表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリーシアは婚約破棄されたので辺境で幸せになりたい  作者: はるくうきなこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/59

27リントのモヤモヤ


 リントはアリーシアを前に乗せて馬を走らせた。

 騎士隊までの距離はそんなに遠くはない。馬なら10数分ってとこだろう。

 なのに。なんだ?このいい香り……

 頬を撫ぜる彼女の髪はとんでもないほど柔らかでうっかりすると頬ずりしてしまいそうになる。

 手を回したその華奢な身体には程よい肉が付いているのがはっきりとわかる。

(意外と胸が大きいんだ。おいおい、何を考えている。お前女はこりごりなんだろう?

 ましてやこんなお転婆だし俺とは20歳も年が離れているんだ。相手になんかなるわけが‥そんなことより問題はガロンだ!)


 脳内にこれ以上おかしな思考が沸き上がらないようにガロンの事を考える。

 俺はここの所ガロンの様子がおかしくて参っていた。

 ガロンの様子がおかしくなったのはアリーシアが帰ってからだ。

 魔獣退治の時ガロンはものすごくアリーシアに懐いていた。あんなガロンを見たのは初めてだし甘えている姿は微笑ましいほどで…


 湧き上がる嫉妬心だろうか?俺だってこの4年ガロンには愛情を掛けてきたつもりだ。

 餌をやったり身体を洗ってやったり、いつだって怪我はないか体調は大丈夫かと心を砕いて来た。

 それなのにあいつ。アリーシアを見た時からそうだった。

 一瞬で恋にでも落ちたみたいに蕩けた目をしたよなあいつ。

 でもアリーシアはアランにもよくしてくれた。あの帰りにアランの様子を見に行ってくれてたなんて知って驚いたしうれしかった。

 アランは今度一緒にピクニックに行くと約束したんだといい張る始末で。


 まったく、アリーシアはいきなり現れた太陽みたいな存在で魔獣退治でも信じられない活躍をして。

 さっきは辺境伯まで…あいつは嫌な奴だからほんとにアリーシアを近づけたくなかったのに一体どこで知り合ったんだ?

 あのくそじじい。もしアリーシアに手を出そうとしたら今度こそぶっ潰してやる!

 俺は湧き上がる気持ちにおかしいとも思わず憤怒した。

 

 

 あっという間に騎士隊に着いた。そのままガロンの所まで馬を走らせる。

 「隊長ずるいっすよ。アリーシアさん乗せちゃって」

 「あっ、いいですね。アリーシアさん今度は俺の馬に乗って下さいよ」

 「今度も魔獣退治来てくれるんですよね?」

 「「「俺達、頼りにしてますからアリーシアさんの事!」」」

 アリーシアはみんなに手を振った。

 「黙れ。お前ら人を当てにするんじゃない!ったく。アリーシアさんもそんな笑顔振りまかなくていいからな」

 「ええ、安心して下さい。隊長には振りまきませんから」

 なんだ?この脱力感は?どうしてこんな気持ちになるんだ?アリーシアに微笑まれなくたって俺はそんな事気にするはずがないのに…


 もやもやした気分のままガロンの獣舎に着いた。

 「とにかくガロンの様子を見てくれ」

 「はい、ガロン?大丈夫なの~」

 アリーシアの声がした途端ガロンが起き上がったらしく大きな音がした。

 「どがっ!きゅきゅきゅ~ぎゅぅぅぅぅぎゅぅぅぅぅぎゃぐぅぅ~」 (あっ、アリーシアの声?やっと来てくれたの。僕ずっと待ってたのに。ひどいよ~)

 俺は一瞬ガロンはアリーシアに恋をしているのではと思う。

 まさか。おい、ガロンお前一体どうしたんだとおろおろするばかりだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ