49バカルに
私達はガロンの背に乗ってバカルに向かった。
ガロンに乗る前にリント隊長が言った。
「実はアリーシア。こんな事を言うのはどうかと思うが、バカルについたら俺の婚約者ということにしておいて欲しい。国王やロイド王太子がどんな状況かもわからないし万が一にでも君とよりを戻すなんてことになったらと思う。だからいいね?」
「いえ、でも、そんな急に言われても…そんな振りできないかもしれませんし…」
(うわっ、どうしよう。隊長は絶対私が隊長を好きじゃないって思ってるみたいじゃない。もぉ、いっそここで気持ちを打ち明けてはっきり好きって言えばいいんじゃぁぁ?)
「きゅぅきゅるぅぅ~」(アリーシアも一緒?)
ガロンがすり寄って来た。
「ガロンったら、だめじゃない。いきなり驚いたわよ~うん、一緒に耀に行くのよ」
「きゅぅぅぅぅ~」(うれしい~)
「急ぐからそう言うことで頼む。一度騎士隊によって着替えをしたら行くから」
隊長はすっかり勘違いしたみたいだ。
(うわぁっ、今さら違うんですって言いにくいし…まあ、これからバカルに行って聖獣の事とか忙しいんだし、折を見てゆっくり話をすればいいわよね)
私達は急いで支度をしてすぐにバカルに向かった。
二度目のガロンの飛行はすごく優しく飛んでくれた。んだけど…
隊長とピッタリくっついている。それを意識しまくって恥ずかしさとうれしさで私はある天国と地獄を味わっていた。
そしてあっという間にバカルに到着した。
赤翼騎士隊の獣舎の近くにガロンがおりた。
いきなり来たので赤翼騎士隊の隊員が慌てて駆け付けた。
「リント隊長。驚きました。いきなり何事ですか?」
「ああ、すまん。実は大切な話が合ってエクロートはいないか?」
隊長は一番にエクロートを探していた。
(こういう時ってまず国王に謁見とかするんじゃないの?)私は???と思いながらも隊長の後をついて行く。
運よくエクロートさんが見つかりすぐに3人で部屋に入って起きたことを話そうとした。
「リント!あれだけ言ったじゃないか。アリーシアを連れて来るなって!」
エクロートさんは私が一緒に来た事を知って顔を真っ赤にして怒った。
「それはそうだが…聖獣が一大事なんだろう?アリーシアなら聖獣を大人しく出来るはずだ。だから仕方なく連れて来たんだ。俺だってこんな事したくはなかったさ。いや、それにエクロートがどうしてアリーシアの事でそんなに向きになるんだ?」
「向きになるに決まってるじゃないか。アリーシアは大切な俺の…」
「なんだよ。途中でやめるなんて…お前アリーシアとどんな関係なんだ?」
リント隊長がエクロートさんと私の両方を見比べている。
「どんなって。そんな事今関係ないだろう!それより何があったんだ?それを早く言えよ」
「お前が文句ばかり言うからだろ…ったく」
そこで隊長は今までの事を話した。
「じゃあ、魔源石がイエルハルドの神殿跡にもあったのか?それも穢れていない魔源石が?そしてそれを盗まれたってぇぇ?どういう事何だ?リント一体何をしてたんだ!そんな大切なものを奪われるなんて」
エクロートさんはさっきよりもさらに怒りを露わにして怒った。
「いや、ロベルト神官がグロギアスの手のものだとは思わなかったんだ。安全だと思った教会が一番危険だったとは…すまん。それで多分ロベルトから魔源石を手に入れたやつがこっちに向かっているはずなんだ。俺達はガロンで来たから先についているはずだ。だから今から王城に入って来てグロギアスに面会する奴が怪しいと思う」
「そう言う事なら先にその人物を捕らえればいいんだな。よし!騎士隊を動員しよう」
「何て言うんだ?」
「そうだな。魔樹海からお宝でも出たとでも言うか?その献上の品が盗まれた事にして王城の門をくぐった奴全員の身体検査をしよう」
「ああ、女も年よりもすべてだ」
「ああ、ロイド王太子が腑抜けの今、騎士隊は俺の言うことはたいてい聞くからな」
「ああ、そっちは任せる。それで聖獣の様子はどうなんだ?」
「ああ、大変なんだ。アギルは檻に入れたままで食べ物だけやっている。他の聖獣も同じく檻に入れてはいるがなんせ暴れるから檻がいつまでもつか時間の問題じゃないかと」
「そんな」
「それでまさか魔獣化とかしそうなんじゃ?」
「俺も昨日アギルの様子を見たが目つきが相当やばい。人間を見ると牙をむいて飛び掛かろうとする」
「私をアギルの所に行かせて下さい。他の聖獣の所にも。それに赤ちゃんは?」
「わかった。すぐに…お宝の方は騎士隊と俺に任せてくれ。リントとアリーシアは聖獣を頼む。でも無理はするな。赤ん坊は飼育棟で預かっている心配するな。それよりアリーシア気をつけろ。いいなリント頼んだぞ」
「お前に頼まれなくてもちゃんと彼女は守る。安心しろ!」
私とリント隊長は急いでアギルの所に向かった。もちろんガロンも連れて行く。




