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アリーシアは婚約破棄されたので辺境で幸せになりたい  作者: はるくうきなこ


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47魔源石なくなる(リント)


 その翌日だった。

 ロベルト神官の姿が見えなくなった。

 教会の人たちも護衛に当たっていた騎士隊員も一緒に探したが見つからなかった。

 そして魔源石もなくなっていた。

 「すぐに隊長に報告します」

 報告を受けた俺は(リント)は全員にロベルト神官の捜索をさせる。

 自分はガロンに乗って空から捜索をした。

 するとバカルに向かう街道を急ぐ馬車があった。

 俺はその馬車に向かって急降下した。

 馬車に近づき大声で叫ぶ。

 「その馬車今すぐ止めれ!いいか、止まらないならガロンの翼で吹き飛ばすぞ!」

 驚いたのは御車で馬車をすぐに止めた。

 すると馬車から男が出て来て走って逃げだそうとした。

 見るとロベルト神官だった。

 「ロベルト止まれ!お前が魔源石を持ち逃げしたことはわかっている。もう逃げられないぞ。大人しくとまれ。止まらないなら…」

 俺がガロンをけしかけて走るロベルト頭すれすれに飛ぶ。ガロンは絶妙な距離で彼を威嚇するには充分の高度を保ちロベルトを恐怖に陥れた。

 「ガロン、すごいぞ。お前のおかげで間に合った…」

 ロベルトは腰を抜かしてその場にへたり込んだ。


 俺はすぐに近くに降りてロベルトを捕らえた。

 「ロベルトもう逃げられないぞ。諦めろ!」

 ふざけた事にロベルトは神官の服を着て誰が見ても人の良い神官を装っていた。

 俺は頭に血が上った。ロベルトの首元を両手で締め上げつるし上げる。

 「貴様!なんてことを。魔源石はどこだ?言え!どこにある?」

 「ここ‥には‥ありま、せん…」

 俺はロベルトの持ち物を調べるが彼はそれらしいものは持っていない。馬車の中もくまなく調べたがない。

 「どこにある?どこにやった?くっそ。言え!」

 ロベルトの顔を数発殴った。

 ロベルトは身体を震わせてていたがそのうち笑いながら言った。

 「ハハハ‥魔源石はバカルに届けられる。これでバカルはコルプスは助かるんだ。オークの森にある魔源石はかなり前からもう使い物にはならなかった。誰もがそれを知っていた。でもザイアスに逆らえなくて言えなかった。聖獣や聖女が浄化して来たがもう限界なんだ。魔樹海の浄化と言い魔源石の発見と言い運が良かった。まさかもう一つ魔源石があることは誰も知らなかったからな。俺はバカルに帰れば貴族にしてもらえるんだ。さあ、離してもらおう。どうせ牢に入れたところでグロギアス公爵がすぐに手を打ってくれるはずだ。無駄なことはやめろ!」


 俺はロベルトがふざけていると思った。

 エクロートから手紙が来たのだが内容がないようだったので信用していなかった。

 ザイアス国王の様子やロイド王太子の事、陰でグロギアス公爵が動いているらしいと言う事も手紙に書いてあったのだ。

 だから聖女であるアリーシアをバカルに連れて来ると危険だとも書いてあった。

 そしてもし何かあったらアリーシアと婚約したことにして欲しいとも書いてあった。

 でも、俺は国王や王太子がそこまでとは信じれない気持ちだった。

 それにしても…エクロートからアリーシアと婚約の話を聞いた時にはまさかこんな気持ちになるなんて冗談にも思わなかった。

 でも、今なら俺は本気でアリーシアと結婚したいと思っている。

 でもなぁぁぁぁ~樹海での一件が脳をよぎる。

 アリーシアにはそんな気はないってことだよなぁ。

 おっと、こんなことを考えている場合じゃなかった。


 そこに騎士隊員が追い付いてきた。

 俺はロベルトを騎士隊員に預けてバカルに行く事にした。

 だが、魔源石はロベルトが言うようにグロギアス公爵の手のものが持ち去ったのかもしれない。

 あれがあればザイアス国王を追い落としグロギアス公爵が王位を手に出来るだろうしな。

 そのためにロベルトをあの教会においていたのか?何年も前から?

 「リント隊長、無理に魔源石を取り返そうなんて思わない方がいい。オークの森は穢れている。聖獣たちは苛ついて飼育員の言う事も聞かなくなっているらしいぞ。もうすぐ魔獣化するかもしれない。だからあの魔源石があればそんな心配もなくなるだろう。なっ、そうとわかったら俺を放してくれよ」

 「何を馬鹿な事を‥そんな心配をする前にお前は自分の心配をした方がいいぞ」

 俺はそうは言ったがもしそれが本当ならと躊躇した。

 もちろんアリーシアを連れて行きたくはなかったが聖獣が暴走しそうになっているとなれば彼女を連れて行くしかないと判断した。

 魔源石の事もある。ひとまず国王や王太子の事は後回しだと判断すると騎士隊員に命令をした。

 「お前たちはロベルトを連れて騎士隊に戻れ。取り調べを急いでくれ。俺はアリーシアを連れてバカルに向かう。いいな、くれぐれも留守を頼んだぞ」

 「「「隊長。任せて下さい!」」」

 俺はガロンに飛び乗るとアリーシアの元に急いだ。









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