19.見えない波紋
加筆修正しました。(7/25 23:55)
街はずれの人気がないそこには、分かりにくいけれど洞窟があるようだった。
「俺がこの街から離れられない理由は、あの洞窟なんだ」
示された洞窟は、人が寄り付かない……まじない?のようなものが掛けられているようだった。
「……あの中にはなにがあるの?」
「いや……」
アルドは苦虫を嚙み潰したような顔をしながら話すのを躊躇しているようだった。
「俺の力が弱いせいか……なにも分からないんだ」
ディルの目的地はあそこで間違いないんだ、そう言いながら真っすぐにこちらを見つめてくる。
「まさかリノに会えると思ってなかったからすっげー嬉しかったのはもちろんなんだけど、……よかったらあの洞窟に一緒に行ってくれないか?……俺にはなにもないと感じても、リノなら違うと思うかもしれない」
星人の行先は基本的にはスフィが導く通りに行くことが多い。アルドもディルに任せているようだ。
「分かった。行こう」
「あー俺が言うのもなんだけど、……リノは決断が早すぎる……もう少し考えてくれてもいいんだけど」
「ふふ、なに言ってるの。アルドだって本当は頼りたくなかったんでしょ?僕が、星人が近くにいたという奇跡は二人いないといけないってことかもしれないし」
それにアルドの頼みなんて珍しいしね。そう伝えると、確かにそういうのもあるかもしれないなー俺の数日は徘徊に終わっただけだけど……と少し不満そうだ。
「中は少し入り組んでるけど、俺はもう何度も入ったから……とりあえず一番奥まで行こう。怪しいのはそこだと思う」
「戦闘はある?」
戦いは得意ではない為、先に聞いておく。足手まといになりたくないし、戦いがあるなら準備が必要だった。
「いや……というより、ここ数日で大体のしたから大丈夫なはず」
「のしたって……はは……流石」
アルドは腕っぷしが強いので、とても頼りになる。僕はどちらかというと星人の力頼り、いわゆる魔法に近しいものを使うけれど、どちらかというと補助的なことを得意としている。
「じゃあ、案内よろしく」
「任せろ!」
地面が砂から岩に変化していき、歩きにくい地形の洞窟の中へ進んでいく。街からの明かりが見えなくなると、まだお昼に差し掛かっていないのに辺りは薄暗く、無防備になってしまうため相棒に頼み少しだけ周囲を照らしてもらう。アルドもディルに道を照らしてもらっており、幾度となく分かれ道があったものの迷いなく進んでいく。
魔物や獣が出るかもしれないので、極力音は出さずにアルドの後ろをついて行った。
砂漠地帯は基本的には暑く、日差しが当たる場所は灼熱のように熱くなる。そうならない為にもそれ用の装備は必須であり、僕もアルドも星人の印がついた軽い外套を羽織り、中は軽装だ。洞窟の中は外と違い、少しだけひんやりしており砂漠地帯の温度差を目の当たりにする。
「ここだ」
アルドが止まった先は少し開いた場所で、オアシスの街の通り、源泉が少しだけ湧き出ていた。
「ここが一番奥?」
「ああ、なにかあるはずなんだが俺には分からない」
周囲を見回してみるが、通ってきた場所と変わらず岩場が広がっているぐらいだ。壁も地面も触ってみるが特に異常はない。
ぴちょん
そんな音がして、端にある源泉を見た。特に変わった点もなくそこには少ないながらも消してなくならない水が息づいていた。飲み水として、飲めるだろうか。そう考えていると、相棒に手を引っ張られた。
「!……なにかあった?」
相棒は源泉の方を指さす。僕もアルドもディルも揃って源泉を見つめる。そこには先ほどの雫のような音が複数生まれ、波紋が広がっていた。
なにかいる。
アルドとディルが源泉へと近づくと、波紋はさらに激しさを増した。そんな水面を見ていると、そこから真逆の行き止まりだった壁にぽっかりと空間が開いて道ができていることに気づいた。
開いた空間をなくそうと壁が動いていたが、すかさずその場所へと足を踏み入れた。




