56その後の話1
その後のジョイナス王太子の仕事は早かった。
国葬を終わらせ王位戴冠式を1か月後にする予定にした。
もちろんグロギアス公爵は処刑。ミリアナは北の修道院で一生幽閉が決まった。
その他グロギアス公爵とつながりのあったキルヘン辺境伯、ロベルト神官、高位貴族たちもそれぞれ処罰が決まった。
キルヘン辺境伯は平民にロベルト神官は鉱山の労働刑になった。
そのほかの貴族たちもそれぞれ爵位剥奪や格下げなどの処分がおりた。
ロイド殿下は魅了を解かれた後もまだミリアナのやった事が信じれずミリアナを擁護する事ばかり言うので議会はロイド殿下の王位継承権を剥奪して西の辺境で幽閉される事になった。
ジョイナスの希望でロイドの行いが改善すれば幽閉も解除することもあり得るとした。
こうしてジョイナスの国王は確定した。
ジョイナス国王となるとすぐにもめていた隣国との話し合いに臨んだ。
話し合いの結果、ジスタル国やミタイン国は独立。他にも希望のある国は独立させると決めた。
イエルハルド国ももちろん元の領土を返してもらえることになった。
議会は全員一致でジョイナスの政策に賛成でコルプスは帝国からコルプス国と国名も変更した。
食糧危機は他国の助けを受け無事に危機を乗り越え魔源石が元に戻ったせいか次第に天候不順もなくなって行った。
私とリントは正式に婚約をしてバカルのタウンハウスに住むことになった。
一度キルベートに帰って神殿の再建の支持を出して診療所はしばらく休むことにした。
もちろんアランはバカルに呼び寄せた。
リントはジョイナス次期国王の手助けをして私は聖獣の世話やオークの森、神殿の立て直しを手伝うことになった。
アランは来たそうそう使用人から二人が婚約したと聞いて夕食の時に尋ねた。
「パパ、アリーシアとこんやくしたんでしょ?」
アランの視線はリントに注がれている。
「ああ、そうだ。アリーシアはアランのママになるんだ」
リントがはち切れんばかりの笑顔でアランに話す。
「ママ?僕にママが出来るの?でも、最初のママはいなくなったんでしょう?」
アランの目が伏せられる。
リントがそんなアランの頭をㇰシャリと撫ぜる。
「ああ、アランそうだったな。アランが生まれてずっとパパと暮らして来たよな。でも、アリーシアはいなくなったりしない。だってアラン思い出してごらん。アリーシアはパパと一緒にガロンでキルベートに来てからずっと一緒だっただろう?」
「うん、そうだね。最初はあんまり仲良しじゃなかったけどどんどん仲良しになったよね。そんでパパもアリーシアと仲良しになったんでしょう?それでこんやくしたんだよね?じゃあ、もっともっと仲良しになるって事?」
「ああ、そうだ。これからもっともっと仲良くなるぞ。どうだアラン?」
「うん!たのしみ。アリーシアずっとずっと一緒だよ。やくそく!」
アランは瞳をキラキラさせて私に小指を差し出した。
「アラン。ずっとずっと一緒だよ。やくそく!」
ふたりで小指を絡ませると反対の小指をリントが絡ませてきた。
「パパもやくそく。ずっとずっと仲良くしような。アラン。アリーシア…」
そうやってバカルで3人での生活が始まった。
それからリント隊長と呼ぶことは禁止された。だから私は恥ずかしいけどリントさんと呼ぼうとした。
即刻却下された。そうでなくても年の差婚なのでせめてリントと呼んでほしいと言われた。
だから彼の事はリントと呼ぶことになった。超恥ずかしいけど。
リントは黒翼騎士隊の隊長を辞するため引き継ぎの事もあるのでガロンに乗って時々キルベートに帰っていたが今日もリントは留守だった。
「ねぇ、アリーシア。これからはアリーシアの事ママって呼ぶんだよね?」
不意にアランからそんな事を言われた。
「ええ、そうよね。私はアランのママになるんだし…アラン、ママって呼んでくれるの?」
「えへへへ…何だかてれちゃうよ~…」
アランは私のそばに来た。
私はアランを抱きしめる。
アランの顔が肩口に寄りかかって「ママ。だ~いすき。ずっといっしょ…」
可愛い声が耳孔に染みわたり耳殻には優しい息がかかる。
愛しさがこみあげて私はアランをぎゅっと抱きしめた。
「アラン大好き。これからはずっと一緒だよ」
「うん、やくそく」
「やくそく。フフフ」
私は心から幸せだと思った。




