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アリーシアは婚約破棄されたので辺境で幸せになりたい  作者: はるくうきなこ


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51パシュがジョイナス王子?


 「パシュどうしてお前がこんな所に?」

 「ああ、どうしてお前が?」

 「そうよ。パシュ一体どうして?でも、なんだか髪の色が違うわよね?」


 パシュは銀髪だったはず、でも今は金色の髪色だった。

 「ああ、今まで髪色を変えていた。グロギアス公爵久しぶりだな。俺だよ。わかるだろう?」

 「近衛兵何をしている。こんな薄汚い男。早く連れ出せ!」グロギアス公爵は口をわなわな震えさせて怯えているようにも見える。

 「お前たち俺に手を出すと後で後悔するぞ。俺はこの国の第1王子のジョイナスだ。ほらよく見てみろ」

 パシュと思っていた男が顔をぐっと突き上げみんなに顔を見せる。

 「「「「ジョイナス王子!!」」」」


 「えっ?パシュが王子?うそ」私はジョイナス王子の顔を知らない。確かに遠くから見たことはあったが顔をはっきり見たわけではなかった。

 でも、エクロートやリント隊長、近衛兵がそう口をそろえて行ったと言うことは…リント隊長もわからなかったの?

 まあ髪色が違ったしパシュは前髪をいつも下ろしていて顔を隠してはいたけど…

 「パシュあなたほんとにジョイナス王子なの?でも、死んだって聞いたわ」

 「ああ、確かに4年前ガロンと一緒に墜落した。あの時ガロンは薬を盛られたに違いない。飛び立ってしばらくするとガロンの様子が酩酊状態になった。媚薬のようなものでも飲まさせられたんだろう。俺達は魔樹海の真ん中。そうあの王宮の墓地辺りに墜落した。幸いガロンがクッションになってくれて俺はかなり怪我をしたが死ななかった。そこに赤い髪で銀色も瞳をした女性が現れた」


 私は思わず口をはさんだ。「それは女神?」


 「それはわからない。女神だったかもしれない。とにかく、俺はその人がかざす光に包まれて怪我が治った。ガロンも怪我をしたがすっかり治った。その頃俺は父のやり方にうんざりしていたし王太子という立場にもすっかりやる気をなくしていた。このまま姿を消すのもいいと思ったんだ。それでガロンはバカルに帰して俺は自由を満喫しようと冒険者になった。ただ、ガロンがなかなか帰ろうとしなくて参ったが、その理由もこの前分かった。あの女神はガロンの主人なんだな。だから離れようとしなかったって事だろう」


 「そんな…ジョイナス王太子、みんながどれほど悲しんだか。どんなに心を痛めたか?あなたはそんなうんざりしたからと言ってこの国の国民を見捨てたんですか?」

 エクロートは我慢できないと怒りを爆発させた。

 (無理もないわ。ロイドと言いジョイナスと言いザイアスもだけどひどすぎるもの)

 「そうですよ。エクロートさんの言う通りです。パシュ。いえ、ジョイナス王太子のやった事はすごく勝手な事ですよ!」


 「ああ、そうかもしれない。でも、それで分かった事もある。大切な仲間。人々の暮らしが大変な事も、食べ物の大切さも、日々の暮らしが、その中にある喜びがどんなに大切かよくわかった。冒険者になって色々な人に助けられた。食べ物もなくて腹が減ってそんなとき街のパン屋のおっさんが残りもんだけどって食べ物を分けてくれた。怪我をして困っていると宿屋の婆さんが部屋を貸してくれて薬草を塗ってくれた。魔樹海の魔獣を倒すと街の人はすごく喜んで俺も役に立っているって思えた。もうこのままキルベートで生きて行こうと思っていた。でも、アリーシアに出会って俺はあの時の女神かと思ったよ。まあ、違ったが…アリーシアは俺の予想を裏切るほどいい仕事をして…くぅぅぅ。マジで俺は惚れた。まあその話はそのうちにとして、とにかくアリーシアはすごかった。魔樹海を浄化してあんなに穢れていた場所を元の美しい樹海に戻した。そして魔源石が見つかって女神はまだ俺達を見捨ててないんだって思った。それなのに俺は…俺は何してんだろうって、そしたら魔源石が盗まれたって聞いて…」


 パシュ。いいえ。ジョイナス王太子が大きな肩掛け袋から魔源石を取り出した。

 「取り返したの?」

 私はジョイナスを怒鳴ってやりたいと思っていたが魔源石を取り返したと聞いて見直した。

 「ああ、ガロンを追ってロベルトが捕まったが魔源石はなかったと聞いて俺たちはすぐにそのまま魔源石を持ち去った奴らを追った」

 「俺たちって?」

 「俺の仲間。冒険者たちだ。彼らは今飯を食っている」

 「それで奴らがすべてグロギアスの指示だとしゃべった。おい、デオロイ!」

 突然ジョイナスがうなだれたままのデオロイを呼んだ。

 デオロイははっとしてジョイナス王太子を見る。

 ジョイナスがデオロイの顔をじっと見つめる。

 「何もかもすべて話せ。いいか、俺の目を見ろ!」

 私はその様子をじっと観察した。

 デオロイの目が、がっと見開きそしてカチッと音がした気がした。

 「はい、すべて話します」

 デオロイはいきなり姿勢を正してその場にきちんと座り直した。






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