表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星人の旅路  作者: 華世
オアシスの街カルゾン
15/89

15.名前

目の前で綺麗に頭を叩かれている様子に久々の光景だと微笑ましく思ってしまう。叩かれた本人は怒り心頭のようだけれど。自分よりも背の高い相手を叩いたことから少し飛んでいた彼の相棒はすたっと着地していつものように文句を言っている。


「バカリリがリノ様に久々に会えて嬉しいのは分かりますが、弁えて!!相手のことをちゃんと考えてください!」

リノ様もすぐ答えないとこうなりますから!と勢いよく振り向いて助言までくれた。僕は急いでこくりと頷いておく。

「こんのっリリって呼ぶなっつってんだろっ!!!」

「バカリリが突っ走ったら止めるのが僕の役目です。見てくださいよ、リノ様の困ったお顔を……!」

怒るのは名前なんだ……とか思っていたらこちらにお鉢が回ってきた。困った顔は確かにしてしまったけど、こう急だったからで!

「……え?……リノ…………もしかして迷惑?俺……久々に会えて嬉しくて……ごめん……」

あ〜~こんな、しゅんとしていたら何も言えないし、別に嫌だったわけでもないし……いや、部屋は勝手に決めてほしくなかったから素直に伝えておこう。

「アルドは相変わらずだね。大丈夫、僕も会えて嬉しいよ。ただ、部屋は一言相談があった方が嬉しかったかな。ほら君も相棒と相談してなかっただろう?……あと、追加のお金は僕が払うから」

念押ししておかないとこの男、リリアルドはすぐに忘れるのである。

「んあ?ディルはいいって言うよ。な?」

「もちろん、リノ様との相部屋は大歓迎ですが……それよりもリノ様に相談せずに決めたことが問題ですよ!」

「悪かったって!嬉しくて先走っちまったんだよ!……リノも悪かったな」

でも積もる話もあるし俺的には一緒が嬉しいんだけど、と横目で僕を見ながら呟いている。

「もう分かったから。久しぶりにたくさん話そう」

僕がそう答えるとアルドはいつも通りの笑顔に戻った。


料理が冷めるからと急いで食堂の席に戻る。食堂はなかなかに賑わっていたが、端の方の席にたくさんの料理が並んでおり、この量を二人で食べるつもりだったことに少し驚く。

「俺は数日ここに滞在してるんだけど、ここの料理が一番美味かった。これとこれとこれとか、リノ好きそうだぞ」

「あ、ありがとう……」

オススメされた料理はすべて美味しそうで、中でもタレがついている肉団子が店内の明かりに反射してとても美味しそうに輝いている。

ただ、食べる前にさっきから気になっていることがあった。

「アルド」

「んー?」

既に食べ始めているアルドが肉料理を頬張りながら聞いてくれている。

「えー…っと、ディルって…」

「あぁ、そうそう、相棒のスフィに名前を付けるのってみんなしてなかったと思うけど、名前ないと不便じゃん。だから付けた」

「付けたって……」

「だって禁止でもなかっただろ?」

確かに。名前を付けることは禁止はされていなかった。ただ、スフィに名前は付けないものだと思い込んでいただけだ。アルドの隣のスフィ……ディルに視線を移すと、柔らかく微笑んでいる姿が見えた。

「リノ様、僕も名前はどうかなと思ったのですが、ディルっていい名前じゃないですか?絶対リリが付けそうにないのに、一生懸命頭を悩ませて付けてくれて……嬉しくて、僕も納得してます」

アルドが小声でリリって呼ぶなっつってんだろ……とブツブツ言っていたが、ディルの言葉が嬉しかったのか横を向いている。


「名前……」

僕は、スフィは星の妖精の総称だし、そのスフィと呼ぶのは個として呼んでいない気がしてずっと相棒と呼んできた。目覚めてからずっと一緒な相棒だ。名前なんて自分が軽々しく付けていいものと思っていなかったので考えつきもしなかった。

隣の席に座っている相棒を見つめてみると穏やかに笑っていた。

ディルは僕の相棒を見て、居心地が悪そうに少し肩をすくめている。


「相棒は、僕が名前を付けたいって言ったら許してくれる?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ