18.留まる理由
相棒に揺すられて目を覚ますと、もう朝日が出て暫く経った頃だった。隣のリリアルドを見ると既に着替えも終えており、ベッドに腰掛けながら窓から見える景色をずっと見つめていた。
「おはようアルド……」
「あぁ、おはよう」
静かに挨拶をしあったけれど、こちらを振り向いたときにはもういつものリリアルドだった。
「さ、着替えて顔洗ったら飯行こうぜ!」
「……うん」
リノは朝弱いんだっけ?俺は何でか強い!そうアルドが話しながら僕はまだ覚めきっていない頭でゆっくりと準備する……実はいつも相棒に起こされなきゃ起きれないんだけど、アルドはどうやら日が昇るのと同時に目が覚めるみたいで羨ましい……。
アルドは数日このカルゾンにいたみたいなので、朝は外で食べると息巻いている。
「中心部にオアシスがあって、その付近から屋台があって特に美味いところがあるからリノに絶対食べてほしい!」
「アルドのおすすめは間違いがないから楽しみだよ」
「任せろ~!」
どんどん進んでいくアルドの足には迷いがない。この様子を見るに数日は滞在して食べ歩きもしたのかもしれない。ただ、星人は基本的に一つ所に留まらない。僕みたいに放浪している星人がほとんどだけれど、一握りの星人は自分の永住の地を見つけてそこを拠点に行動しているらしい。
アルドがおすすめしていた屋台は大通りから一本ずれた場所にあり、賑わいはあまりなかった。アルドは気兼ねなく注文をしに行った。
「おばちゃんおばちゃん、昨日のやつ今日も食べる!二個ください!」
「え?あら、……あら~~!昨日の美形おにーさんじゃない!嬉しいわ~でも毎日は飽きない?」
「ここのセヌビが一番美味いよ!」
「嬉しいこと言ってくれるね~おまけもつけるから、しっかり食べてね!」
手際よくセヌビと呼ばれる料理を二つの器に載せてくれる。中身はどうやら鶏と豆を炊いたシンプルな料理のようだった。アルドが連日食べるなら相当美味しいんだろうなという期待と、僕たちの存在認識をものともせずに話しかけるアルドはすごくて、お店の人も覚えているぐらいには強烈な印象なんだろう。
アルドに手渡されて一口食べてみると優しい味が口の中に広がった。朝に食べるには丁度いい味付けと量であり、相棒と分けながら綺麗に完食した。
その後はオアシスの前の木の実がたくさん置いてある店にアルドが行ったかと思うと、両手にひとつずつ大き目な木の実を持って来てくれた。その木の実には切りこみがあり、甘い果汁そのままが飲み物として堪能できるらしい。
「甘いし美味しい」
「俺的にはちょーっと甘さが足りないけど水分補給にはもってこいな実だよな」
この実を覚えておけば砂漠で飲み水がなくなったときに代用できるのでとても便利だとも教えてくれる。
セヌビと木の実の飲み物でお腹を満たした僕たちは、アルドの導くままにオアシス街の北の方へと足を向ける。
街はずれの人気がないそこには、分かりにくいけれど洞窟があるようだった。
「俺がこの街から離れられない理由は、あの洞窟なんだ」




