生存者Ⅰ 欲情
「ぎゃぁぁぁぁー!」
外から人の悲鳴が響いて来た。
ストーブを囲んて皆が思い思いに漫画を読んだり将棋を指したりして暇を潰していた俺たちは、外から響いてきた悲鳴を聞いて手近なところに置いてあった武器をそれぞれ手にして悲鳴が聞こえて来たところに急ぐ。
悲鳴をあげて転げ回っているのは、当番で敷地内と外部を隔てる金網の内側を巡回していた筈の奴。
そいつは噴き出す鮮血で周りの雪を真っ赤に染めて、股間を押さえながら泣きじゃくり転げ回っている。
駆け寄って来た俺たちを見て転げ回っていた奴が叫ぶ。
「俺の、俺の息子がぁー!」
金網の向こう側に目を向けると此奴の息子を頬張り咀嚼している、チョット見ただけで分かる程凄え巨乳のゾンビがいた。
凄え巨乳のゾンビの顔を見ながら何処かで見たことがあるなぁーって思っていたら、仲間の1人が答えを出す。
「あ! 此のゾンビ、パニックが起きる前まで隣街の女子校に通っていた子だ、胸を見て思い出したわ」
そうだった、そうだった、俺も思い出したは通学の電車で良く見た子だ。
巨乳のゾンビを見て欲情した此の馬鹿は止せば良いのに金網の隙間から自分の息子を突き出した結果、ゾンビに噛み千切られたのであろう。
前から此奴は馬鹿だと思ってはいたが、ゾンビに噛まれたら終わりなのにこんな事をするなんて本当に馬鹿だったわ。
何が起こったのか分かった俺たちは顔を見合わせてから目配りする。
そして俺たちは手にしていた武器を振り上げて馬鹿の頭に叩きつけた。
ゾンビに噛まれた奴は遅かれ早かれゾンビになるからゾンビになる前に頭を潰すのだ。
手製のボウガンを持っていた仲間の1人が俺たちが馬鹿の頭を潰してる間に、馬鹿の肉片を飲み込み更なる肉を求めて金網に歯をたてている凄え巨乳のゾンビの頭に矢を撃ち込む。
馬鹿の頭を潰し終えた俺は金網の向こう側に倒れた凄え巨乳のゾンビを見ながら思う、こんな女のどこが良いんだろうな? と。
ゾンビから目を離してから、頭を潰した馬鹿の死体を焼却炉の方へ引っ張って行く仲間たちの尻を眺める。
真正のゲイの俺には女の良さは理解できない事なんだよ。