16.熟考します
「相棒は、僕が名前を付けたいって言ったら許してくれる?」
僕は相棒と呼ぶのも好きだった。今までずっと2人で旅をしてきたし他の星人に会ったことがなかったから、スフィと呼んでも相棒と呼んでも判別はできた。でも、目の前でリリアルドとディルのやり取りを見ていると名前で呼び合う信頼……絆のようなものが感じられた。
名は体を表すとも言う為、星人である僕が軽々しく付けるものではないと思い込んでいたけれど、それがただの逃避のようにも感じてしまった。アルドは出会った時も、そして今も、いつも僕が気づけないことを気付かせてくれる。
相棒は少し考えた様子で伝えてくれた。どちらでもいいと。僕がスフィという種の自分のことをいつも尊重してくれていることは分かっているから、名前はなんでもいい。でも、もし付けてくれるならもちろん、嬉しい。
「うん、……ありがとう。相棒」
僕は名前を付ける方向で考えることにした。
「じゃあ、すぐには考えつかないから、また決まったら伝えるね」
そう言うと、相棒はふんわり笑っていた。
「よかったよかった」
「はい」
「ほらほらこれ、あとこれ!」
アルドはお皿に手際よく料理を盛ってくれてずいと渡してきた。彩りも考えられた美味しそうな見栄えで、こういうところは卒なくこなすのがこの男なのだ。
「……美味しい!」
「だーろ?絶対リノ好きだと思った。あん時もこういう味好きそうな顔してたし」
「?そんなことよく覚えてたね」
星人としての教育を受けていた時、食事も基本アルドと一緒にとっていた。その時はまだ覚醒したばかりで美味しいという感情が少しぼやけていた気がするけれど、アルドには僕が好きなものが分かったみたいだ。そういうところはよく気付くのに、たまに自分の感情を優先して空気を読まないところがむしろ正直で好かれるのかもしれない。
アルドとディル、僕と相棒で美味しい食事を満喫し、四人で部屋へと向かう。二階の角部屋に用意された部屋は綺麗に清掃してあり十分な広さがあった。
「アルド、僕今日は森からここまで来たから先に身体洗ってもいい?」
実はもう耐えきれなくて優先度が極限だった。
「んっ!?森から??……いや、考えても分かんねー!さっぱりしたら色々旅の話聞かせてくれよ!」
「ありがとう。僕も君たちの話聞かせてね」
「おー!」
ささっと身体を清めるため隣の部屋へと移動する。アルドは僕の相棒が言葉を発さないのは知っているけど問答無用で話しかけている。相棒が受け答えしているのをディルが申し訳なさそうに通訳していた。この二人、いったいどんな話をするのか少し気になるけれど……まずはサッパリしたい。




