44なぜかいきなりの告白
リント隊長はこの日ずっと私のそばに付き添っていた。
思えば隊長は浄化をしている私に隊員たちに気を配らせ自分はガロンと一体化して浄化にあたり帰ればアランやわたしに優しくしてくれた。
彼がどれほど私に心を砕いてくれているかを思い知らされた。
そして彼がとても頼りになり信用のおける男だと言うことも。
それは私の魂の奥底までしみ込んで行った。
彼は心配で片時も離れたくないと隊員の目も気にせず私と手をつないだ。
(でも、こんな日だもの。きっと大丈夫。みんなわかってくれている)
私は隊長の誤解を与えそうな行動に何とか折り合いをつける。本当はそれがうれしくて仕方なかったのだが。
「アリーシア大丈夫か?若い女性にこんなひどいものを見せるのは俺は賛成できない。今からでもいい。やめておいた方がいい」
そう言って何度も私を引き留めようとした。
そりゃきっとひどい有様で目を覆いたくなるような惨状が待っているに違いない。
でも、私は行かなければならない。
リント隊長には言ってないが私の両親が暮らした王宮。
そしてその亡骸を葬ったお墓。母が守っていた神殿をどうしてもこの目で見る責任があると思った。
「隊長、私はそんなやわじゃありませんよ。これくらいの事なんでもありません。だって魔獣とだって戦ったじゃないですか」
微笑みたい気分ではない。でも、隊長が心配しているとわかるから私は隊長に向かって微笑んだ。
隊長はぎゅっと握った手を握る。私はそんな気持ちに応えたくて「隊長大丈夫ですから、でも、ありがとうございます」
「当たり前だ。こうやって魔樹海を浄化出来たのはアリーシア君のおかげなんだ。みんなどれほど君に感謝しているかわからないんだ。俺は君を尊敬する。もはや君は俺の女神同然だ」
「もう、隊長。みんなが聞いてますよ」
隊長は決心したようにその場でみんなに向かって大声を張り上げた。
「こうなったらはっきり言う。みんな聞いてくれ。俺はアリーシアが好きだどうしようもないほど好きなんだ」
「「「隊長知ってましたよ!」」」
「「ハハハハハ、やりましたね!」」みんなが大喜び。
(信じられない。こんな所で愛の告白なんて…わたしどうすればいいのよ。困る~)
そこにパシュが走って来た。
「隊長ずるいですよ。俺アリーシアに告白するつもりだったんですよ~アリーシアどうなんだ?」
そう言うといきなり目の前で跪いた。
(うそ!パシュやめてよ~)
「俺はアリーシアが好きだ」
「…」
パシュの手が伸びて私の手を取る。「いきなりでごめんな。でも、今告白しないと‥だから、返事はゆっくり考えてくれていいから。よし、行こうか」
パシュはそこまでだと先に走り出した。
「パシュ…もう、返事は決まってるのに…」
すぐにリント隊長が私の顔を覗き込んだ。
「すまん。俺が「そうですよ。いきなりみんなの前で、こんなの困ります。私なんて言っていいか‥」あ、アリーシアすまん……」
「いえ、そういうつもりじゃ…」(なかったんです。私だって嬉しかったでもこんなの恥ずかしくて…)
「アリーシア、悪かった」
「いえ。とにかく王宮に行きましょう」
「ああ、そうだな」
それから後は何も話せなくなった。隊長も気まずそうに握っていた手まで離してしまった。
(私、勘違いさせた?どうしよう。でも、こんな所で言える話じゃないもの…また次の機会があるわよ)
私はチラッと隊長の顔を見た。
彼はもうこちらを向かなかった。まっすぐ前を見て今の事に集中しようとしているみたいだ。
そうやって進んでいくと朽ち果てた王宮に辿り着いた。
城壁は崩れ門は地面からえぐれて倒れている。王宮の建物は無残にもどす黒く蔦が絡みついて元の壁は見えない。窓ガラスはなく扉も腐ってなくなっている。
中に入ると床から草が生え天井にはこうもりがびっしりぶら下がっていた。
そのこうもりが一斉に外に向かって飛び立った。
「きゃ~」
私はずっと握っていた花束を落として隊長に抱きついていた。




