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アリーシアは婚約破棄されたので辺境で幸せになりたい  作者: はるくうきなこ


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19魔樹海に冒険者?


 昼食が終わりひと息ついたところにまた魔獣が出たと隊員から知らせが入った。

 「ほら!みんな行けるか?」

 リント隊長が声を荒げた。

 「「「はいっ!」」」

 隊員はみなすぐに支度をした。

 私も一緒について行こうとした。

 「アリーシア、君はここで待機だ!」

 「どうしてですか?私がいなかったら怪我をした人はどうするんです?」

 「ここにいるはずなないものがいるとこれから困る。だから残れ!」

 慌てたのは隊員たちだった。

 「そんな。隊長アリーシア様がいる間だけでも助けてもらいましょうよ。俺達だってその方がやる気が出るってもんです」

 「隊長、私からもお願いしたい。どうです?今回は特別ってことで」

 柔らかな口調でリントに行ったのは副隊長のドリクさん。


 「みんながそうしたいなら…だが、さっきみたいな余計な事はするなよ。アリーシアは後方待機だ。怪我人の手当てに当たってくれ。それが条件だ」

 「「「ええぇぇぇ~そんなのひどいですよ」」」

 一気に意気消沈。

 「ったく。いいかお前たち、そんな弱気でどうする?だから嫌なんだ。こうやって士気が下がるから…」

 「わかりましたよ。みんな聖女様がいてくれる。怪我をしても安心だ。なっ、だから安心して魔獣に立ち向かえるぞ」

 副隊長が隊員にそう言うと一気にみんなの顔が笑顔になった。

 「「「おぉぉぉぉぉ!!」」」

 以外にも騎士隊員は張り切っていた。


 私はそんな隊員たちに苦笑する。


 リント隊長がガロンの所に走って行くとガロンの上に乗る。

 「きゅるきゅきゅきゅ?」(あれ?フローラは?)

 「ガロン魔獣だ。頼むぞ。お前が頼りなんだからな」

 ガロンは首を振りながら嫌だと体を揺らす。

 「ぎゅ!ぎゅぎゅぎゅぐふっ!」(いやだ。フローラがいい)

 私はガロンに近づく。

 「ガロン。今は一刻を争うの。そんなわがまま言わないで」

 「ぎゅぅぅぅ~」(そんなの嫌だ~)

 「そんなわがまま言うならもう嫌いになるよ」

 私は顔をプイっと背けるとガロンからすっと離れる。

 「きゅる、きゅるるるるる~ぎゅぅぅぎゅ」(そんな…わかったよ~行けばいいんでしょ)

 ガロンは仕方ないと翼を羽ばたかせる。

 「アリーシア危ない!下がれ。ガロン見ろ!お前なぁアリーシアが好きなら少しは考えろ」

 リント隊長が困った奴だと言わんばかりにガロンを窘める。

 ガロンは翼をすぼめて「きゅるぅぅぅ~」(ごめんフローラ)と言う。

 (かわいい。可愛すぎるぞガロン)

 私は急いでガロンから離れる。

 すぐにガロンは大空に飛び立った。


 私は後から騎士隊員を一緒に後方支援に回る。

 エクロートさんも私と一緒に行動する。

 空からはリント隊長とガロンが魔獣を追い詰めようとしているらしく何度も魔樹海めがけて急降下を繰り返している。

 追い詰められたらしい魔獣の声が魔樹海の中に轟き炎が木々の隙間から見える。

 「カッキーン!」剣のかちあう音。

 「ばぎっ。どさっ!」木でも倒れたのかすごい音が響く。

 「エクロートさん。大丈夫でしょうか?」たまらず強く握った拳の中には手汗が滲む。

 「大丈夫だ。彼らはこういう事態に備えて訓練している。アリーシアがいない時から魔獣と戦って来たんだ」

 「そうですけど…」

 「ぎゃ~。た、助けてくれ」いきなりものすごい叫び声がした。

 

 「エクロートさん。もう我慢できません。こうしてはいられません」私は最後まで言い終わる前に魔樹海の中に突進した。

 「おい、待てアリーシア。危険だ。おい…」

 エクロートさんは後から追ってくる。


 目の前で大きな狼の変形したような魔獣が二頭。騎士隊員はそれを取り囲むように剣を構えている。

 「ぐるぅぅぅ」喉の奥で威嚇する声を出していっる魔獣。瞳は血の色のように真っ赤で滾っている。

 長くて鋭い牙を剥き出し大きな前足で気にいらないと言う風に何度も土を掻く。


 「来るぞ!油断するな」

 魔獣が後ろ脚を蹴り上げ跳躍しながら大きな口を開けて炎を吐き出した。

 「防御!」私はその瞬間手を広げて防御魔法を施す。

 「おりゃぁぁぁぁぁ!」

 いきなり大木の上から男が飛び出した。

 防御魔法で炎が消えたその瞬間。男が剣を左に上げて右に振りおろした。

 剣からは大きな稲光が走っている。

 「ぐぐふっっ…」

 くぐもった声が辺りに響いて魔獣がばたっと倒れた。

 泥色のような血液が身体から流れ出て魔獣は完全に息を止めていた。


 「なんだ?」「誰だ?やったのは‥」「「「俺じゃないぞ」」」数人が違うと言うなか一人の男が「バシッ!俺だ」と意気揚々と剣を肩に担いだ。

 「誰だ?お前」

 副隊長が聞く。

 「おい、人に名を訪ねるときは自分から名乗るもんだろう?」

 「ああ、すまん。俺は黒翼騎士隊。副隊長ドリク・グラハートだ。それで君は?」

 「騎士隊か。俺?俺はパシュって言うんだ。冒険者だ。魔樹海の魔獣を

狩って生計を立てている」

 パシュと名乗った男は銀髪で碧眼だった。顔全体はマスクのせいではっきりとはわからない。

 「ああ、最近はそういう奴がいると聞いたが初めて会った。お前冒険者か。それで登録証は?」

 「ああ、これだ」

 パシュはキルベートのギルドが発行した登録証を見せた。

 そこにはウェントス国籍のパシュ・コリントンと書かれていた。


 キルベートでは魔獣対策として冒険者を受け入れている。騎士隊だけでは間に合わないからだ。

 魔獣の牙や毛皮は高く売れるし魔獣も減るからだ。

 ちなみにウェントス国はコルプス帝国の東側の国だ。獣人が多く魔力を持った者が多くいる国らしい。

 噂ではウェントス国はコルプス帝国の弱体化を狙っているとも言われていた。あくまで噂だが。








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