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ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

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第407話 魔獣による足止め、そして敵幹部に遭遇

 その先の更に治安の悪そうな場所に、頑丈そうな建物がそびえ立っている。高い壁に囲まれているが、一部が破られて穴が開いていた。そこに騎士が倒れており、確認するが、もう死んでいるようだった。


「死んでる」


「無策で飛び込むのは危険だな」


 だが、俺達が話しているそばから、一緒に来た騎士達が飛び込んでいった。


「そんな、無造作に……」


 ドン! 


 一人が吹き飛ばされて出て来る。フルプレートメイルがひしゃげて、口から血を噴き出していた。


「ヒール!」


 傷は修復したが、すぐには起き上がれないようだった。


「なんかいる」


 穴から中を覗くと、そこにデカい体の緑の奴がいる。


「何あれ?」


「ゴブリンキング」


「また、魔物か」


「凶暴になっている」


 周りを騎士達が囲んでいるが、全く手が出ないようだ。


「私が」


「いや。大したこと無い。さっさとやる」


 そう言ったアンナが、魔獣にジャンプをして着地する。すると、ずるりとゴブリンキングの首がずれ、ごとりと地面に落ちた。シュウシュウとゴブリンが縮み、一回り小さくなる。


「行くぞ」


 俺はアンナの後ろを追いかけ、建物の方に向かう。アンナが止まり、スンっと鼻を鳴らした。


「まだ、何かいるな」


「魔獣?」


「かもしれん。後ろをついて来てくれ」


「わかった」


 アンナの後ろを恐る恐る進むと、角で立ち止まり先を見る。


「いた」


 そこには、大きな蜘蛛がいた。後ろからついて来た騎士が言う。


「早くお館様を!」


「まて!」


 また静止を聞かずに二人の騎士が、その蜘蛛に飛びかかった。騎士は、寸前でぴたりと動きを止める。


「いかん!」


 次の瞬間、なんと血しぶきを上げて、騎士がバラバラにちぎれて床に落ちる。


「うわ」


「糸だ!」


 飛び出したアンナが、糸の攻撃を掻い潜りながら大きな蜘蛛に接近し、一瞬でバラバラに切り刻んだ。バラバラになった死体を避けながら、俺が進むとアンナが言う。


「とんでもないのを持ち込んでいる」


「凄く、危険じゃない?」


「ああ。だが、何かがおかしい。見て見ろ」


 蜘蛛の残骸を見ると、小さくなったように見えた。俺がしゃがみ込んで、残骸を拾い上げ臭いを嗅ぐ。


「これ……教会で暴れてた人間と同じかも」


「ネメシスの血か」


「多分、血を入れられてる」


「魔獣にか」


「それで、強化してるんじゃないかな」


「それはまずいな」


 ネメシスの血は、力を増強し狂わせる力があるようだ。ヒストリア王国でも、邪神の影響で狂った人間を見て来たが、こんな風に完全におかしくなることは無かった。


「直接血を入れると、とんでもないことになるのかも」


「本体が、いるか?」


「わからないけど、注意深く進もう」


「わかった」


 俺達が先に進み、部屋の扉を開けると、そこには地下に続く石階段が見える。


「地下だ」


「そのようだ」


 俺達は、その縁にしゃがみ込み暗い地下を見る。アンナが立ち上がり、窓際に言ってカーテンを破く。そして部屋の壁にある、火を灯す鉄の松明をとり、その先に巻いた。


「火をつけてくれ」


「わかった」


 パシィ!


 先の布に火をつけて、ゆっくりと階段を降りていく。すると、石廊下が奥まで続いていた。


「なんか、あからさまに怪しいね」


「血の跡が続いているな」


 見れば石廊下に、黒い斑点がポタポタと続いている。


「この先に逃げた?」


「どうするか」


「確認しないと」


 湿っぽい通路を進むと、地下水路のようなところに出てくる。アンナが俺を抱きかかえて対岸に飛ぶ。


「血の跡が消えてる?」


「いや……濡れている」


 濡れた数人の足跡が転々と続いており、その先に進んでる。


「なーんか、嫌な予感がするから、身体強化を」


「ああ」


 身体強化をかけたことで、視界がクリアになる。先まで見えるが、通路の先に何かがいる様子はない。


「行こう」


「わたしが、先に行く」


 アンナが先に警戒しつつ進んでいくと、先から声が聞こえてきた。


「お館様を離せ!」


 通路の陰から先を見れば、数人の騎士が立ち止まっている。その先に、誰かがいて、俺達はそいつに見覚えがあった。


「あれは……」


「デビド……」


 デビドが奥の岩場のようなところに座っており、その前に魔獣に捕らえられた領主がいた。数体の猿のような魔獣が領主を捕らえ、騎士達と向き合っていたのだった。


「操ってるのか……」


 デビドを追い詰めた現場に、丁度俺達が来たらしい。


「くっくっくっ」


「くそ! お館様を救え!」


 騎士達が飛びかかるが、魔獣の攻撃に吹き飛ばされる。


「変に刺激したら、領主は殺されるな」


「だねえ……」


 領主を人質に取られている以上は、不用意に攻撃できない。


 だが領主が言う。


「私に構うな。そいつを捕えよ!」


 ギギギ!


 魔獣が領主を締めあげて、言葉を発せなくした。


「さてと……」


 デビドが立ち上がった。無造作に降りて来た次の瞬間、三人の騎士の首を斬り飛ばしていた。


 ドサドサドサ!


 やっぱ……。


 暴風のようにデビドが暴れ始め、次々に騎士達を殺して行った。


「アンナ。アイツを止めれる?」


「問題ない」


「私が領主を救うから、止めていて」


「わかった」


「三、二、一」


 俺とアンナが、そこに飛び込む。騎士に振り下ろした斧をアンナが受け止めた。


 ガキィ!


 俺が魔獣に接近し、次の瞬間魔法を放つ。


「ライトニング! ボルト!」


 バシィ!


 猿たちが煙を上げて、倒れ込むのと一緒に領主も倒れた。そして俺は、すぐに領主のところに行って、体に手を当てる。やはり、心臓が止まってしまっている。


「蘇生!」


 パアッ! と輝いて、次の瞬間、領主は息を吹き返した。


「領主様。大丈夫ですか?」


「はっ! 君は……」


「立てますか」


「あ、ああ」


 嫌だけど、とりあえず肩を貸して起こす。魔獣から離れると、剣と斧がぶつかり火花を散らしていた。


「なんだあ! てめえ!」


 デビドは、アンナの力に圧倒されている。


 いや……身体強化を受けたアンナの攻撃を、辛うじてしのいでいる事のほうが、デビドの力量が普通じゃないと分かる。


 バシュッ!


 アンナの剣が、デビドの腕を斬り裂いた。


「ぐあ!」


 アンナを蹴り飛ばすようにして、距離を取るデビド。


「な。領主が逃げただと……」


 振り向いて、魔獣達が倒れているのを見る。


 そこで、領主が言う。


「観念しろ! 袋のネズミだ」


「……」


 とはいえ、騎士達がほとんど殺されて残り僅か。頼みの綱は、アンナと俺しかいない。そして相手は、あのネメシスの使徒デビド。このままで済むわけが無かった。


 次の瞬間、デビドの口角がにやりと上がる。


 ドゴン!


 岩の壁を突き破って、丸まった何かが突然、突入して来た。咄嗟にアンナが俺のところに来て、庇う。俺がその上から、結界をはって岩を弾いた。


「なんだ?」


「甲殻蜥蜴だ……」


 丸まっていた奴が広がると、それは蜥蜴の形になった。尻尾をブンと振り、騎士が飛ばされてしまう。土煙が上がり、次の瞬間デビドの姿が消えていた。


「穴に入って行った!」


 俺達が追おうとすると、目の前に甲殻蜥蜴が立ちはだかる。


「サンダーボルト」


 バシュゥ!


 太い雷が襲うが、甲殻蜥蜴は丸まった甲羅で電撃を防いだ。


 ふーん。


「サンダーボルト。サンダーボルト。サンダーボルト。サンダーボルト」


 連発して浴びせていると、体が伸びてベロを吐き出すように倒れた。その柔らかな腹を、アンナが深々と突き刺す。


 俺が言う。


「デビドを追いかけよう。逃げられる」


「ああ」


 俺は、残った数人の騎士に言う。


「領主様を頼む」


「は、はい」


 俺達はその場を後にして、甲殻蜥蜴が突き破って来た穴へと飛び込んでいくのだった。 

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― 新着の感想 ―
あけましておめでとうございます。 正月から読む事がとても嬉しく感謝いたします。 本年も宜しくお願いします。
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