あるはずのない踏み台

シトシトと振り続ける雨に耐えつづける石畳。

そんな彼らには願望があった。

"人に踏まれたい"

そんな欲望が溢れていた。

察すられる事にしか共感できない彼らは、自らを主張するかのように隆起を繰り返していた。

そんな主張を拒絶するかのように、

時代が進むにつれ、踏まれる回数がどんどん減っていった。

そうして、石畳の存在が自然と同化していった。

同化していく彼らは、また誰かの道標になるように、微かな灯火を作っていくのでした。