表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

405/412

第404話 孤児の救出と領騎士団への援護

 俺達が孤児院の側に身を潜めていると、次々に領の騎士達がやってきた。やる気満々に、フルプレートメイルに身を固めて、剣と槍と盾を持っている。それが孤児院の前に到着すると、施設長のおばさんが、いそいそと出てきた。


「何話してるんだろうね?」


「きっと、奴らが追い払えとでも言わせてるんだろう」


 だが騎士は引き下がらずに、おばさんをどかして中に入ろうとする。


「おっ。また出てきた」


 次々に、修道女が出て来て止めようとしていた。


「うーん。これは多分、子供を人質に取られてる可能性大だね」


「では、行くか」


「じゃあこれ、シーファーレンが渡してくれた奴」


「ああ」


 俺達はフェイスマスクをつけて、羽のついたベレー帽を被る。すると俺の髪の毛もアンナの髪の毛も、シュルっと帽子の中に入った。


「おお! 凄い!」


「便利だな」


「男か女か分からなくなった」


「髭が無い」


「つけ髭とか持って来ればよかったか」


「まあ仕方がない」


 そして俺は、するりとスカートを脱いだ。ズボン姿になり、これで俺もアンナもどっちか分からない。路地裏から、素早く孤児院の裏手に周って入り込む。


「今のうちに」


「ああ」


 敵が、表の騎士達に意識を取られている間に、するりと裏口を開けて中を覗き込む。


「いない」


「行こう」


 足音を立てずに中に入ると、ふいに脇から小さな子供が現れる。


「うっ」


「……」


 俺は咄嗟にしゃがみ込み、子供の顔の前に顔を合わせて言う。


「静かにする遊びをしてるんだ。声を出したら負け、出来る?」


「うん」


「ほら、声出たよ!」


 コクリと子供が頷いた。


「おいで」


 俺達は子供をつれて、そっとドアを開けて中に入る。ホウキなどが立てかけてある、物置だった。


「静かにお話しようか」


「……」


「君の勝ち。静かに話して良いよ」


「うん」


「おねえちゃん、おにいちゃんたちは?」


「お髭のおじさん達と一緒に居る」


「君は?」


「小さい子は、いいんだって」


「そっか。どこのお部屋? 私たち、みんなを助けに来たんだよ」


「僕が、出てきたお部屋だよ」


「じゃあ、君はここに居て」


「うん」


 俺とアンナは、物置を出てスッとその部屋の入り口に近づく。するとアンナが言った。


「入口のほうにもいるな」


「まずは、子供の安全確保」


「よし」


 スッと扉を開けて、中を覗き込むと三人の男が剣を持って、窓の外に目を向けている。 


「気づいてない。一瞬でかたを付けよう」


「ああ」


 俺がアンナに身体強化を施す。


「金剛、結界、筋力強化、脚力強化、思考加速」


 アンナが淡く輝いた。


 俺がスッと扉を押すと、アンナは部屋に入り込んで消えた。


 コン! ガン! カン!


 三人が崩れ落ち、子供達があっけに取られている。


 少し大きな女の子が言う。


「あ、あなた方は?」


「助けに来たよ。他に子供は?」


「ここにみんないる……あ、ひとりいない」


「その子は物置にいるよ」


「そうか!」


「えーっと、みんな、いいかな?」


 皆が俺を見る。


「声を出したら負けだよ!」


 コクリと頷いた。


「今から、お姉さんが魔法をかけて丈夫にしてあげるからね」


 皆が俺をじっと見つめ、俺は子供らに向かって魔法を行使する。


「金剛、結界、筋力強化、脚力強化」


 子供達が光に包まれる。


「これでよしっと。後は静かに出て行くよ」


 そしてアンナをしんがりにし、俺が子供の手を引き先導していく。入り口の扉を開けて廊下を見るが、まだ誰も気が付いていないようだった。そのままスルスルと外に出て、物置の子供を連れ出す。


「暗いところで怖かったね」


「平気だよ」


「じゃあ、行こうか」


 そしてそのまま、そろそろと裏口を開けて外に出た。子供らが木の壁を飛び越える事はできないので、アンナが斬り落として穴を開ける。


「慌てないで一緒にいこうね」


 俺が先に出ると、子供達が次々に出て来てアンナが最後に続いた。俺達は、建物を回り込み横を見る。するとその時、窓から男が顔を出して大声で叫んだ。


「くるな! 子供らがどうなってもいいのか!」


「なに!」


 とうとう正体を現した。だが、子供はここに居る。


 そこで、俺が女の子に言う。


「あそこに、鎧を着ているおじさんいるでしょ?」


「うん」


「あの人たちに、ここの孤児院のみんなです。って言って守ってもらって」


「わかった」


 子供らがぞろぞろと歩いて行き、外で待っている兵団のところに辿りついた。兵士と子供が話をして、俺達の方を指さしたのでサッと隠れる。


 外にいる騎士が言う。


「子供らはここに居るぞ!」


「はあ? 何を言ってる?」


「突撃!」


 騎士達が次々に、建物に雪崩れ込んでいった。この建物のどこかに、麻薬もあるはずだ。


「まず、子供らはこれで良しと」


「では、本丸の教会に行くか」


「そうしよう」


 俺達がその場を離れ、教会に近づいて行くと、戦う音が聞こえて来る。どうやら、騎士団と敵が小競り合いをしているらしい。路地から様子をみると、どうやら騎士団が苦戦しているようだった。


「やられてる」


「あれは、多分毒にやられてるようだ」


「こっちは、足無蜥蜴がいるのかな」


「そのようだ」


 次の瞬間、信じられない事が起きる。


 ドガ! と、教会の壁を崩して、中からでっかい人が出て来たのだ。


「えっ! やたらとデカい裸の人が出て来たけど!」


「トロールだ」


「魔獣?」


「どうやら、切り札を隠していたようだ。こんな都市内に、あんなデカ物を入れるとはな」


「どうやって……」


「使役、かもしれん」


 俺達が見ている先で、そのトロールが大声で叫ぶ。


「ぐぉおおおおお!」


 ブン! めきょめきょめきょ!


 二人のフルプレートの騎士が、飛ばされた。


「うわぁぁぁぁ!」


 騎士団の隊列が崩れる。だが、そこで領主の声が響く。


「怯むな! 槍隊! 前へ! 弓隊は弓を!」


 ヒュンヒュンと弓が飛び、トロールに刺さるが、それがかえって凶暴性をました。


「があああああああ!」


 ブウン! ガガン!


 教会の壁が、トロールのこん棒で崩れた。飛び散った石が、騎士団を襲う。


「怯むな! 押せ押せ!」


 領主が躍起になっているが、アンナが言う。


「せめて、妹たちのパーティーくらいの力があればな」


「朱の獅子?」


「なら、余裕だろうが、あれでは壊滅する」


「そっか。なら、崩壊する前に助け船だすか」


 水魔法と光魔法の応用で、雲をプカリと浮かべた。それが、ふわふわトロールに向かって泳いでいく。それが、真上に来た時。


「ライトニングボルト!」


 バン! バン! バン! ゴロゴロゴロゴロ!


「どうかな?」


 アンナが答える。


「こんがり焼けた」


 ズッズゥゥゥン!


 トロールがこん棒を上げた姿勢のまま、倒れ込んで動かなくなった。そこに、槍隊が槍を突き刺した。だが、既に死んでいるので意味がない。


「バケモノは倒れた! 押せ!」


 すると、教会の上の階層から、弓を構えた敵が顔を出す。


「あ、やば」


 そのままトロールの上にいた雲を、ぷかぷかとそっちに移動させる。


「サンダーボルト!」


 バシュゥゥゥン!


 数人の弓矢を構えたやつらが、窓から次々に落ちてきた。騎士達が押し始め、俺達が騎士達の最後尾に忍び寄る。


 そして、スーッと杖を騎士団に向けた。


「金剛! 筋力強化! 最筋力強化!」


 後ろのほうの騎士が強化された。


「うおおおおおお!」


 後方の騎士団が走って行き、俺が次々に身体強化を施した。


「よし」


 すると馬に乗っている、領主に見つかってしまう。


「お前達は?」


 そこで、俺が言う。


「ギルドから来た冒険者です! 領主様に助太刀します! このまま、攻め入ってください!」


「さっきのバケモノも、お前達が?」


「そうです! このまま押し切ってください!」


「わかった!」


 俺がまた周りの騎士に、身体強化を施した。


「うおおおおお!」


 小競り合いが、一気に形勢逆転した。俺は、怪我をした騎士達の元へ行く。


「エリアメギスヒール!」


 パアアアアア!


 広範囲に、最高の回復魔法が降り注ぐ。倒れていた騎士達が、起き上がり剣を取って走って行った。


 領主が言う。


「その力……?」


「さあ! 騎士達に指示を!」


「と、突撃!!」


 抵抗していた敵を押し切り、次々に教会へと突入していった。俺達も、どさくさに紛れて最後尾から入っていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ