚いたけれど、昨夜の話だとアルドはエルフの里で儀式を行っているはずなので驚きはないようだった。
「こんな震えた手で武器持ったって当たらないし怖くない」
「く……」




