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星人の旅路  作者: 華世
道すがらⅠ
10/89

10.仔ネーベルフの想い

ネーベルフの仔どもと暫く無言で見つめ合ったが、向こうからの僕への興味のほうが勝ったようだった。仔どもだからか好奇心が抑えきれないようで、ジリジリと少しずつ距離を縮めてきている。


この仔ネーベルフは確実に僕が見えている。つまりなにか願いがあるということだ。じっと様子を観察してみる。

巣穴から出てきているところを見るに生後3〜4週間程だろうか。まだ毛がフワフワとしており成狼には程遠い可愛さがある。


「相棒、触っていいと思う?」

仔ネーベルフを驚かせないように小さな声で隣の相棒に聞いてみた。もう目の前にいるので、いいのでは?という意見にそっと、仔ネーベルフが気になっているであろう貝の干物を手に置いた。

予想通り仔ネーベルフは今まで注意してきた行動はどうしたというぐらい真っすぐ目当ての食料に向かってピョンと走ってきた。

一瞬手にのっていることを気にしたのか、目前で急停止する姿ですら可愛らしい。

そっと食べていいよ、と手を差し出す。

ネーベルフは普段、群れで行動し慎重で臆病な性格の為、滅多に姿を現すことはない。大人のネーベルフであれば噛み殺される危険性も十分にあるけれど、仔どもの殺傷能力は低く、むしろ見ることができれば幸運に合うだろうとまで言われている生き物だ。自分自身が姿を見ることができづらい存在の為、仔ネーベルフの存在は僕にとって嬉しいものだった。


貝の匂いを嗅ぎながら、大丈夫だと判断したのか上手く手から攫うように咥えて食べている。


「撫でていいかな?」

食べている邪魔をしないようにそっと聞いてみた。

仔ネーベルフはそっとこちらに視線を向けたと思うとまた夢中に食べているのでこれは許可が出たということだろう。ネーベルフはとても賢いのだ。


そっと触れると滑らかな手触りの毛が身体を覆っていることが分かる。仔どもだからこそのフワフワ感に癒されていると、相棒も興味を持ったのか恐る恐る撫でている。相棒は触り心地を気に入ったのかどんどん撫で方がエスカレートしていっているが、仔ネーベルフは気にせずについには食べ終えてお腹まで見せて撫でてと主張していた。


「君は警戒心がなさすぎじゃない?」

思わずそう言うと、仔ネーベルフは少し不貞腐れたような表情を一瞬見せたが立ち上がり僕と相棒を真っすぐ見つめた。


「ワフッワフ……ワフッ」

仔ネーベルフは熱心にこちらに話しかけているようだったが、僕は流石に狼語は分からない。相棒をチラリと見ると、しゃがんで目を合わせながらフムフムと頷いている。まさか理解できると思っていなかった為、ポカンと一人と一匹を見つめてしまったが……流石星の妖精である。もしかして他の動物の言葉も分かるのだろうかと少し気になってしまった。


暫くすると、相棒が僕に伝えてきた。

どうやらこの仔ネーベルフは、群れを抜け出して旅をしたい、冒険したいという熱い想いがあるようだった。


仲間意識が強く群れで暮らしいているネーベルフにとってとても難しい願いだろう。

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